ドラム式洗濯乾燥機といえば、高価格帯家電の代表格。主要メーカーの上位モデルは40万円前後にもなるなか、昨年末に10万円を切る価格のドラム式洗濯機を発表して話題になったのが家具でお馴染みのニトリだ。
9万9900円で買えるニトリのドラム式洗濯乾燥機は、本当にお値段以上の実力か?
ニトリは、家具、ホームファッション(ソフト・ハード)に続き、第4の柱として「家電」に注力をしている。これまでドライヤー、スティッククリーナーなどの小型家電から、…
そんな同社が、今年はより省エネ性に優れて衣類に優しい「12kgヒートポンプ ドラム式洗濯乾燥機 ND120HL1」を販売する。
ヒートポンプ式はヒーター式と比較して省エネ性など多くのメリットがあるが、高コストというデメリットも大きい。実際ほぼんどのメーカーがヒートポンプ式洗濯機を20万円以上で販売するなか、ニトリは新製品を149,900円に設定!
しかも、乾燥時はヒートポンプに加えてサポートヒーターも搭載するハイブリッド乾燥方式を採用するなど、機能的にもかなり意欲的な製品となっている。
省エネ性の高さから選ばれるヒートポンプ乾燥をヒーターでサポート
新モデル最大の特徴は、乾燥機構にヒートポンプとサポートヒーターの両方を組み合わせた「ハイブリッド乾燥方式」を採用している点だ。
ヒートポンプ乾燥は、冷媒を利用して空気中の水分を冷やして水に変えて排水する、エアコンの「除湿」と同じ方式。
高温の熱風で衣類を乾かすヒーター式の半分近い電気代で乾燥できるほか、ヒーター式より低い温度での乾燥するので衣類を傷めにくいなどのメリットがある。
低温風で乾燥させるため、ヒーター乾燥よりもタオルがふっくら仕上がるというメリットも。写真は吊り干しで自然乾燥させたタオル(写真左)、ヒーター乾燥させたタオル(写真中央)、新製品で乾燥させたタオル(写真右)の比較
ただし、ヒートポンプにはドラム内の温度が上がりにくく、乾燥に時間がかかるという弱点も存在する。
そこで、新製品は乾燥工程前半にサポートヒーターで素早くドラムを温めつつ、後半はヒートポンプを中心に熱を再利用しながら乾燥を進める仕組みを採用してある。
ドラム内の湿度をセンサーで検知しながらサポートヒーターを必要に応じて制御することで、過乾燥を防ぎつつムダな電力消費を抑える設計となっている。
ちなみに、標準コースで洗濯・乾燥を行った場合の消費電力量は約900Wh。これは大手メーカーのヒートポンプ式洗濯乾燥機と比較しても、なかなか優秀な数字だ。
ニトリが昨年発売したヒーター式のドラム式洗濯機ND120KL1(洗濯12kg/乾燥6kg)の約1850Whと比較すると、消費電力量は半分以下になっている。
他にはない面白い機能としてヒートポンプを利用した空間除湿機能も搭載。
これは、本体上部にある「吸気口」フタを開いて空間除湿ボタンを押すことで、洗濯機が部屋の空気を取り込んで除湿するという、まさに除湿機のような機能だ。
湿度が高くなりがちな脱衣所に洗濯機を置いている家庭にとっては、意外と実用的な機能といえる。
高浸透泡シャワーと除菌水を使用した高い洗浄能力
洗浄面でも独自の工夫が盛り込まれている。
代表的なのが「高浸透泡シャワー」と「除菌水OxyWave(オキシウェーブ)」という2つの機能だ。
高浸透泡シャワーは、高濃度の洗剤液を泡にしてシャワー状に衣類へ噴射する仕組み。ドラムの上部から衣類全体に泡が行き渡るため、繊維の奥に入り込んだ皮脂汚れや黄ばみの原因を効率よく浮かせて落とすことができる。ニトリによると、泡をシャワー状に循環させることで一般的な水流式に比べて洗剤のムダが少なく、すすぎ回数を減らせるというメリットもあるそうだ。
もちろん洗剤・柔軟剤自動投入機能も搭載。洗剤は1000ml、柔軟剤は600mlまでまとめて投入でき、洗濯のたびに必要量が注入される
シャツを同じように汚して片方だけ新製品で洗ったもの。汚れは上から醤油、ケチャップ、泥の3種類。左が洗濯前、右が洗濯後のシャツ
さらに、清潔機能として現在特許出願中の「除菌水OxyWave」機能も搭載。これは、すすぎに利用する水にOHラジカルを含む空気を混ぜることで除菌水を生成する技術だ。
洗濯槽の黒カビや雑菌の繁殖を抑えるだけでなく、部屋干し臭の原因菌にも効果を発揮。薬剤を使わず水だけで除菌できるのは嬉しい。
ちなみに、新製品はお湯で洗濯ができる「温水洗浄」コースも搭載している。このコースでは、冬場の冷え切った水に利用する約20℃、汚れをしっかり落としたい時の約30℃、皮脂汚れやニオイ残りが気になる衣類の洗浄に約40℃、除菌までしたい熱湯洗いに約60℃と、衣類やシチュエーションにあわせて4つの温度を使い分けて洗濯が可能だ。
自動洗浄機能で毎回のメンテナンスも軽減できる
洗濯乾燥機は高機能になるほど、乾燥フィルターや熱交換器の掃除といった日々のメンテナンスが負担になりがち。
新モデルでは、こうした手間を軽減するための自動お掃除機能も複数搭載している。
たとえば、一般的な洗濯機は、乾燥機能を使うたびに「乾燥フィルター」の掃除が必要だ。そこで、本製品は乾燥フィルターの自動お掃除機能を搭載し、ユーザーの手入れは週1回程度で十分となった。
このほか、熱交換器やホコリが溜まりやすいドアパッキン裏などホコリが溜まりやすい箇所にも自動洗浄機構を搭載。洗濯やすすぎ時に水を流して汚れを押し流す構造になっている。ユーザーの手間を減らすだけでなく、ホコリ汚れによる乾燥効率の低下も防げる設計だ。
安価なドラム式は排水口に糸くずなどのゴミが流れる簡易構造のフィルターを使用することが多いが、本製品は日本仕様の網型フィルターを採用。見えにくい部分にも配慮が行き届いている点が好印象だった
いざという場合にも安心の無料5年保証を付帯
「12kgヒートポンプ ドラム式洗濯乾燥機 ND120HL1」はヒートポンプ式なのに15万円以下と、そもそも一般的な製品より手が届きやすい価格設定。さらに、ハイブリッド乾燥や除菌水OxyWave、温水洗浄、自動洗浄機能など、上位メーカー顔負けの機能を搭載している。スマートフォン連携といったIoT機能以外は、ほとんど全部入りともいえる魅力的な製品だ。
とはいえ、ニトリが自社ブランドの大型生活家電に本格参入したのは昨年末からのため、10万円を超える大型家電の購入に不安に思う人もいるかもしれない。ニトリはこれを、一般的なメーカーの1年保証よりも格段に長い「無料5年保証」を付けることでカバーしている。製品瑕疵による自然故障の場合は、期間中なんどでも無償で修理が受けられるので、万が一の場合も安心できそうだ。
昔は高機能モデルでも20万円ほどだったドラム式洗濯乾燥機だが、いまや高級モデルなら40万円台の製品も当たり前。「次もドラム式に買い換えたいけれど予算が合わない」という家庭も多いはずだ。そんな中で、ヒートポンプ式ながら15万円以下という本製品は魅力的な選択肢のひとつになりそう。これまで「ドラム式は高い」と手を出せなかった人にも一度チェックしてほしい一台だ。
文/倉本 春







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