DIMEが「若者の果物離れ」を最初に取り上げたのは2017年。それから8年が経過したが、この傾向は今もほとんど変わっていない。だがその一方で近年のコンビニやファミレスではフルーツ系のデザートが風物詩となり、秋はシャインマスカットを筆頭に、栗やりんごといったスイーツやパフェが登場。若者を中心に人気を博しているのだ。
▼2017年当時の記事はこちら!
最近よく耳にする「若者のフルーツ離れ」だが、確かにData1をみると、40代以下のフルーツ摂取量は散々たるもの。10年前のデータと比較してみても、果物の摂取量…
なぜデザートは盛り上がっているのか? 流通アナリストの渡辺広明さんはこう語る。
「フルーツ摂取量は減っていますが、国内の市場規模は1兆円くらい。市場としては悪くはないんです。その背景にあるのは健康志向もあるし、あとは品種改良によって国内のフルーツが甘くておいしくなっているのもあると思います。とはいえ価格は高騰しているので、若者は手がでませんよね。その一方でコンビニやファミレスがフルーツ系のスイーツを強化しているのは、そんな『たまには贅沢しておいしいフルーツが食べたい』という若者の〝ご褒美需要〟が大きいと思います」
現代のフルーツ市場で渡辺さんが注目しているのは「冷凍カットフルーツ」だそう。
「フルーツのデメリットとして挙げられる〝皮をむく面倒〟は解消されていますし、何よりも価格が安定している。今後、生鮮フルーツはプレミアム化が進んでご褒美需要の製品となり、日常で食べるのは『冷凍カットフルーツ』という流れになりそうです」

流通アナリスト
渡辺広明さん
コンビニに22年間勤務し、約16年間バイヤーを経験。約760品目の商品開発に携わる傍ら、数々のメディアに出演中。

Data1|健康を気にする世代と同居中はよく食べるが……
20代のフルーツ摂取量は全年代で最下位!
年代別による1人1日当たりの果物摂取量

厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」より
厚生労働省が推進する果物の摂取目標量は1日あたり200gで、若者世代はもちろん全世代で最もフルーツを摂取する80歳以上も足りていない。1歳から10代の若者世代がよく食べるのは、親の影響や給食で定期的に食べることが大きそうだ。
Data2|嫌いじゃない!できれば食べたい人が多数!?
果物離れの最大の原因は高すぎる「価格」
現状の果物摂取量にとどまっている理由

中央果実協会「令和六年度 果物の消費に関するアンケート調査報告書」より
過去10年でどのくらい果物の価格が高騰しているかはdata3の通り。特に若者世代は「価格」が問題なのは一目瞭然で「ほかに食べるものがあるから」という回答も全体世代と比較すると少ない。若者世代は安く手に入るなら買いたいのだ。
Data3|これじゃ若者は買いたくても買えない!!
ももは1.5倍、ぶどうは2倍に高騰!

農林水産省「青果物卸売市場調査」より

最も価格高騰が顕著なのはぶどう。「シャインマスカット」などの高級ブランドのヒットにより、フルーツのご褒美需要という新たなトレンドを生み出した。だがその一方で、値段が上がると日常で気軽にフルーツを食べる人が減ってしまうのも事実だ。
Data4|映え&喫茶店ブームで注目を集める!
「フルーツパフェ」が切り札に
Q あなたがフルーツパフェを食べる理由はなんですか?

中央果実協会「令和五年度 果物の消費に関するアンケート調査報告書」より
ファミレスやカフェ、ホテルなどでは季節ごとに旬のフルーツが楽しめる「フルーツパフェ」が人気。価格は2000円以上するものも珍しくないが、「贅沢な気分になりたい」(39.4%)というニーズにマッチしている。
2025年秋に食べられる!人気店のフルーツスイーツ
Afternoon Tea TEAROOM『ぶどうとアールグレイのミルフィーユ』
2400円(紅茶付き)

サクサクのパイとシャインマスカットや巨峰のマリアージュが楽しめるミルフィーユ。ルミネ有楽町など3店舗限定で10月8日まで提供している。
キハチ 青山本店『KIHACHIのシャインマスカットパイ』
1980円

「ナポレオンパイ」をシャインマスカットでアレンジ。10月31日まで青山本店以外のレストラン、キハチカフェでも実施(※)。
※店舗により価格・提供時間が異なる
取材・文/高山 惠 イラスト/フジノマ 編集/寺田剛治







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