
日本の音楽業界のメガヒットコンテンツとしてSTARTO系、BMSG系、PRODUCE101系、LDH系、スタダ系、そしてK-POP勢などなどとボーイズグループが隆盛を極めていますね。ソロシンガーより圧倒的に数も売上枚数も多いと感じています。一方、欧米では最近男女かかわらずグループが少ないですね。ちなみに欧米ではボーイズグループのことを「ボーイズバンド」と言います。今回は温故知新、欧米のボーイズバンドを振り返ってみましょう。
今回は熱狂的な女性ファンを生み出したボーイズバンドを中心に考えます。アーティストを見るやいなや絶叫し、果てには気絶までする海外の女性グルーピー、誰しも一回はテレビで観たことあるんじゃないでしょうか。やはり起源であり代表格はビートルズですよね。ええ、ガチのバンド。彼らがバンドだったから後にもボーイズバンドなんて呼ばれるのかも。後期は随分ヒッピーみたいになった彼らですが初期は4人おそろのマッシュルームカットでカワイイったら。「友達と推しがバラバラになる」というのもボーイズバンドの魅力ですね。ポール派、ジョン派みたいに人気が分散するのもグループ活動のうまみであります。余談ですが、私ヒャダイン、45歳になってようやくビートルズの凄さについて理解してきました。おそっ!
そして、楽器は持たないけど圧倒的な歌唱力とダンスで人気爆発したのがジャクソン5。マイケル・ジャクソンを擁する兄弟ボーイズバンドです。まだ声変わりする前から大人顔負けのバラードを熱唱するマイケル坊やは美しく成長し、ジャクソンズと改名後は1トップでグループを引っ張り、その後のソロ活動での大成功はご存知の通り。ジャクソン5がボーイズバンド史で重要なのは、その後のボーイズバンドに多大なる影響を及ぼしたことです。楽曲面では直後に出たオズモンズやニュー・エディション、そしてそこに影響を受けたニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックが出てくるわけです。

Photo:Robert Hale/shutterstock.com
ボーイズバンド全盛期を経て世界で愛されるコンテンツへ
そして90年代、待ってました! バックストリート・ボーイズ! 白人男性5人組のスーパーグループ。ヒット曲も多く、当時のティーンエイジャーは夢中になっていたと聞きます。そして彼らとの対立構造的に誕生したイン・シンク。ジャスティン・ティンバーレイクを中心とするこれまた5人組。当時の証言映像を観ましたが、まあまあこの2組はバチバチしていたようです。この頃はボーイズバンド全盛期で、欧米でボッコボコ誕生していました。
いろいろすっ飛ばして2010年代、世界中を熱狂させたのが1Dことワン・ダイレクション。これまた5人組。1Dはかつての先輩ボーイズバンドとは違って、ソロ活動転向後も全員が比較的キャリアアップしていった印象です(リアムのことは本当に残念です)。そして今やボーイズバンドといえばK-POP。欧米のみならず世界で愛されるコンテンツです。
さてざっくり見てきましたが、個人主義が重んじられる欧米において集団でパフォーマンスするボーイズバンドって、本来相性悪いはずなんですよね。逆に協調性や調和力のある日本人のほうが相性いい。実際近年ボーイズバンドもガールズバンドも欧米では出てこないし、今までもメンバー脱退や解散も多かった。中心メンバーだけがフィーチャーされるのもバランス悪いですよね。しかし、世界中のファンたちは古今東西ボーイズバンドに熱狂しているわけで、確たる需要がある。ボーイズバンドを冷笑的に見る勢もいるようですが、イン・シンク再結成やニュー・キッズがセブチとコラボしたりと熱いと思うんで、ジャスティン・ビーバーとブルーノ・マーズとベンソン・ブーンとポスト・マローンとドレイクが新グループ作ってくれねぇかなぁ!
文/ヒャダイン

ヒャダイン
音楽クリエイター。1980年大阪府生まれ。本名 前山田健一。3歳でピアノを始め、音楽キャリアをスタート。京都大学卒業後、本格的な作家活動を開始。様々なアーティストへ楽曲提供を行ない、自身もタレントとして活動。
※「ヒャダインの温故知新アナリティクス」は、雑誌「DIME」で好評連載中。本記事は、DIME11月号に掲載されたものです。
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