世代間のギャップはいつの時代もあるものだ。いまの20代には、これまでの一般的な常識や過去の流行が上の世代が思っている以上に伝わっておらず、大きなギャップが生まれている。ジブラルタ生命保険は、全国の20歳から29歳の男女を対象とした「20代の意識・実態調査2025」を実施して、世代間のギャップとして伝わらなかった言葉やお金に関する考え方などを調査した。それによれば20代が世代間ギャップを感じることでは、SNSの使い方や仕事に対する考え方などが挙がった。
20代が感じる世代間ギャップの1位はSNSの使い方
20代に対して自分より10歳以上年上の年代に感じる世代間ギャップを質問すると、1位は「SNSの使い方」だった。それに「仕事に対する考え」(19.6%)、「恋愛・結婚に対する考え」(17.4%)、「礼儀・マナーに対する意識」(16.9%)、「飲み会に対する考え」(15.8%)などの回答が続く。男女別では、男性では1位「仕事に対する考え」(17.5%)、2位「SNSの使い方」(15.6%)、3位「礼儀・マナーに対する意識」「飲み会に対する考え」(いずれも15.0%)という結果で、女性は1位「SNSの使い方」(24.9%)、2位「恋愛・結婚に対する考え」(21.9%)、3位「仕事に対する考え」(21.7%)というランキングだった。女性では「ハラスメントに対する考え」(16.7%)が5位と上位だったのが印象的だ。
都道府県別では、栃木県、埼玉県、東京都、京都府では「エンタメ作品(映画や歌など)の好み」が1位。北海道、静岡県、福岡県、佐賀県、宮崎県では「ハラスメントに対する考え」が1位で、大阪府、熊本県、沖縄県では「コミュニケーション方法」、奈良県では「雑談の内容」、愛媛県では「休日の過ごし方」が1位だった。意外にも都道府県によってランキングに変化がある結果になった。
20代が年上世代に学びたいことの1位は礼儀・マナー
自分より10歳以上年上の世代から学びたいと思うことの1位は「礼儀・マナー」(18.6%)だった。2位以下は「職場での立ち居振る舞い」(16.3%)、3位「お金の使い方」(15.5%)、4位「仕事を楽しむコツ」(15.1%)、5位「コミュニケーションスキル」(14.3%)というランキングになった。自分より10歳以上年上の世代とギャップを感じることでは、2位に「仕事に対する考え」(19.6%)、4位に「礼儀・マナーに対する意識」(16.9%)が挙がっていたが、20代はギャップを感じつつも年上世代の仕事への向き合い方や礼儀を重んじる姿勢を学びたいと思う人が多いようだ。
男女別でも男性・女性ともに1位は「礼儀・マナー」(男性15.7%、女性21.5%)だった。男性の2位以下は「仕事を楽しむコツ」(15.0%)、「職場での立ち居振る舞い」(14.4%)、女性の2位以下は「職場での立ち居振る舞い」(18.3%)、3位「お金の使い方」(17.6%)という結果だった。
年上の世代に言われてわからなかった言葉の1位は「アベック」
20代が年上の世代に言われて何のことかわからなかった言葉は、1位「アベック」、2位「チョベリグ/チョベリバ」、3位「ナウい」、4位「半ドン」、5位「テレコ」という順位になった。1960年代から1980年代頃に使われていた男女のふたり連れを意味する「アベック」や1996年に新語・流行語大賞のトップテンに選ばれた「チョベリグ/チョベリバ」は、現代の20代には伝わらないようだ。完全週休二日制の普及で制度を見なくなった「半ドン」やバブル時代を象徴する「アッシー」、昭和のビジネス用語である「鉛筆なめなめ」や「一丁目一番地」といった言葉は、30代や40代でも伝わらない人は多そうだ。
年上の世代に伝わらなかった言葉は「エモい」、「ワンチャン」、「り・りょ」
逆に20代が年上の世代に言って伝わらなかった言葉は、1位「エモい」(87名)、2位「ワンチャン」(56名)、3位「り・りょ」「草」、5位「タイパ」という結果だった。感動や懐かしさ、ときめき、切なさなど、さまざまな感情を表現する言葉である「エモい」は、SNSなどではよく見かけるが年上世代には伝わりにくいようだ。不確かな状況を表す「ワンチャン」や『LINE』の返信などで「了解」を略した「り・りょ」、ネットスラングとして広く使われる「草」なども年上世代には伝わりにくかった。年上世代に伝わらなかった言葉として7位に挙げられた「とりま」は、「年上世代に言われて意味がわからなかった言葉」でも10位に挙がっており、世代とは関係なく伝わらない言葉となっているケースもあるようだ。
20代のお金に関する意識・実態で分かった生活費の不安感
20代に現在の生活費については、「非常に不安」(24.1%)と「どちらかといえば不安」(37.2%)を合わせた「不安」と回答した割合は61.3%だった。逆に「まったく不安ではない」(14.7%)と「どちらかといえば不安ではない」(24.0%)を合わせた「不安ではない」と回答した割合は38.7%と不安に感じる人が多かった。さらに老後の生活費でも「不安」は64.9%で「不安ではない」は35.1%と老後の生活費に不安を感じている人が多数派だった。
都道府県別では、現在の生活費では「不安」がもっとも高いのは71.0%で長野県と和歌山県だった。「老後の生活費」では「不安」がもっとも高くなったのは宮崎県(79.0%)で8割近くもいた。現在の生活費への不安度で1位となった長野県は、老後の生活費への不安度でも2位だった。
20代の現在の貯蓄額は平均149万円
20代の現在の貯蓄額は、「50万円未満」(33.9%)がもっとも多く、「50万円~100万円未満」(8.7%)や「100万円~200万円未満」(12.0%)にも回答が集まった。平均貯蓄額は148.8万円だったが、「0円」と回答した人も24.7%もいた。平均の貯蓄額は100万円を上回ったが、貯蓄ができていない人も少なくないことが浮き彫りになった。
都道府県別では、現在の貯蓄額の平均がもっとも高いのは愛媛県で平均282.0万円。それに大阪府(256.1万円)、滋賀県(234.1万円)、佐賀県(228.8万円)、島根県(225.2万円)と西日本が続く結果になった。もっとも低くかったのは青森県(72.6万円)で、最高額の愛媛県と比較すると209.4万円の差があった。
ちなみに60歳までに貯めたいと思う目標の貯蓄額では、「1000万円~2000万円未満」(18.9%)にもっとも多くの回答が集まったほか、「0円」(12.9%)や「100万円~500万円未満」(12.6%)、「2000万円~3000万円未満」(11.3%)などが上位になった。こちらの平均は3049.1万円という数字だった。都道府県別では、目標の貯蓄額の平均がもっとも高いのは大阪府で5520.1万円。次いで山口県(5043.1万円)、東京都(4663.4万円)、千葉県(4580.9万円)、鳥取県(4125.5万円)という順位で、もっとも低いのは「岩手県」の1677.2万円だった。
お金に関するトラブルを経験したことがある20代は約4割
消費・お金に関してマネーリテラシーで自信があることを質問すると、「家計管理に関するリテラシー」(34%)、「資産運用に関するリテラシー」(25%)、「ライフプラン(人生設計)に関するリテラシー」(33%)、「お金のトラブルに関するリテラシー」(38%)という結果になった。お金のトラブルに関するリテラシーでは、「自信がある」が38.3%で、どの項目でも自信がない人が多数派だった。特に「資産運用に関するリテラシー」では、自信がない人が4人に3人だった。資産運用の知識や判断力が足りないと感じている20代が多いようだ。
都道府県別では、「家計管理に関するリテラシー」で自信がある人の割合がもっとも高くなったのは千葉県で、東京都、青森県が続いた。「資産運用に関するリテラシー」では、自信がある人の割合がもっとも高かったのは東京都で、京都府と愛媛県が続いた。「ライフプラン(人生設計)に関するリテラシー」では、自信がある人の割合がもっとも高くなったのは青森県だった。「お金のトラブルに関するリテラシー」は、自信がある人の割合がもっとも高くなったのは栃木県と群馬県で、自信がある人が半数以上という結果だった。
さらに実際に消費・お金に関するトラブルを経験したことがあるかという質問では、「経験したことがある」は42.4%で4割以上がなんらかのトラブルを経験していると回答した。都道府県別では、消費・お金に関するトラブルの経験率がもっとも高かったのは福島県(59.0%)で、次いで茨城県(55.0%)、群馬県と東京都(いずれも53.0%)、栃木県(52.0%)という結果だった。「お金のトラブルに関するリテラシー」に対する自信度が51.0%で1位となった群馬県は経験率では3位、同じく自信度1位の栃木県が経験率5位、49.0%で自信度3位となった福島県が経験率では1位、同じく自信度3位の茨城県が経験率では2位となり、お金のトラブルに関するリテラシーへの自信度が高い都道府県が経験率でも上位に入る結果だった。自分や周囲がお金に関するトラブルを経験したことによって、自分自身がリテラシーを身に着けたと感じる20代が多いのかもしれない。
ちなみに消費・お金に関するトラブルを経験したことがある1995名に、経験したことがあるトラブルを質問すると、もっとも多いのは「クレジットカードの使いすぎ」(24.8%)だった。次いで「クレジットカードの不正利用」(16.3%)、「知人・友人との貸し借り」(15.9%)、「ワンクリック詐欺」(13.9%)、「後払い・分割払い・リボ払いでの使いすぎ」(13.0%)が続いた。20代のクレジットカードの不正利用やワンクリック詐欺といった詐欺行為に巻き込まれた経験がある人は少なくないが、これは20代になってから使い始めることでリテラシーが低くなることが要因かもしれない。
「20代の意識・実態調査2025」概要
調査対象:ネットエイジアリサーチのインターネットモニター会員を母集団とする全国の20歳~29歳の男女
調査期間:2025年8月8日~2025年8月26日
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
有効回答数:4700名(有効回答から各都道府県100名になるように抽出)
調査協力会社:ネットエイジア
構成/KUMU







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