
玩具を中心に各種アミューズメント関連商品を取り扱うハピネットは、「キダルト」に関する実態調査を初めて実施。結果をグラフと図表にまとめて発表した。
本稿では同社リリースをベースに、その概要をお伝えする。
<本調査におけるキダルトの定義>
「キダルト(Kidult)」とは、「Kid(子ども)」と「Adult(大人)」を組み合わせた造語で、子どもの頃に親しんだ玩具やキャラクター、ホビーを大人になっても趣味として楽しむ人々を指す。近年では、キダルト層向けの商品が多様化・高品質化しており、国内外で注目を集める市場となっている。本調査では、玩具売場におけるキダルトの実態を深堀りするため、キダルトの定義を「過去1年以内に自分用に玩具を購入したことがある」「購入した商品に子どもを主ターゲットとした下記11カテゴリの商品が含まれる」のいずれにも該当する大人とした。
(1)ゲーム一般ゲーム、立体パズル、 その他(パーティ、ジョーク、手品含む)
(2)ジグソーパズルキャラクター含む
(3)アクショントイ遊びながら競える玩具など
(4)キャラクタートイTVキャラクター玩具、映画キャラクター玩具など(ぬいぐるみは除く)
(5)コレクショントイ「推し活グッズ」を除く、食玩、缶バッジ、アクリルスタンドなど
(6)のりもの玩具ミニカー、レールトイなど
(7)ラジコントイR/C、(組み立て式は除く)
(8)液晶付き玩具
(9)ドール・ままごと着せ替え(人形、ハウス)、ままごと、抱き人形など
(10)ぬいぐるみキャラクター含む
(11)ブロック
「キダルト」人口は約535万人と推定、市場はさらに拡大の余地あり
【質問1】あなたは過去1年以内に玩具を買ったことがありますか。買ったことがある人は購入目的をお知らせください。(n=1万5875)※複数回答可

全国の18~60歳の男女(1万5875名)のうち、「過去1年以内に自分用に玩具を購入した人」の割合は15.8%という結果になった。
そのうち、「玩具売り場にて展開されているキダルト商品を購入した人」の割合は8.3%であり、この割合を人口推計(総務省統計局)の18~60歳男女の人口に当てはめると、「535.4万人」のキダルトが存在することが推定できる。
また、本調査における玩具を購入していない層(72.0%)についても、ライフステージの変化等で玩具商材とのタッチポイントが増えることで、キダルト市場はさらなる拡大の可能性が見込まれる。
■キダルト層が1年間で自分用に購入する玩具の平均金額は「1万4574円」
【質問2】過去1年以内に自分用に玩具を購入した総額をお知らせください。
(以降は【質問1】でキダルトと定義された1089名に調査を実施)

過去1年以内に自分用に購入した玩具の総額を調査したところ、「2000~4999円(18.8%)」の割合が最も大きく、次いで「5000~9999円(17.5%)」「,000円未満(15.5%)」の割合が大きいという結果になった。
キダルト全体の年間平均購入金額は「1万4574円」であり、性年代別で比較すると、平均金額が最も高いのは「男性30~39歳(1万8214円)」だった。また、どの年代でも女性よりも男性の方が平均金額が高い傾向がみられた。

■大人が玩具を購入する理由は「懐かしさ」や「子ども時代の憧れ」
【質問3】過去1年以内にご経験した自分用の玩具購入についてお尋ねします。玩具を購入した理由をお知らせください。※複数回答可

玩具購入の動機について調査したところ、最も多かったのは「懐かしい気持ちになって、つい手に取ってしまった(48.6%)」で、全体の約半数を占めた。
次いで多かったのは「昔から欲しかったが、子どもの頃は買えなかったから(27.6%)」だった。この結果から、大人が玩具を購入する背景には、「懐かしさ」や「子ども時代の憧れ」といった感情が大きく影響していることが推定できる。
また、子どもの頃は欲しくても買えなかった玩具について、大人になり経済的な余裕が出たことで購入に至っていると考えられる。
キダルト層が最も購入したのは「ぬいぐるみ」
【質問4】過去1年以内に自分用に購入した玩具・キャラクターグッズに当てはまるものをすべてお答えください。※複数回答可

過去1年以内にキダルト層が購入した玩具・キャラクターグッズについて調査したところ、キダルト商品(11カテゴリ)に限定すると、最も多かったのは「ぬいぐるみ(48.5%)」で、約半数が購入経験を持つことが判明した。次いで「コレクショントイ(35.0%)」が続いている。
■〝回帰層〟が約3割、ライフステージの変化が購入再開の契機?
【質問5】過去1年以内に自分用に購入したことがある玩具は、あなたが子供の頃から買い続けているものですか。それとも大人になってから買うようになりましたか。

過去1年以内に購入した商品の、継続的な購入についてカテゴリ別に調査したところ、多くのカテゴリで「子どものころから買い続けている(継続)」層が半数近くを占める中、コレクショントイは「大人になってから初めて買った(新規)」層の割合が最も大きくなる傾向がみられた。
また、「キャラクタートイ」「ドール、ままごと」「ぬいぐるみ」では、「子どもの頃は買っていて、しばらく買っていなかったが、大人になってから再び買った(回帰)」層が約3割という結果も得られた。
この背景には、「経済的に余裕ができ、自分用に購入できるようになった」「親になって子どもと一緒に遊ぶため」など、ライフステージの変化が影響していると考えられる。
■購入玩具の満足層「93.9%」、今後の購入意欲あり「91.6%」、キダルト市場は“買ってよかった”が次の消費につながる
【質問6-1】過去1年以内に自分用に購入した玩具について、どの程度満足していますか。

【質問6-2】今後も自分用に玩具を購入したいと思いますか。(n=1,089)

購入した玩具の満足度について調査したところ、「とても満足(57.4%)」と「やや満足(36.5%)」を合わせた満足層は「93.9%」に達した。
さらに、今後の購入意向は、「とても購入したい(55.9%)」「やや購入したい(35.7%)」と意欲的な層が「91.6%」を占める結果に。キダルト層においては、購入した玩具の満足度の高さから次の購入につながる好循環が生まれていると考えられる。
さらに、非キダルト層が玩具を購入して、同様の満足体験を得ることで、キダルト市場がより広範な層へと拡大していく可能性が考えられる。
調査概要
調査期間/質問1~6…2025年5月30日~6月2日
調査対象者/質問1~6…全国18歳以上60歳以下の男女
有効回答数/質問1…1万5875名、質問2-6…1089名
調査委託先/GMOリサーチ&AI株式会社
調査方法/インターネット調査
集計方法/性年代構成比に基づきウェイトバック集計を実施。本資料掲載の数値はウェイトバック後のものを使用。
関連情報
https://www.happinet.co.jp/
構成/清水眞希