今年のハロウィンは若者はどこへ向かうのか。“無法地帯”とまで言われた渋谷駅周辺のハロウィンが本格的に対策されたのが一昨年。渋谷区は対策費8800万円を投じ、ハチ公が封鎖するなどの大規模な対策が取られた。あれから2年、ハロウィンの熱狂は冷めたのか、それとも新たな形で進化しているのか。本記事では、2025年最新のハロウィン事情を追う。
渋谷ハロウィンは年々、社会問題へ
繁華街のハロウィンの騒ぎが悪い意味で大きな話題になったのは2018年のこと。騒ぎに集まった若者たちが軽トラを横転させる事件が発生した。主催者のいない渋谷ハロウィンは年々、秩序が保てなくなり、犯罪行為が多発する社会問題へとなっていた。
コロナ禍で一時、落ち着きを見せる時期もあったが、2022年には韓国ソウルの繁華街・梨泰院で100名以上の死者を出す雑踏事故が発生。そうした背景もあり、2023年、渋谷区は「ハロウィーン目的で渋谷駅周辺に来ないでほしい」と強いメッセージを発信。主催者のいないハロウィンに、事実上、渋谷区がハロウィン禁止を命じたのだ。その結果、2023年のハロウィンの人出は前年比で35%減となった。
過熱する渋谷ハロウィーン、バカ騒ぎ対策に区民一人当たり約1170円の負担
渋谷区の長谷部健区長は「ハロウィーン目的で渋谷駅周辺に来ないでほしい」と呼びかけている。 主催のいない渋谷のハロウィーンについて、渋谷区はこれまで「マナーとモラ…
渋谷区は今年は「禁止だよ!迷惑ハロウィーン」を標語に掲げ、引き続き、厳戒態勢にあたる予定だ。
主催者のいる「池ハロ」が人気に
主催者のいないハロウィンに渋谷区や新宿区は対策を強いられている。
一方で、渋谷、新宿と並ぶ繁華街「池袋」は少し様相が異なる。
豊島区の治安対策担当課は次のように言う。
「昨年、警備員を増員するなどパトロールによる警戒を行いました。しかし、池袋駅周辺では混乱はありませんでした。パトロールを行った際に見かけた状況では、通常の繁華街の人出の中に、何名ずつかコスプレの衣装を着て歩く人がいた程度でした。 今年も昨年と同様に、必要に応じて警備員を増強するなど対応を行う予定です」
なぜ、池袋は平穏が保たれているのか。その理由の一つが「池袋ハロウィンコスプレフェス」、通称「池ハロ」だ。
アニメの聖地・池袋でコスプレイヤー・カメラマンが参加する日本最大級のハロウィンイベントである。
主催者である池袋ハロウィンコスプレフェス実行委員会は、株式会社ドワンゴ、豊島区、株式会社サンシャインシティ、株式会社アニメイト、株式会社ハコスタが参加。池袋では、自治体と企業が協力をする主催者のいるハロウィンを開催している。
2014年より毎年開催しており、昨年は開催期間の3日で海外からの参加者も含め過去最多となる16.1万人が来場している。2025年も10月24〜26日の三日間で開催予定だ。
「過去11回の開催を数えていますが、本イベントにおいては他区で報道されているような混乱は起きておりません。(混乱が起きないように)特別な取り組みというものではありません。対策はルールの呼びかけや会場内の巡回等です。池ハロは参加者の皆さんの『このイベントを守ろう』という想いにも支えられていると感じています」(豊島区産業観光部担当者)
池ハロが開催されるおかげもあり、池袋のハロウィンのピーク池ハロの開催期間で迎える。そのため、ハロウィン当日に池袋周辺で騒ぐのは「ダサい」のだ。
Instagram、TikTok、BeReal…多くの若者がSNSを利用している。若者がハロウィンに参加する目的はこれらSNSに投稿する写真を撮りたいという理由が大きい。そのため、彼女たちはダサい行動を忌避する傾向にある。反対に、ステータスになる行動を好む。それが「池ハロ」であったり「Dハロ」(ディズニー・ハロウィーン)だったりするわけだ。
主催者のいないハロウィンから、主催者のいるハロウィンへ。若者の意識は変わりつつある。
取材・文/峯亮佑







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