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Xで大論争!話題の「Sora2」は著作権を侵害しないのか?

2025.10.22

AIは、人間の創造性やそれを原資とする職業まで奪ってしまうのか?

たとえば、ライターの世界にはAIの影響力が大きく及んでいる。2年ほど前までには存在した「文字起こしライター」という業種が、今ではすっかりなくなってしまった。AIと連携したボイスレコーダーが普及し、文字起こしを人間がやる必要がなくなったからだ。

では、イラストレーターや漫画家、さらにアニメーターの業界にもそういった変化が起こるのか?

異なる作品のキャラ同士がバトル!?

OpenAIが9月30日に公開したAIモデル『Sora2』が、巷に極めて大きな衝撃を与えた。

動画や音声を生成できるこのAIモデルで、たとえば「ルフィと炭治郎が戦っているシーン」を指定した場合、本当にそのような場面が生成されてしまうことが判明している。「仮面ライダーとドラえもんが戦っているシーン」も、恐らく同様に動画が生成されるだろう。これを「夢の対決が実現する!」と捉えてはいけない。それぞれのキャラには著作権というものがあり、SNSに投稿されたAI動画はそれを侵害している可能性が非常に大きいからだ。

しかもこれは、アニメーションだけではない。

「水の呼吸壱ノ型・水面斬り」や「キン肉バスター」、或いは「どこでもドア」という文言を読むと、即座に該当の声優の声を思い浮かべる人が大半ではないだろうか。そう、Sora2は何と声優の声をも再現できるのだ。筆者が驚いたのは、「パチスロを打つ炭治郎」の動画がXにアップされていたことだ。その中で炭治郎は、強い口調で「全集中の呼吸!」と言いながらスロットのボタンを押しているのだが……。

衆院議員も問題に言及

Sora2はディズニーやマーベルの作品に似せたものは出力できないとされているが、一方でマリオやポケモンにそっくりのキャラを出力してしまった例が報告されている。あの任天堂が権利を持つキャラですらも、Sora2で自由に生成できる状態である。

無論、Xでは大論争を巻き起こした。

以下、自民党の塩崎彰久衆院議員のポストである。

「私も触ってみましたが、重大な法的・政治的問題があると感じました。世界をリードする日本のクリエイターの皆さんやコンテンツ産業を守り、育てていくためにも、早急に対応したいと思います」

既存のアニメ作品にそっくりなキャラを登場させた動画は、著作権を持っている人や企業ではなく「動画を生成した人」に莫大な利益を与える可能性も考えられる。生成動画をYouTube等で公開し、収益を得るという流れだ。

こうなると、話は「映像業界の存続」にまで及んでくるだろう。

そんなSora2に関しては、既に全米映画協会(MPA)が声を上げている。10月6日、全米映画協会はOpenAIに対して著作権問題に関する「即時かつ断固たる措置を取る」ことを要求した。

アルトマンCEOの声明

現時点で、Sora2には著作権保有者によるオプトアウトが実行できる仕組みが用意されている。即ち、著作権保有者がプラットフォームに対して「私の作品を使うのはやめてくれ」と申し出ることができる窓口である。

その上で、Open AIのサム・アルトマンCEOは「著作権保有者がより細かい設定を施せるようにする」とブログで明言している。

これは以下のような意味になると思われる。仮にそのキャラをSora2が学習し、それに似せた動画の生成を著作権保有者が認めるとしても、「残虐な行為をする内容」や「性的な行為をさせる内容」はさせてほしくないという場合にそれを著作権保有者が抑制できるということだ。

なお、アルトマン氏はこのブログの中で、以下のように述べている。

「日本の素晴らしい創造力には感謝の意を表したいと思います。ユーザーと日本のコンテンツのつながりの深さに、私たちは驚嘆しています!」

我々の一挙手一投足が「AIの在り方」を変える

アルトマン氏の言葉には、Sora2が権利者保護に関して今後どのような施策を打ち出すのかは、日本のコンテンツ制作者が「何を言うのか」にかかっている……という意味合いが含まれているのではないか。

アメリカで最も大きな政治力を持つ業界団体や労組は、全てハリウッドの中にあると言われている。今後はハリウッドの俳優労組がSora2に対してどのような声明を出すのかが注目されるだろう。これは言い換えると、日本のクリエイターはハリウッドの俳優労組と同じくらいの影響力をAI開発企業に対して持っているということだ。

生成AIモデル及びそれを提供するプラットフォームが、21世紀の姿を大きく変える発明品になることは間違いない。問題は、その方向性である。生成AIプラットフォームとどう付き合うのか、どのような仕事を任せてどのような存在意義を与えるのか。今はそれを関係者全員で模索している段階だ。

一度発明されたものを「なかったもの」にすることは、誰にもできない。が、「接し方」を講じることは十分に可能である。我々の態度、そして一挙手一投足が最先端テクノロジーの在り方に少なくない影響を与えている点は、まず自覚するべきだろう。

【参照】
Sora2
OpenAI’s Sora 2 must stop allowing copyright infringement, Motion Picture Association says-CNBC
Sora update #1-Sam Altman

取材・文/澤田真一

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1984年生まれ。静岡市生まれ相模原市育ち。グラップリング歴20年超。世界のスタートアップ情報からガジェットレビュー、Apple製品、キャッシュレス決済、その他諸々のジャンルの記事を執筆。

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