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消費者の声から生まれる!100円ショップのヒット商品を支える「みん100」の裏側

2025.10.19

筆者は、これまで150を超える100円ショップの品々を紹介してきた。

単なるコモディティではなく、小さなアイデアが光る商品だけを精選しても、これほどの数があり、発掘すればまだありそうだ。

こうした商品は、どのようなプロセスで生まれるのか興味を持ち、調べると「みん100」というウェブプラットフォームにたどり着く。一般消費者から、「100円ショップで商品化してほしいもの」のアイデアやお困りごとを募り、それらをメーカーに提案。

実際に開発・製造して、100円ショップで販売される仕組みだという。これまで「みん100」発で生まれた商品は、およそ100アイテム、販売個数は約2千7百万個に及ぶという。

「みん100」ウェブサイト

「みん100」を運営するのは、池田大介さんが代表取締役を務める、みん100株式会社。京都駅近くにあるオフィスを訪れ、ヒット商品を生み出すコツをうかがった。

商品のアイデアが枯渇しているという声から誕生

――「みん100」が生まれた経緯を教えてください。

私はITエンジニアをしていて、100円ショップに卸しているメーカーさんとも取引がありました。付き合ううちに、「新商品のアイデアが枯渇して困っている」と、先方が話されたのですね。

一昔前に比べ、商品のライフサイクルがどんどん速くなり、早いペースで新商品を作らなくてはいけないという背景がありました。他のメーカーも同じ課題を抱えていたので、ITエンジニアのスキルを生かして、新商品開発をサポートするサービスを作るという話に発展し、「みん100」が誕生しました。

サービス自体は10年ほど前に立ち上がったのですが、法人化したのは2020年のことです。メンバーは、私のほかに取締役の松野尾絢三と吉見友絵の2人という小所帯で運営しています。

生み出したヒット商品を手に吉見さん、池田さん、松野尾さん

投稿されるアイデアは月100件を超える

――「みん100」の仕組みはどのようなものでしょうか?

仕組み自体はシンプルです。公式サイトにアクセスいただくと、アイデア(「あったらいいな」と呼びます)の投稿ページがあります。会員登録され、「商品化してほしい」と思うアイデアを書いて送るだけです。

月に120~150件のアイデアが投稿されてきます。それらを私どもが精査・検討して、毎月10~20件をメーカーに提案いたします。それらは、メーカーと100円ショップのバイヤーが検討し、その一部に開発・製造のゴーサインが出るわけですね。

まったく新機軸の商品だけではなく、既に存在する商品を一部改良したものが採用されることも多いです。

そうやって商品化にこぎつけるのは、年に10件くらい。商品開発による成果によって収益を得るビジネスモデルです。

シンプルな発想がヒット作の種になる

――少し前に、私はセリアの「調理に使える計量スプーン」の紹介記事を書きましたが、これも「みん100」発の新商品でしたね。

はい、これも消費者さんの投稿から実現化したものです。内容は、計量できて、食材を混ぜるのにも使えて、それで食べるのもOKな計量スプーンを商品化できないのかというものでした。

言われてみれば、既存の計量スプーンって、柄が短いとか、耐熱性がないものがほとんど。計量に特化した発想だと、どうしてもそうなりますね。でも、調理もできる、口に運べると用途を広げれば、柄を長くして、鍋を傷つけない耐熱素材にしたら、「いけるのでは」となります。

「みん100」がなかったら、消費者がそれ願っても、商品化への糸口がないので、実現されないままだったでしょう。投稿する仕組みがあることで、こうして具現化できたのですね。

ありそうでなかった新製品「調理に使える計量スプーン」

意外なアイテムが売れ筋商品になる

――これまで商品化されたもので、人気のヒット作となったものはありますか?

いくつかありますが、例えば「ベビーカー車輪カバー」が挙げられます。「車内や玄関の土間にベビーカーの車輪汚れがつかないようにしたい」というニーズを見込んで誕生しました。厚みのあるレインコート素材で作ったシャンプーハットのようなものですが、多くの潜在需要があったことで、大ヒットしました。

似たコンセプトで「使い捨て幼児くつカバー」というのもあり、同様によく売れています。

大ヒットした「ベビーカー車輪カバー」と「使い捨て幼児くつカバー」

もう1つが、「立てて置ける保存容器」。凍らせた食材を冷凍庫内で自立させておけるタッパーですね。ふつう、こうした容器は、平らに置くことを前提にしています。でも、それだと手狭な冷凍庫では場所を取りすぎてしまいがち。

そこで、立てて置ける構造にしたことで、収納スペースを無駄にせず、出し入れしやすいというメリットが生まれました。これも、事前調査してニーズがあると判断して商品化したものです。発売は4年前ですが、今もよく売れるロングセラーとなっています。

ロングセラーの「立てて置ける保存容器」

アイデアがそのまま商品になるわけではない

――消費者から寄せられたアイデアの商品化と聞くと、なんとなく簡単そうに思えますが、実際は苦労する部分も多そうですね。

投稿内容がそのまま商品化されることはまずなく、消費者さんに機能、デザイン、個数など何度もアンケートを重ねていくことで、ようやくニーズにマッチした商品の形が見えてきます。

「ベビーカー車輪カバー」も、もともとは「キャンプ用品を運ぶカートの車輪にはめるカバーが欲しい」という投稿から展開したものです。そこからアンケートやユーザーインタビューを重ねて、「ベビーカーの車輪で同じことができないか」と発想の転換があり、最終的に今の商品になったのです。

苦労はありますが、様々なステップを踏んで、最終的に納得のいく着地点を目指すプロセスは大事にしていますね。

「みん100」発の商品の数々

「みん100」公式サイト:https://min-100.com
取材・文/鈴木拓也

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老舗翻訳会社役員を退任後、フリーランスの仕事人となる。ライターとして手掛けるテーマは、トラベル、ガジェット、著名人取材、アートなど幅広い。また、クリエイターとしての活動にも力を入れている。ライフワークは秘境と神社仏閣めぐりで、撮った写真をInstagramに掲載している。 https://www.instagram.com/happysuzuki

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