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話題の「複数志願制度」とは?知らないとマズい公立高校入試の新常識

2025.12.02

公立高校入試の「複数志願制」とは、1回の試験で複数の学校の合否判定が受けられる仕組みです。今後も広がると予想される制度の特徴やメリット・デメリットを解説します。

近年、公立高校の入試において複数の学校へ出願できる「複数志願制度」。受験生の進路の選択肢拡大や定員割れを防ぐ目的などから、導入を進める地域が増えています。

この記事では、複数志願制度の基本やすでに導入している都道府県の入試の仕組み、今後の導入動向などを解説します。

高校入試の「複数志願制度」とは?仕組みをわかりやすく解説

まずは近年話題の制度「複数志願制度」とは何か、他の受験形式とどこが違うのか確認しましょう。

■一度の試験で複数の高校の合否判定を受けられる制度

複数志願制度とは、一度の学力検査で2つの公立高校に志願し、合否判定を受けられる制度のことです。

これまでほとんどの都道府県の公立高校入試では、受験時に志願できる高校は1校のみでした。

しかし、複数志願制度では第1志望、第2志望という形で順位をつけ、2つの公立高校へ出願できます。試験の回数は従来通り1回と変わらず、定員割れの防止や受験生の進路の選択肢を広げる目的で導入が進んでいます。

万が一第1志望に不合格となっても、第2志望で公立高校に進学できる可能性がある点が大きな特徴です。

■単願や併願との違い

公立高校入試における単願とは、志望する公立高校を1校だけ選ぶ出願形式を指し、全国のほとんどの高校で採用されています。

併願とは、公立高校と私立高校を組み合わせて複数の学校に出願する方法です。第一志望で不合格になってしまう、もしもの場合を考え別の選択肢を確保できる点がメリットですが、公立と私立では試験が異なるため、出願の数だけ受験や手続きが増え、費用や手間がかかるのがデメリットといえます。

■複数志願制度のメリットとデメリット

公立高校の複数志願制度にはさまざまなメリットがあります。まず、受験生の進路の幅が広がり、「第1志望は難関校に挑戦し、不合格の場合は第2志望の公立校に進学」のような戦略的な受験も可能になります。

また、受験は一度で済むため何度も試験会場に足を運ぶ必要がなく、受験生の体力や精神的な負担が軽減される点もメリットといえます。

一方で、複数志願制度にはデメリットもあります。2025年11月現在で複数志願制度を導入している都道府県は少数で、地域によって仕組みが異なります。

そのため、複数志願制度を利用して受験する場合は、自分の地域の制度の正しい理解が必要です。

また、ほとんどの場合、第2志望の選抜は定員に満たなかった場合に実施されるため、人気の高い学校では第2志望で出願しても合格する枠がない可能性がある点にも注意しなければなりません。

合否はどう決まる?複数志願制度の合格判定まで流れ

複数志願制度では、どのような仕組みで合格が決まるのでしょうか。ここでは、すでに制度を導入している兵庫県を事例に、合否が決まるまでの基本的な流れを解説します。(※制度の詳細は複数志願制度を導入している都道府県ごとに異なります。)

複数志願制度の重要なポイントのひとつが、「第1志望の受験生を優先して合否が判定される」仕組みです。2つの公立高校へ出願した場合、第1志望校への合格が決定した時点で第2志望の合否判定の対象からは除外されます。主な流れは以下の通りです。

出願:地域のルールに従い、第1志望校・第2志望校を決めて願書を提出します。

学力検査:共通の学力検査を受けます。

第1志望校の合否判定:「その学校を第1志望としている受験生」を対象に、各高校が合格者を選抜します。

第2志望校以降の合否判定:第1志望の判定で定員に満たない場合や不合格者が出た場合のみ、その高校を第2志望としている受験生を対象に、各高校が残りの定員枠で合否判定を行います。

第2志望校の合否判定は、第1志望の合否判定が終わった段階で空きがある場合に、行われるのが基本です。そのため、人気校や定員を超える志望者が集まる学校では、第1志望の受験生だけで枠が埋まり、第2志望の受験生については判定がされないことも珍しくありません。

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複数志願制度をすでに導入している主な都道府県

複数志願制度は、全国的に導入されているわけではありませんが、一部の都道府県ではすでに定着しています。

■兵庫県

兵庫県では、全日制の普通科(単位制を除く)と総合学科で複数志願制度が導入されています。第1志望校の合否判定の際に「加算点」が与えられるのが特徴で、学力検査と調査書(内申点)の合計点に加算点を上乗せした数値が総合得点となります。

この仕組みによって、同じ総合得点の受験生がいた場合に、第1志望の生徒が第2志望の生徒よりも有利に判定されます。 高校側が「本当に入学したい」と考えている意欲の高い生徒を優先的に確保するための仕組みといえるでしょう。

参考:https://www2.hyogo-c.ed.jp/hpe/uploads/sites/10/2025/01/R7_senbatsuyoukoukai.pdf.pdf

■愛知県

愛知県の公立高校入試では、独自の複合選抜制度が採用されています。県内の公立高校をAグループとBグループに分け、それぞれのグループから1校ずつ、最大2校に出願できるのが特徴です。

全校で同一の採点基準にするためにマークシート形式の解答用紙が使用され、高校側は1回の学力検査の成績を第1志望校と第2志望校の両方の合否判定に利用します。

参考:https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/398347.pdf

■京都府

前期選抜・中期選抜・後期選抜の合計3回の試験が実施される京都府の公立高校入試制度では、「中期選抜」で併願が可能となり、2校までの志願が認められています。受験生は順位をつけて最大2校を志願します。

また、京都府は受験生や学校の負担軽減を目的に、2027年度の入試から現行の前期選抜・中期選抜を統合し、「前期選抜(仮称)」と「後期選抜(仮称)」の年2回の入試へと移行すると発表しました。形式は変わっても、複数校を志願できるルールはそのまま残る予定としています。

参考:京都府公立高等学校の新しい入学者選抜制度(案)の概要

Author
20代のフリーライター。日常で見つけた小さな気づきや発見を、自分自身の体験をふまえて綴っています。趣味は本を読んだり、映画を観たり、美味しいごはんを探し歩いたり。好奇心のままに、気になるものはとりあえず試してみるタイプです。(110字)

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