成人日本人の3人に1人が「脂肪肝」といわれる時代。もはや他人ごととしてスルーできなくなってきた。
特に過剰なアルコール摂取や高カロリー、糖質過多な食事を続けている人は要注意。放置すると肝硬変や肝がんと、死に至る疾病へ進行する。
睡眠の質が悪いと、脂肪肝のリスクが高まる可能性があることが、スイスの研究で明らかになりました。 睡眠が断片化していると、肝臓に脂肪が蓄積しやすくなるようです。 …
そこで今回は、脂肪肝についてわかりやすく書かれた「死肪肝」の著者であり、みなと芝クリニック院長の川本徹医師に、脂肪肝の概要から種類、セルフチェックリスト、油や魚介類などの食事による予防策まで聞いた。
脂肪肝とは?
脂肪肝とは、肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態を指す。厳密には肝臓に30%以上の中性脂肪が溜まった状態をいう。放置すると肝硬変や肝がんへと進行することから、軽くみてはいけない。
【取材協力】
川本徹氏
みなと芝クリニック名誉院長
元筑波大学消化器外科講師、元MDアンダーソンがんセンター客員講師。現在、肝臓の再生医療を行う犀星の杜クリニック六本木の院長を兼任。有効な治療法のない脂肪肝の再生医療に取り組む。62歳、特技は細胞培養。
川本医師によれば、1年間で2kg体重が増えただけでも、脂肪肝のリスクが高まるという。コロナ禍の巣篭もりやテレワークで体重が増え、そのままキープもしくは増加中という人は要注意だ。
脂肪肝になりやすい体格や年齢、病歴は次のとおり。
・BMIが25以上である
・腹囲(ウエスト周囲径)が男性85cm以上、女性90cm以上
・20歳時より、体重が10kg以上増加している
・最近10年以内で体重が5kg以上増えた
・男性である
・女性で50歳以上である
・II型糖尿病、脂質異常症などの生活習慣がある
「女性は男性よりも、脂肪を皮下脂肪としてため込む力が強いので、まだキャパシティがあります。その点、男性は内臓脂肪に行きやすく、肝臓に脂肪がつきやすい点からリスクが高くなります。女性も50歳を超えるとホルモンの影響で(エストロゲンの減少)、内臓脂肪をため込む働きを促す酵素の働きが高まり、脂肪肝の確率は上がります」
肥満でない人も、脂肪肝になることがあるという。
「肥満とは単に体重が多いだけでなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態。体脂肪は皮下脂肪と内臓脂肪に分けられ、どちらかの脂肪組織に入りきらなかった場合に異所性脂肪となります。これは本来とどまるはずのない肝臓や心臓といった臓器や筋肉などに蓄積される脂肪のことです。異所性脂肪が肝臓で増えていくと脂肪肝になるため、やせ型の人でも脂肪肝リスクはあるのです」
脂肪肝の種類と飲酒量はどう関係するか
脂肪肝は、アルコール性と非アルコール性の二つに分かれ、近年は後者の「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/ナッフルディー)」が注目されているという。
「NAFLDが注目されている背景には肥満や高血圧、糖尿病、脂質異常症といったいわゆるメタボの増加があります。
食べ過ぎや運動不足によって摂りすぎた脂肪や糖は、皮下脂肪、内臓脂肪に蓄えられるほか、肝臓にも貯蔵されていき、NAFLDの発症を引き起こします」
アルコール性と非アルコール性は飲酒量で判断されるという。1日あたりの純エタノールとして、男性では30g以上、女性では20g以上の酒を毎日飲み続けるとアルコール性肝障害を起こすことがあるといわれているそうだ。
【エタノール30g相当量(1日あたり)】
ビール:750ml(大瓶1本強)
日本酒:1合半
ワイン:グラス2杯半
ウイスキー:ダブルで1杯半
これよりも飲酒量が少なければNAFLDと診断される。







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