人には言えない性の悩み。男性にとっての「早漏」もその一つではないだろうか?
日本性機能学会はこのほど、20~79歳の日本人男性37,485人を対象に「性機能障害の全国実態調査」を実施。その系統結果を解析し、 早漏の実態を明らかにした。詳細は以下の通り。
約4人に1人(910万人)が早漏で悩んでいる
20歳から79歳までの日本人男性を対象としたインターネット調査に基づいて、自己申告による早漏の有病率を評価した。
その結果、性交体験が確認された5,331人において、早漏で悩んでいる人が23.4%いるとの結果になった。これを国勢調査の日本人男性の人口にあてはめると約910万人が早漏で悩んでいることになる。
20代は個人差大きく、中年層で安定傾向
20代では射精時間に大きな個人差がみられた。20-24歳では「挿入前から3分以下」が30%、25-29歳でも17.6%を占める一方で、「5分を超える」層が50~65%と高く、短時間と長時間に二極化している傾向が明らかとなった。
年代が上がると「3分を超えて5分以下」の割合が徐々に増え、30~50代では比較的安定した分布を示している。特にこの世代では「3~5分」の時間帯が2割前後と一定の割合を占めており安定した結果となっている。
60~70代前半では「3~5分」の割合がさらに高くなる一方で、「5分を超える」層は加齢とともに減少し、75~79歳では48%に低下した。このことは、高齢層では射精時間が中間帯に収束する傾向を示唆している。
また、早漏(PE)の国際的基準である「挿入から1~3分以下」に該当する割合は、20代で約30%、30代で約20%と加齢とともに減少しており、年齢による射精コントロール能力の向上が示されている。本結果は、各年代に応じた適切な性的健康管理の重要性を浮き彫りにしている。
射精時間の長短と悩みの程度は必ずしも一致せず
射精時間が3分以下の早漏に該当する回答者のうち、13.4%は「悩みなし」と回答している。一方、射精時間が3分を超える回答者の中でも12.1%が早漏への悩みを抱えており、客観的な時間と主観的な悩みが必ずしも一致しないことが判明した。全体では63.2%が「3分を超えて悩みなし」となっており、半数以上の男性は射精時間について特に問題を感じていないことも明らかになっている。
早漏の悩みは単純に時間だけでなく、パートナーとの関係性や個人の満足度、心理的要因など複合的な要素に影響される。早漏治療においては時間的改善だけでなく、総合的なアプローチも重要だ。
また年齢別の回答をみると、興味深いことに射精時間が3分を超えていても悩みを抱える割合は若年層で高く、20代前半では18.6%、20代後半では20.7%に達している。これは、若い世代では時間の長短に関わらず、性的パフォーマンスへの不安や期待値の高さが影響していることを示唆している。
一方、年代が上がるにつれて早漏への悩みは大幅に減少し、75-79歳では全体の約10%程度まで低下する。これは加齢による射精コントロール能力の向上に加え、性的な期待値や価値観の変化、パートナーシップの成熟なども関係していると考えられ、早漏治療においては年代に応じたアプローチの必要性も示している。
早漏治療への関心は高いものの実際の受診率は低調
早漏治療に対する意識と行動の間には大きなギャップが存在することが明らかになった。調査対象者のうち51.0%が「早漏の治療をしたいと思う」と回答し、治療への関心の高さを示している。
しかしながら、実際に早漏治療を受けた経験があるのはわずか4.8%にとどまり、95.2%は治療経験がないという結果となった。これは治療を希望する人の約11人に1人しか実際の治療行動に移していないことを意味しており、治療希望と実際の受診行動の間に大きな乖離があることが浮き彫りになっている。
この現象の背景には、早漏治療に対する恥ずかしさや抵抗感、治療方法への理解不足、適切な治療選択肢が少ない、医療機関へのアクセスの問題などが考えられる。早漏で悩む男性が適切な治療を受けられるよう、治療に関する正しい情報提供と受診しやすい環境整備が急務であることを示す結果となった。
早漏の最大要因は「勃起障害(ED)」
今回の調査では、勃起障害(ED)が全タイプの早漏で最大の関連要因となっていることも特定された。
また早漏のタイプによって要因が大きく異なることも判明した。先天性早漏(Lifelong PE, LPE)では精神的薬物の使用が主要因となる一方、後天性早漏(Acquired PE, APE)では心血管疾患や泌尿器症状、精神的疾患が深く関与していることがわかった。
特に後天性早漏は加齢とともに急増し、身体機能の低下が直接影響することが明らかになった。「早漏とEDは密接に関連し、タイプ別の治療アプローチが重要」であることが示唆されている。治療を望む男性の半数が実際には受診していない現状だけでなく、早漏の裏側にある疾患にも目を向け適切な治療選択の提供と、社会的認知の向上が急務となる。
<調査概要>
「性機能障害の全国実態調査」
日本の性機能についての学術的な大規模調査が行われておらず、日本の現状を把握することができなかった。男性更年期や男性妊活の認知が進む中、根本である性機能についての実態を把握するべく44項目の質問に回答してもらう形で疫学調査を実施した。
調査期間 :2023年5月29日(月)~6月24日(土)
調査方法 :調査会社(株式会社マクロミル)によるインターネット調査
対象者 :全国の20歳から79歳の日本人男性37,485人
※各年代において総務省統計局国勢調査の人口比率に基づき、年代、地域性を考慮し実施
回収サンプル数:6,228人
出典元:一般社団法人 日本性機能学会
構成/こじへい







DIME MAGAZINE

















