防災訓練で避難所開設に立ち合って感じたこと
先日、地域の防災訓練に参加した。実際に学校の体育館に集まり、避難所の開設に立ち会うとともに、体育館の床の上で数時間を過ごしたのである。
できればないに越したことはない災害時の避難、避難所での滞在を経験し、体育館の冷たく硬い床に座っていてすぐに気づいたことがある。それは「お尻が痛くなる」ということ。避難所の運営が本格化すればマットレスなどの用意があるかも知れないが、開設当初はそこに避難することが精いっぱいであり、おそらく今回のように床、またはビニールシートの上に座っていることになるはずだ。
体育館などの避難では床に敷くクッションが不可欠
避難時に避難用リュックなど、災害対策用品を用意しているのは当然として、実は我が家でも、避難所の床に敷くアイテムは想定外だった。冷たく硬い体育館などの床に座り続けるは、やはりお尻が痛くなり、寒く、体調にいいはずがない。そこで我が家の避難アイテムに加わったのが、100均でも売っている、キャンプ用品にもあるコンパクトに折り畳める(または丸められる)クッションマットである。中には地面の凸凹を軽減し、断熱性、保温性にも優れたアルミ素材が使われているものもあり、床に敷けば快適性は大幅にアップする。もちろん、折りたためるレジャーチェアがあればさらにリラックスできるだろうが、コンパクトかつ軽く持ち運べるか・・・という点では、クッションマットにメリットがあるだろう。
さて、やむなく避難所に向かうとして、日ごろから準備した、両手が空くリュックを背負い、避難所を目指すわけだが、それが日中とは限らない。夜、停電で真っ暗になった道を、瓦礫を避けながら歩かざるを得ない状況もありうる。懐中電灯を手に持つのもいいが、それではせっかくリュックを背負って両手を空ける安全面のメリットが損なわれてしまう。そこで役立つのがヘッドライトだ。これも100均で手に入るアイテムで、ヘルメットや帽子に装着でき(首にかけても使える)、明るいLEDライトが前方足元を照らしてくれるから安全・安心だ。
避難所に身を寄せるにしても3日分程度の備蓄品は自身で用意したい
なんとか避難所にたどり着いても、そこからが大変だ。今回、防災訓練で訪れた学校の体育館に設置された避難所の備蓄品一覧を見てみると、避難所を訪れる人数にもよるが、決して潤沢にあるわけではない。実際、「避難時のルール・要請事項」として「避難所の備蓄品は十分でないため、3日間程度の自助対応を要請する」とある。足りない救援物資が届くまでには、さらに時間がかかるだろう。
家から3日分の水や食料まで避難所に持っていくのは大変だが、何回かに分けて運ぶことになったときに役立つのが折り畳み式のカートやアウトドアワゴンだ。これがあれば自衛隊の給水車から水を運ぶのも楽々になり、自宅の荷物を避難所に運ぶ際にも役に立つ。これはベビーカートやペットカートでも代用可能だ。
しかし、避難所が停電していたとすれば、夜は真っ暗闇の中で過ごすことになり、自前のLEDランタンは不可欠だ(電池&充電式を推奨)。また、断水していたとすれば、水道、トイレも使えない。トイレは仮設トイレ、マンホール型トイレを使えたとしても、水がない生活に対する準備も不可欠だ。
水なしで使える洗髪・洗顔・歯磨き・体拭きシートがあると清潔でいられる
そこで避難所生活にあると便利なアイテムとして挙げられるのが、我が家が「水なしシリーズ」と名付けたドライシャンプー、ボディシート、洗顔シート、歯磨きシートなどだ。これらがあれば、断水した自宅、避難所を問わず、洗顔、歯磨き、体拭き、洗髪が可能になるわけだ。当然、避難所にそれらの備蓄品はまずないはずだ。
もちろん、これからの時期は寒さが厳しくなり、毛布が必要になるものの、避難所の備蓄毛布の数は限られているから、こちらでも準備しておくことに越したことはない。もっとも毛布を家から持ち出すのはかさばるため、100均でも売っているエマージェンシーブランケット、シュラフを用意するといいだろう(あらかじめ防災リュックに入れておく)。
盗難防止には災害用ベストを身に着けていると安心だ
万一、避難所に身を寄せることになったとして、最小限の避難生活は行えるはずだが、ひとつ、注意点がある。それはこれまでの災害時の避難所でも散見された盗難である。避難者にそんなことをする人はいないだろうが、外部からの侵入者によって盗難が発生しないとも限らない。そこで筆者が常々提唱している「避難ベスト」の着用(最初の避難時から着用する)を薦める。避難用の身の回り品を多ポケットに入れておくことができるとともに、財布などの貴重品を常に体に身につけておくことができ、炊き出しに出歩くとき、トイレに行くとき、就寝時も安心なのである。
長期の避難所生活ではテントが活躍する
避難所生活が長引くとすれば、プライバシーの確保はより一層、重要になる。避難所によっては「テント」の設置が認められているところもあり、その避難所の備蓄テントの数が限られていることもあるから、自身でペグの必要がないワンタッチテントを用意しておくと万全だ。
最後に紹介するのが、最近、我が家が導入した、ちょっとした防災用品の「防災手拭い」である(通販で1枚330円)。手拭いは実は多機能で、体拭き、マスク、包帯代わり、枕カバー、頭巾、荷物の包み、赤ちゃんのおしめ、2枚結んで使う三角巾、裂いて結んで伸ばせるロープ、石などを包んで結ぶハンマー代わり・・・など、多岐に役立ってくれるのだ。購入した「防災手拭い」はそうした使い方のイラスト、防災の心得、電話番号、住所、氏名などのメモもプリントされているから活用度は極めて高いと思える。1人1枚は用意したい。
文/青山尚暉(防災研究家)
9月になると9月1日からの防災週間もあって、防災用品、備蓄品を見直している人も多いと思う。そこでよく言われるのが、防災リュックの用意だ。防災用品がセットになった…







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