次期マイナンバーカード
総務省の発表によると、マイナンバーカードの累計交付枚数は1億枚を超え、国民の約8割にわたるまで普及した。直近では、証明書のコンビニ交付対応や、運転免許証・健康保険証との一体化を評価する声も大きい。そんなマイナンバーカードの次期カードが2026年に導入予定だ。
デジタル庁によると、次期カードでは国の保証のもとに発行されていることを明確化すべく、券面には「日本国 JAPAN」と明記。性別表記は削除され、偽造防止やユニバーサルデザインに対応したデザインに刷新される模様だ。用途ごとに4種類の設定を必要とする暗証番号が2つに再編されるのもポイント。暗証番号の連続誤入力でロックされた際の備えとして、アプリ経由でロック解除や再設定が可能なPUK機能の追加も検討されている。
スマホと連携した利活用の強化も想定されているが、マイナンバー制度に詳しい中央大学総合政策学部の宮下紘教授は「利便性には課題もある」と言う。
「例えば〝マイナ保険証〟の10~20代前半の利用率は、80代以上の高齢者層に次ぐ低さです。若い世代にとってのデジタル化はスマホだけで完結することであり、カードをかざすことが必要なシステムが続く限り、抵抗感はなかなか拭えないでしょう」
次期カードの運用による今後について、宮下教授は「〝現状のデジタル化〟から脱却する転換期になるのでは」と期待する。
「〝真のデジタル化〟とは、紙やカードといった物理的な媒体を不要にすることです。すでに日本人の9割がスマホを所有し(総務省調べ)、スマホの生体認証があれば暗証番号入力なども不要になり、しかも安全性を確保できる。利用者側が段階的にデジタルツールに慣れるにつれて、政府も物理的なカードに頼らずにすむ方向性を、真剣に議論すべき段階に入ってきたと言えます」
次期カードへの移行は、利便性向上と抵抗感払拭の両立が求められる重要な局面となるだろう。
【DIMEの読み】
様々な変更を予定する次期カードが、利用者にどう受け入れられ、デジタルツールへの根強い抵抗感をいかに払拭できるのか。その結果に、政府の目指すデジタル化の成否がかかっていると言えよう。
次期マイナンバーカードの主な変更点

スッキリとしたデザインに変更予定

氏名にフリガナやローマ字が追加され、生年月日も和暦から西暦表記へ変更される予定。各項目の配置やフォントも見直されるなど、誰にとっても見やすく使いやすいユニバーサルデザインに。
暗証番号のロックに備えてPUKの設定を可能

現行ではロック解除・再設定には市区町村窓口で手続きが必要。今後はアプリ上でPUK(PIN UNLOCK KEY)を設定すれば自分でロック解除が可能になる模様。
取材・文/清友勇輔 編集/田尻健二郎
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