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「若者のディズニー離れ」は本当か? チケット代高騰、年パス廃止だけではない深刻な理由

2025.10.14

若者のディズニー離れが進んでいると言われています。実際、東京ディズニーリゾートの若者の来場者数は減少しており、若者が足を運ばなくなっているのは事実です。

チケット代が高い、年間パスポートを廃止したなど、様々な理由が取り沙汰されていますが、背景にはもっと根深い問題が複合的に絡んでいるようです。

戦略的に来園者数の抑制を行ったオリエンタルランド

オリエンタルランドが公開した「FACT BOOK 2025」によると、2019年度における18~39歳の来園者比率は51.9%。これが2024年度には41.2%まで減少しました。5年間で10ポイントも下がったのです。

2019年の来園者数はおよそ2900万人、2024年は2755万人でした。若年層の比率を当てはめると2019年は1500万人、2024年は1100万人。若年層は400万人程度減少したことになるのです。

東京ディズニーリゾートの年間パスポートは2020年に休止されました。チケット代の引き上げも行っており、2023年10月からは大人の1日券が1万円を超えています。

東京ディズニーリゾートの総来場者が減少していますが、この2つの要因が絡んでいるのは間違いありません。

年間パスを維持しているUSJは好調そのもの。アメリカのテーマエンターテインメント協会は2023年の世界のテーマパークの来園客数を発表していますが、USJは世界3位でした。日本においてはトップに立っています。

オリエンタルランドは戦略的に来場者数の抑え込みを行いました。顧客単価を引き上げる一方で、アトラクションの待ち時間を減らし、顧客満足度を高めようとしたのです。その狙いは奏功しており、2019年度の客単価は1万1606円でしたが、2024年度は1万7833円でした。6千円以上上がったのです。

しかし、年パスの廃止とチケット代の引き上げでお得感がなくなったのは事実。それによって若者が来なくなったと言われています。

それも要因としてはあるでしょう。しかし、本当にそれだけでしょうか。

ディズニーが生み出すコンテンツ力が低下した?

市場調査を行なうネオマーケティングは、テーマパークに関する意識調査を行なっています(「テーマパークに関する調査」)。その中で、「テーマパーク・遊園地を選ぶ際に重視するポイント」を尋ねており、女性20代で「チケット代」との回答は37.6%だった一方、50代女性は47.3%でした。この現象は男性も同じです。

つまり、チケット代の値上げに影響するのは、むしろ年齢層の高い人たちなのです。

若者を中心に推し活消費が注目されている通り、好きなコンテンツやキャラクターには惜しみなくお金を使い、賢く節約するのが今の若者の傾向。単価が多少高くなったとしても、ディズニー推しであれば、来園するでしょう。

従って、ディズニー離れの要因は他にもありそうです。

実はディズニーのコンテンツそのものが若者に対する魅力を失っており、それが若年層の来園者数減少に繋がっているのではないでしょうか。

例えば、2024年に40歳になる1984年生まれは、7歳で「美女と野獣」、8歳で「アラジン」、10歳で「ライオン・キング」に触れた世代です。興行収入こそ「トイ・ストーリー」や「アナと雪の女王」には及ばないものの、名作との呼び声高い作品に囲まれた時代でした。

しかも、70年代から80年代生まれの女の子は、将来の夢を聞かれて「お嫁さん」と答えていたような時代。「美女と野獣」のプリンセス「ベル」に自分を重ねてもおかしくありません。時代とディズニーの世界観が絶妙にマッチしていたのです。

それでは、2024年に30歳になる1994年生まれはどうか。8歳で「リロ&スティッチ」が公開されているものの、その後は「ブラザー・ベア」や「チキン・リトル」、「ボルト」などと続き、代表作と呼べる作品に欠けています。

2009年には「プリンセスと魔法のキス」が公開されています。この頃からディズニーは、いわゆるポリコレ色の強い作品へと傾倒していきました。

ウォルト・ディズニーは2009年にマーベルを買収しましたが、自身のコンテンツ力が低下していることを象徴するようなM&Aでもありました。

1994年生まれは、7歳のときに「ハリー・ポッター 賢者の石」が公開されています。10歳で任天堂の大ヒットゲーム機「ニンテンドーDS」が発売されました。

USJのアトラクション「マリオカート~クッパの挑戦状~」や「ドンキーコングのクレイジー・トロッコ」、「ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニー」の方が、自ら触れてきたコンテンツと近いのではないでしょうか。

商魂たくましいUSJの集客戦略

日本の若年層そのものが減少しているという問題点もあります。1984年に生まれた人の数はおよそ150万人。1994年は123.8万人です。2割近く減少しているのです。

東京ディズニーリゾートの若者離れは、単純に日本の少子高齢化の影響を真正面から受けていると見ることもできます。

2025年6月にオリエンタルランドの社長がチケット代の見直しを検討していると発言しました。来場者数が減少したことを受けてのものですが、チケット代の引き下げが若者の急増に繋がるでしょうか。足元の状況を見ると、決してそう単純ではなさそうです。

USJは任天堂やハリー・ポッターなどなりふり構わず集客していると、冷めた目で見られることがあります。しかし、若年層の来園を促すため、時代を見極めたコンテンツを導入しており、優れた戦略性を見てとることができます。

©Disney

文/不破聡

Author
大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融、経営戦略を中心とした記事を執筆中。得意分野は外食、ホテル、映画・ゲーム、エンターテインメント業界など。

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