2023年に廃止された18歳未満の非課税投資制度「ジュニアNISA」に代わる仕組みとして、期待が高まる「こども支援NISA」構想。予想される内容を旧制度と比較します。
目次

2023年末に「ジュニアNISA」が廃止されて以降、未成年(18歳未満)の子どもの将来に向けて非課税で資産形成できる制度がなくなってしまいました。
こうした状況を受け、政府はジュニアNISAに代わる新たな仕組みとして、「こども支援NISA(仮称)」の導入検討を進めています。
この記事では、2025年10月時点で予想される、こども支援NISA構想の内容やジュニアNISAとの違い、新制度の開始を待つ間に親ができる資産形成についてわかりやすく解説します。
「こども支援NISA」構想とは?
「こども支援NISA」は0歳から子どもの名義で資産運用を始められる非課税投資制度の構想です。2025年10月時点で具体的な制度の内容や開始時期は公表されていません。
■0歳から資産形成を始められる新たな非課税制度
現行の新NISAは18歳以上が対象のため、未成年の名義では口座の開設ができません。そのため、2023年末にジュニアNISAが廃止されて以降、非課税で資産運用をスタートできる手段がありませんでした。
こども支援NISAは、旧ジュニアNISAに代わり、0歳からでも非課税で投資信託などを始められる仕組みとして、こども家庭庁と金融庁を中心に検討が進められています。大学の入学金や授業料など、将来の子どもの教育費を長期的に準備するための活用が想定されています。
■金融教育のきっかけにもつながる
子ども自身の名義で口座を持ち資産運用をすると、幼い頃から自然とお金や経済の仕組みに興味を持つきっかけが生まれます。早い段階から投資への理解を深め、成人後の資産形成にも役立つ知識や金融リテラシーを身につける機会になるでしょう。
「こども支援NISA」と「ジュニアNISA」の違い
以前の未成年向けの非課税投資制度「ジュニアNISA」と、現時点で予想されている「こども支援NISA」の内容を比較してみましょう。
■引き出し制限の緩和
2023年12月に終了したジュニアNISAでは、「18歳まで原則引き出し不可」という厳しい引き出し制限があり、思うように制度が普及しなかった原因のひとつといわれています。
新しいこども支援NISAの構想では、この反省点を踏まえ、引き出し制限の緩和が期待されています。必要な時に必要な金額を引き出せるようになれば、教育費以外にも幅広い目的で資金を活用できるようになるでしょう。具体的な条件や制限は今後決まりますが、使い勝手の向上がポイントとなりそうです。
■非課税投資枠の拡大
ジュニアNISAの非課税投資枠は年間80万円でしたが、こども支援NISAの新構想では、現行の新NISAの「つみたて投資枠」と水準を合わせ、年間120万円程度になると予想されています。投資枠が増額すれば、より多くの金額を非課税で運用できるようになり、ジュニアNISAの運用時よりも効率的な資産形成が期待できます。
「こども支援NISA」開始を待つのは損!今すぐできる資産形成のポイント
こども支援NISAの運用開始時期は未定ですが、子どもの将来に向けた資産形成は今からでも始められます。
■「始める時期」が将来の資産を大きく左右する
「こども支援NISAが開始されるまで待とう」と何も行動しないのは、もったいない選択です。資産形成においては時間が大切なポイントになるため、資産形成を早く始めれば始めるほど、「複利」の効果を最大限に活かせます。
複利とは、投資で得た利益を再投資することで資産が雪だるま式に増えていく仕組みです。運用開始時期が1年違うだけで、将来受け取れる利益に大きな差が出ることも少なくありません。
■親の「新NISA」活用も選択肢のひとつ
2024年から始まった新NISA制度を親自身が活用し、資金運用を始めておく方法も有効です。新NISAでは生涯で1,800万円まで非課税で運用でき、必要なタイミングで自由に資金を引き出せるメリットがあります。
まずは「子どもの教育資金用」として、親のNISA口座内で資金を分けて管理するなど、無理のない範囲で準備を進めていくのも良いでしょう。
こども支援NISA構想に関するQ&A

現在構想中のこども支援NISAに関する質問と回答をまとめています。
Q1. こども支援NISAいつから始まりますか?
2025年10月現在、こども支援NISAの具体的な内容や開始時期はまだ決まっていません。2026年度の税制改正での導入を目指して、制度設計の検討が進められている段階です。この記事でご紹介した内容はあくまで現時点での予想に基づくものであり、確定した情報ではありません。今後の政府による正式な発表を待ちましょう。
Q2. こども支援NISAはジュニアNISAの代わりになりますか?
未成年が利用できる非課税投資制度がないため、この空白を埋める制度としてこども支援NISAの誕生が期待されています。新しい制度は、ジュニアNISAの課題を踏まえた上で、より多くのメリットが得られる内容になると予想されているため、ジュニアNISAよりも利用しやすい仕組みになる可能性が高いでしょう。
Q3. 廃止されたジュニアNISA口座はどうなりますか?
2023年末までにジュニアNISAで積み立てた資産は、継続管理勘定に自動で移行され、子どもが成人(18歳)になるまで非課税で保有できます。制度廃止に伴う特例として、現在は18歳未満でも非課税での引き出しが可能になりました。ただし、積立金の一部のみを引き出すことはできず、資金を引き出すと口座は閉鎖となります。資金の追加や再利用はできません。
「こども支援NISA」は、ジュニアNISAでの反省点を活かした、子どもの将来に向けた資産形成や金融教育をサポートする新たな非課税投資制度として構想されています。具体的な内容や開始時期は未定ですが、今のうちから親のNISA口座を活用して資金を増やすなど、できることから始めることで将来の子どもへの資金サポートにつながるでしょう。今後も新制度に関する情報に要注目です。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/久我吉史
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