2024年10月に欧州で発表され、2025年に日本に上陸した2代目となるBMW2シリーズグランクーペは、最新の1シリーズの3BOX版という位置づけだが、そのスタイリングはほぼ初代を踏襲。ホイールベースもそのままだが、全長、全高ともに20mm、15mm拡大された一方、全幅は日本の路上でも扱いやすい1800mmを維持している。この1800mmは先々代のE90型3シリーズとほぼ同じであり、当時の3シリーズの車幅に魅力を感じていたBMWユーザーにとってはジャストフィットするサイズ感と言っていい。
刷新されたインテリア
刷新されたインテリアはメーターとコントロールディスプレイを一体化させたBMWカーブド・ディスプレイを、最新のインフォテイメントシステム(Android Autoの使用も可に)採用するとともに、シフターはすっきりとしたレイアウトになるトグルスイッチによるギヤセレクターに変更されている。
今回は連続して2台の2シリーズグランクーペに試乗することができた。まず乗ったのは528万円の220グランクーペ M Sportだ。パワーユニットは直3 1.5L DOHC+48Vマイルドハイブリッド、156ps、240Nm。システム出力170ps、280Nm。ミッションは新たに7速DTC(デュアルクラッチトランスミッション)となっている。タイヤは225/45R18となる(全グレード共通)。
走り始めれば、モーターによる加勢は明らかで、エンジンはアイドリング時を除けば3気筒感など皆無に近い、BMWらしいスムーズな回転、加速力を発揮してくれた。とくに中間加速でのトルクの押し出し感に頼りがいを感じさせてくれるのだ。ハンドリングは「FRじゃなければBMWじゃない」と信じるBMWファンも納得の、BMWの真骨頂たるシャープでレスポンスに優れたふるまいを見せ、低重心感覚に満ちたドライビング、リヤがグッと踏ん張る安定感たっぷりのコーナリングを味わせてくれた。タイヤは18インチが奢られるが、乗り心地は硬質ながらフラットで上質な快適感があり、BMWファンなら納得できるに違いないタッチに終始する。ホットなまでの走りを望まないユーザーにとって前輪駆動だろうが、3気筒だろうが、このBMW2シリーズグランクーペは、選択肢のまな板に乗せるべき1台だと思える。
迫力あるエンジン音の「M235 xDrive」
次に短時間、試乗したのは2シリーズグランクーペの最上級モデルとなる、734万円のM235 xDriveである。つまり、四輪駆動で直4 2LDOHC、300ps、400Nmの強力なエンジンスペックと7速DTC、225/45R18サイズのタイヤを組み合わせたホットモデルである。
そのホットさはエンジンを始動するだけで実感できる。そう、ヴォンという迫力あるエンジン音を響かせ、熱い走りの世界の始まりを予感させてくれるのである。もちろん、加速力にしても220 M Sportとは比較にならないし、乗り心地はエンジンパフォーマンスからは想像できない快適さがあり、スポーツにセットすればグッと引き締まったスポーティなタッチになる変幻自在さが楽しすぎる。そしてスポーツモードでも高速走行で速度を上げるにつれ、しなやかさ、スポーティな快適感が増していく印象となるからロングランも爽快なままこなせるに違いない。
その上でM235 xDriveの真骨頂と言えるのが、あらゆる曲がりのシーンでダイレクト感とオン・ザ・レールに徹し、豪快なBMWスポーツクーペらしさをいかんなく発揮してくれるところだろう。そのドライブフィールを味わうと、「BMWはFRに尽きる」なんていう話はどうでもよくなる。そして体に、脳にしみ込むようなド迫力、豪放なエンジン音や自動ブリッピング機能がスポーツ心を盛り上げてくれるのだからもうたまらない。四輪駆動の安定感はそうしたスポーティな走りの場面だけでなく、全天候型グラン度ツアラーとしての資質をより一層高めてくれる気持ちよさ、安心感に直結する。今やBMW3シリーズが318i(2L 156ps、250m)で678万円、320i(2L 184ps、300Nm)で724万円に達していることを考えると、xDrive=四輪駆動かつ300psのパフォーマンスを備えるM235 xDriveの734万円はむしろお買い得にさえ感じてしまったりする。
BMWには財布に入るクレジットカードサイズのデジタルキーが用意されるのも、日々の使いやすさに貢献してくれるだろう。
文・写真/青山尚暉







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