夏のサンダルはいつから〝ふだん履き化〟したのか？

2025.10.27

近年、猛暑日の増加などを背景に、夏の装いとしてサンダルを街中で目にする機会が増えている。もともと海やプールなど特定のシーンで履かれることが多かったサンダルが、どのようにして日常のファッションへ浸透したのか。

LINEヤフーの多様なサービスから得られる行動ビッグデータを分析できる事業者向けサービス「ヤフー・データソリューション」はこのほど、ファッションアイテムの浸透に関する検索ビッグデータを分析したレポート「サンダルはなぜ普段履きに？LINEヤフーのデータから『ファッションアイテムが浸透していく背景』を分析してみた」を公開した。

「サンダル」の検索数は毎年7月がピーク

「Yahoo!検索」のデータによると、「サンダル」は毎年7月に検索数がピークを迎える傾向が見られた。2022年7月を頂点に全体の検索数はやや減少傾向にあるものの、近年も検索規模は大きく、季節の定番キーワードとして定着していることがわかる。

検索者の性年代別では40～50代の割合が高く、女性ユーザーの検索が同年代の男性の2倍以上を占めている。中高年層を中心に幅広く浸透している様子がうかがえる。

サンダルの売上高と「猛暑いつまで」の検索推移はともに2023年以降増加

「Yahoo!ショッピング」における「サンダル」カテゴリの購買金額を分析したところ、検索推移と同様に7月を中心に購買数が大きく増加する傾向が見られた。また2023年を境に売上が急増しており、特にレディースサンダルの伸びが顕著となった。

5～8月にかけては、前年同月のサンダル全体の売上をレディースカテゴリだけで上回る月もあり、女性を中心とした購買拡大が市場を牽引していることがわかる。

この背景の要因として、以下の3点が考えられる。

1. 気温上昇による影響

気象庁のデータによると、東京都の月平均最高気温は2022年から2023年にかけて7月で+1.3℃、8月で+1.7℃、9月では+2.3℃上昇しており、猛暑日の増加が確認された。

また、「猛暑いつまで」といった暑さ関連の検索数も、2023年以降7月から9月にかけて高水準で推移しており、ユーザーが「暑い時期が長い」と感じている傾向が読み取れる。こうした環境変化が、涼しさや通気性を重視したサンダルの購買増加を後押ししている可能性が考えられる。

2. 新型コロナウイルス収束後の外出需要の回復

「Yahoo!ショッピング」の購買データによると、2021～2022年の緊急事態宣言期間中は、サンダルの購買も一時的に低下していることがわかった。宣言解除後の2023年以降は購買数が大幅に回復した。同時期にスニーカーの購買も同様の伸びを示しており、外出機会の増加に伴う購買意欲の回復が、サンダル市場全体の拡大に寄与している可能性が推察される。