GENIUS法案
2025年7月18日、米国で暗号資産「ステーブルコイン」を包括規制するGENIUS法案が成立した。ひらたくいえば、米ドル等の金融資産との価値を1対1で裏付けた〝ほぼ米ドル〟な暗号資産に、国家がお墨付きを与えたわけだ。日本では2023年改正資金決済法で世界に先駆けてルール整備されたが、本格的に普及するサービスは未だ登場せず。その背景を野村総合研究所の木内登英さんが解説する。
「トランプ大統領の強い意向があります。この法案で情報開示義務などを発行元企業に課し、政府のコントロール下に置こうとしているのです」
ステーブルコインは銀行預金に比べ送金手数料が割安というメリットがユーザーにある。バンク・オブ・アメリカなど巨大企業が導入に向け動き出している。
「発行機関は無尽蔵にステーブルコインを作れるわけではなく、発行額と同額の資産を保有している必要がある。しかしこの資産は現金だけではなく国債なども充てられるので、発行機関は運用収益を得られ、ビジネスとして成立するわけです」(木内さん)
イチ企業が独自発行するコインで経済圏を構築する未来が来るか。
【DIMEの読み】
現時点ではキャッシュレス決済に関連したサービスを中心に議論されているが、今後はステーブルコインを使った資産運用やローン、保険商品など画期的なサービスが登場するかもしれない。
ステーブルコインとキャッシュレス決済の違い

「国境を越える国際送金では複数の銀行を経由する必要がなくなる。手数料を劇的に削減できる点が既存の決済手段と比べて最大の利点です」(木内さん)
価値の保証で裏付ける金融資産から利息収入が得られる!?

「決済手数料がゼロでも、預かった準備資産の運用から金利収入が得られる。この収益モデルが、ビッグテック企業にとって最大の魅力といえます」(木内さん)
取材・文/久我吉史 編集/千葉康永







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