
建築資材や人件費などの高騰で物件価格が上昇しており、不動産経済研究所の「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年8月」によれば、東京23区では新築・中古マンションともに価格が平均1億円を超える状況だという。
こうした中でひとつの住宅に対して、夫婦や親子でそれぞれ住宅ローンを組むことができるペアローンを利用して住宅を購入する人が増えているという。
特に20代は、約4割が利用しているという調査結果もある。住宅ローンの貸し出し・取次業務、保険代理店業務、銀行代理業務などを展開するSBIアルヒは、2024年10月から『フラット35』へのペアローン導入と同時に取り扱いを開始しているが、2024年10月から2025年8月までのペアローン申込案件を分析した内容を公開した。
『フラット35』のペアローン申込件数が2.1倍に増加
SBIアルヒが2024年10月期から2024年12月期と2025年6月期から8月期の月平均申込件数を比較したところ、物件価格の高騰もあって2.1倍に増加していたという。夫婦ともに高収入のいわゆるパワーカップル世帯の増加を背景に、世帯年収2000万円以上が全体の約2割を占めており、一定以上の収入がある夫婦がペアローンを利用するケースも多いようだ。
約3割が1億円以上の住宅を購入予定
ペアローン申込案件の平均物件価格である約9000万円は、ペアローンを利用しない『フラット35』申込案件の平均物件価格である約4000万円の2.3倍だ。ペアローン申込案件では、約3割が1億円以上の住宅の購入を予定しており、1億円以上の住宅の購入を予定しているペアローン申込者の約7割が東京都内の住宅を購入予定だったという。
20代と30代の申し込みが約6割
ペアローン申込案件のうち、20代と30代の割合が約6割だったという。これはペアローンを利用しない「フラット35」案件の同年代の割合である約4割を上回っていた。SBIアルヒによれば、住宅を資産と考えて若いうちに購入するなど、住宅に対する価値観の変化がペアローンの利用を後押ししていると推測される。高騰する住宅価格に対応するためにも、ペアローンが重要な選択になっているようだ。
構成/KUMU