平成生まれの読者やその親世代は、このドラゴンに見覚えがあるはずだ。漆黒の中に浮かび上がる青い炎と、今にも飛び出してきそうな黒龍の構図は、2001年の登場以降、多くの小学生の記憶に焼きついた。そして、令和の今、なぜかブームが再燃している。
「家庭科のドラゴン」が人気を集めた理由は、いわゆる中二病的なデザインが男児にウケたからだ。ドラゴンがプリントされた裁縫箱を選んだがために、〝普通〟のデザインを選んだクラスメイトに軽く笑われたという小学生もいるだろう。ブームの返り咲きを支えるのは、そんな黒歴史を懐かしむ大人たちだ。
「ドラゴンの正式名称は『BLACK DRAGON LOURD LEGER』。当時の資料を振り返ると、『現実には存在しえないとも感じさせるような超越的な存在感』『光と闇の緊迫した、迫力のあるデザイン』といったコンセプトが書かれています。明らかに中二病を意識して作られていますよね(笑)」
そう語るのは、販売元であるサンワードの担当者・川中靖博さん。自身も「家庭科のドラゴン」世代で、幼少期に心を動かされたという。
平成の間、このドラゴンは家庭科の世界にとどまり続けてきた。だがそれが令和になって、幅広いグッズ展開を見せている。アパレル、エプロン、雑貨など様々なグッズが登場しており、SNSで話題を呼んだ。
「2025年夏の『コミケ』では、ブースに50m以上の行列ができました。小学生の時に使っていた人はもちろん、当時は恥ずかしくて使えなかったという人もグッズを買いに来てくれています。中には、ドラゴンをモチーフにしたコスプレをした人も。今も愛されていることを実感しますね」
驚きは、ブース来訪者の3割が女性だったこと。「青春時代を取り戻しに来ました!」と言ってグッズを買い求める人もいたとか。性別を問わず、大人たちの心に刺さる「家庭科のドラゴン」。復活の背景には、思い出を振り返る人々の情緒があった。
平成を象徴する裁縫箱!「家庭科のドラゴン」とは?
「家庭科のドラゴン」とは、2001年に忽然と登場した、小学生の家庭科用裁縫箱にプリントされたドラゴンのこと。かわいいキャラクターや、野球・サッカーなどをテーマにしたスポーティーなデザインが多い中で異彩を放つこのドラゴンは、多くの男子の間で人気を博した。

SNSで大反響!令和の今、広がるグッズ化!
グッズとしての展開が開始されたのは、およそ6年前。このドラゴンについて、メディアの取材を受けたことからグッズ化の機運が社内で高まり、受注生産による販売を始めた。社長の代替わりを契機に2024年から展開を拡大し、現在はECのほか、実店舗でも販売中。
サンワード『家庭科のドラゴンTシャツ』各5000円

サンワード『家庭科のドラゴンナップザック』3500円

熱い反響を受けて「コミケ」に進出!
2年連続で「コミックマーケット」に出展。出展を決めた理由は「2024年が辰年だったから」だそう。今年は、昨年の2日分の売上を初日だけで叩き出し、売り切れが続出した。人気商品は『家庭科のドラゴン図鑑』『カードゲーム プレイマット』『Tシャツ』。

取材・文/畑野壮太 編集/井田愛莉寿
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2025年8月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。
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