
2025年に人気が高まりそうな「トレンド鍋®」は、「アロマ鍋」!
株式会社ぐるなびは、ぐるなびのビッグデータや会員へのアンケート調査などをもとに、その年のトレンドとなりそうな「鍋」を「トレンド鍋®」として2009年から毎年発表している。2025年9月26日に発表された2025年「トレンド鍋®」は「アロマ鍋」だった。
発表会では株式会社ぐるなび飲食店支援事業部の林彩花氏が選定の理由を解説。続いて発表会会場の「博多ほたる 麻布十番店」料理長代理 前野晧洋氏が新メニューのアロマ鍋「薬膳きのこもつ火鍋」のポイントを解説した。最後に、東京農業大学 生物産業学部 食香粧化学科&自然資源経営学科教授の佐藤広顕氏が、「おいしさの見える化」について講演。
2023年「トレンド鍋®」は「とろみ鍋」
過去に発表された「トレンド鍋®」を振り返ると、2023年は「とろみ鍋™」だった。観測史上最も暑い夏となったために身体の中から冷やそうという消費行動が増加し、「冷やし」メニューの人気が高まったが、気温が低下するとともに身体を温める「温活」に注目が集まっていくと予想。保温性に優れ、満足度を高める「とろみ」は2023年の発表当時にかけての1年で飲食店でも取扱いが約1.5倍(※1)に伸びていたほか、物価高による影響で光熱費などの節約志向が高いことから、「とろみ」をつけた、冷めにくく身体を芯から温める“とろみ鍋™“をトレンド鍋として提案した。
※1「ぐるなびデータライブラリ」 2022年7月1日~2023年7月31日の期間で、検索指数と全国の飲食店の取扱指数を比較
※2点ともメニュー考案は「GURUNAVI FOODHALL WYE」料理長 高橋毅氏(当時)
2024年は「新感覚すき焼き」を「トレンド鍋®」に選定
2024年の「トレンド鍋®」は、「新感覚すき焼き」だった。「楽天ぐるなび 外国語版」の2023年4月から2024年9月の「すき焼き」のPV数はしゃぶしゃぶの約2.5倍。12ヶ月間の飲食店の取扱指数をもとに分析した結果、選ばれた。「卵で食べる」「割下を使う」といった従来のすき焼きの特徴を活かしつつ、食材や割下などに工夫を凝らし、さまざまなスタイルで楽しむ多様化する食の嗜好に合わせて新たな形に進化させることで、日本人のみならず、訪日外国人も「すき焼き」の新たな魅力を発見することができることもポイントだという。
※2点ともメニュー考案は「GURUNAVI FOODHALL WYE」料理長 高橋毅氏(当時)
「アロマ鍋」とは、「香り×食」の体験で心まで満たす鍋
林氏によると、「アロマ鍋」の定義はハーブ、スパイス、柑橘類の香りを使用し、五感で味わう「香り×食」の体験で心まで満たす鍋。その選定ポイントとして3つの要素を挙げた。
1つ目は香辛料市場の拡大。国内の香辛料市場は拡大しており、食に香りを加えることで「癒し」や「セルフケア」を求めるウェルネス志向が高まっている。ぐるなびのデータ(※2)では「ハーブ」の検索数は1年で約1.7倍(2024年6月と2025年6月の比較)、「セリ」は2年で約1.6倍(2023年2月と2025年2月の比較)に伸長している。
※2「ぐるなびデータライブラリ」によるデータ
2つ目は記憶に刻む五感体験と香りへの注目。AIの活用が進む2025年は効率化が加速する日常の反動で、記憶に残る豊かな「五感体験」の価値が再認識されると分析。ぐるなびユーザー調査では約8割の人が料理を食べる際に香りを重視していることが明らかになり、五感の中でも一番記憶に残りやすいとも言われている「香り」がトレンドの傾向にあるという。
「香りと食の体験の一例として、ジャパニーズ・クラフトジンも挙げられます。ぐるなびが発表する『今年の1皿』の『2024年、準大賞』にも選定されましたが、コリアンダーやカルダモン、山椒、レモンなどを使った華やかで、ボタニカルな香りが人気になりました。このように、香りを楽しみながら食事をする人が多いことが、2つ目の理由です」(林氏)
3つ目はストレス社会における新たな食習慣として、香りで心を和らげる潮流が生まれていること。多くの人がストレスを抱える現代において、同調査では、約48%がリラックスや気分転換のために香りやアロマを使用すると回答しており、食事でも香りで心を和らげ、香りを味わうトレンドが生まれているという。
結果、ユーザーアンケート調査では約80%が、料理を食べる際、香りが「とても重要」、「ある程度重要」と回答し、香りで食事を楽しんでいる人が多いことがわかった。
「鍋から立ち上がる香りは、単なる匂いではなく、食事や食欲や気分を刺激する体験そのものです。スパイスやハーブ、柑橘類など、鍋に合わせた香りの組み合わせが、味や見た目だけでなく、香りを含めた新たな食の体験価値を提供します。 豊かな香りで、心まで満たすアロマ鍋を、ぜひ楽しんでいただければと思います」(林氏)
取材・文/桑原恵美子
取材協力/株式会社ぐるなび