 
						フィンランドのタンペレ大学の神経科学者、Allan Kalueff氏らの研究によると、恐怖の処理に関係する脳の部位と、快感の処理に関係する脳の部位は、かなり重複していることが明らかになった。
また、イギリスのコベントリー大学で行われた研究では、ホラー映画を鑑賞した後では、血中における白血球の量が増えて、免疫力がアップすることが証明されている。
ホラー映画を見ると心拍数や呼吸数が増え、映画一本当たり113キロカロリーを消費して、ダイエット効果があるとされ、ホラーは私達の健康にも良い影響を与えている。
上質なホラーはドキドキワクワクさせてくれる最良の娯楽の一つだ。今回は大人気ホラーYouTuberに聞く、「ホラーの魅力」について、ワンランク上の楽しみ方を教えてもらおう。
登録者数51万人超えのホラー系YouTubeを運営
――今回、登場いただくのは、「眞霊 ほんとに沼る実話怪談」の原作者で、登録者数51万人超えのYouTube「ごまだんごの怪奇なチャンネル」を運営する、ごまだんごさんと兄のショウタさんです!二人のYouTubeチャンネルはいつもゾクゾクしながら拝見しています。ごまだんごさんの声が素敵で怖い!
ごまだんごさん 兄と2人で運営している番組で、普段怖い話を朗読させていただいているのですが、5年程前から視聴者様に実際に起きた怖い体験の取材をしております。この集めたお話達を公表するタイミングが中々無かったのですが、今回角川さんからお声がけいただき、4人の漫画家(界賀邑里、お里湯、沙さ綺ゆがみ、夏目りく)さんらと「眞霊 ほんとに沼る実話怪談」(KADOKAWA発刊、定価1,628円)を発刊しました。いただいたお話達の中でも、特に興味深かったお話を兄と厳選したコミックです。ホラーに関わる本を出すのが兄弟の夢だったので、話をいただいたときは「これだ」と思いました。
ショウタさん 僕も書籍でも出したいと考えていたところでした。元々は小説のように、文章で書いた本を出すイメージでしたが、KADOKAWA編集担当の関野さんから「今の時代はマンガの電子書籍で広まることが多いので、まずは漫画化するのはいかがですか?」と、提案を受けました。自分たちではマンガ化など思い付かず、結果的にすごく楽しい作業でした。
選んだ話は、当時僕たちが取材していた中で、特に怖かった話です。実話怪談ということで、全ての話に明確なオチがあるわけではなく “それこそが怖い”というお話ばかりとなっています。
僕自身は事実、実話を原作にすることを大切にしていたので、漫画を描いてもらう時も実話をリアルに再現してほしいと思って、かなり細かく漫画家さんに伝えました。
――ホラー漫画の反響はいかがでしたか?
ごまだんごさん 面白かったという声が多かったですが、声はいろいろでした。僕たちが今持てる力の全てを込めた作品なので、その上で皆に褒めてもらえる本を作るって、ホント難しいなと思いました。今後はコミック他、小説などいろいろなジャンルに広げたいと思っています。
ショウタさん さまざまな言葉をいただきましたが、意外なことに、出版社の皆様のアイデアで入れた自身の怖い体験を書いたミニ怪談コラムが好評で驚きました。あくまでオマケのつもりだったのですが……。
――原作者としてコミック化されたわけですが、どんな点に配慮されていますか?
ごまだんごさん 1)お話の改変をしない、2)体験者様にリスペクトする、です。体験者様にお話を聞く前には必ず、「様々な媒体で利用させて頂いても大丈夫ですか?」と許可をいただいた上で取材し、のちのち動画や本にした時トラブルにならないよう、同意書も書いていただいています。お話しいただく怪談が他の著作物に抵触していないか?なども明記されています。兄が10年以上、テレビ番組を制作する仕事をしていたので、街頭インタビューをする時に使用していた同意書を参考に作ってくれました。
皆様快く承諾してくださっていますので、僕らもその気持ちに最大限のリスペクトを持って応えようと気をつけました。
ショウタさん どんなに面白い内容でも読者に伝わらなければ0(ゼロ)なので、何よりまず「ちゃんと(正しく)話の内容が伝わる」ことを意識しました。
僕が漫画家様にお渡した原作の原稿が長かったこともあり、取捨選択が難しかったのだと思うのですが、あがってきたネームを拝見すると、内容が分かりづらい箇所もあったので、初めてこの漫画を見る気持ちで読んで、気になった部分は全てお伝えしました。
もう一点は、怪談を提供してくださった視聴者様を裏切らないということです。自分たちに都合よく内容を改変しないよう、細心の注意をはらいました。
――そういったたくさんの注意や配慮、リスペクトが質の高いホラー作品のベースになっていたのですね!
実は怖い体験をするのは苦手な二人
――作品からちょっと離れてご兄弟の横顔に迫りますが、二人とも子どもの頃からホラーが好きでしたか?
ごまだんごさん もともと自分はホラーが苦手でした。というより、怖いもの全般が嫌いだったんです。子供の頃からお化け屋敷もジェットコースターも駄目でした。
ですが、幼稚園生の時に茨城県に住んでいた時、ある踏切の近くで幽霊らしき女の子を見ました。その瞬間、幽霊や怪談に興味が湧き、元々ホラーが好きだった兄に本を貸してもらったり色々観たりし始めたんです。そしたらどっぷりハマってしまいました。幽霊ってなんだろう?から入っているので、現在もそれを探求したくて活動しています。
ショウタさん ホラーは子供の頃から大好きでした。好きになったきっかけは、4、5歳の頃に、幽霊の声を聞いたからだと思います。今となっては本当に幽霊だったのかは分かりませんが「生きて動いている人間ではない存在が、この世界にいるんだ」と興味を持ちました。
児童向けのホラー小説「怪談レストランシリーズ」を小学生の時に、お小遣いで買って、そこから怪談をより深く好きになったと思います。
よく、二人で活動されていて「兄弟の仲が良いね」と言われます。子供のころから二人で普通に遊んでいて、カーテンに隠れて怖がらせごっこ的なこともしていました。二人でホラーを始めたのは2006年に怪談話を披露するネットラジオを始めたのがきっかけです。ごまだんごから声を掛けられ、以来、二人で活動しています。
――ホラー原作者で良かった点、悪かったこと、3つずつあげてください。
ごまだんごさん 良かった点は1)幽霊や怪談がより好きになった、2)夢を叶えられた、3)色んな経験をさせてもらえた、です。悪かった点はありません。
ショウタさん 良かった点は仕事と称して、「初めて会った人から不審がられることなく実話怪談を聞ける」ことです。あと、何をやっている人なのか、説明しやすくなりました。初めて会う方に、ホラーコミック「眞霊」を渡せば「怪談を集めている人なんだ!」と分かってもらえるので助かっています。
あと、全国で取材をしているので、各地に実話怪談仲間が増えたのも良かった点です。取材で仲良くなった方が、地方の大学のオカルトサークルに掛け合ってくださったりして、怪談イベントができたらいいねと相談しあっています。
悪かった点は、怪談を集めているせいだと思っているのですが、たまに怖いことが起こることがあります。怪談は好きですが、自分に怪奇現象が起こるのは嫌いです。あとは特に無くて、良いことの方が多いです。
――ホラー作家として、好きな作品や目指している像などありますか?
ごまだんごさん 僕を楽しませてくれたあの本やこの本のように、僕と兄が書いた本が誰かの胸に残るような、大切な一冊になれたら良いなと思っています。その機会を増やすためにも、もっと本を出していきたいです。
ショウタさん 実話怪談が99話のっているホラー文庫「新耳袋」が大好きで、高校生の時はそればかり読んでいました。過度に恐怖を煽ることはなく、淡々と起こった現象が書かれていて、それが一冊に99話も入っていることに、当時衝撃をうけました。著者の1人の中山市朗さんの本は今も毎年買っています。目指しているわけではないのですが、私たちも違った形で世の中に実話怪談を残していけたら良いなと思っています。
 
						








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