秋の行楽シーズンに入り、「スポーツの秋」や「旅行の秋」といった言葉が聞かれるが、健康志向の高まりから外出や運動を楽しむ人が増える一方で、膝の痛みが妨げになっているという声も少なくないという。登録者数130万人超のYouTubeチャンネル「腰痛・肩こり駆け込み寺【山内義弘】」を運営する理学療法士の山内義弘氏は、全国の45歳以上男女600名を対象に「膝の痛みに関する調査」を実施して結果を公開した。それによれば45歳以上の約3人にひとりが膝の痛みを抱えており、日常生活や将来の不安にも影響していたという。さらに調査結果に合わせて、山内氏による膝のセルフチェックやセルフケアの方法も紹介していく。
45歳以上の3人にひとりがひざの痛みを抱えていた
45歳以上の男女600名に膝痛の有無を質問すると、およそ3人にひとりが膝の痛みを抱えていると回答。具体的には「軽い痛みがある」(23.0%)、「時々強い痛みがある」(9.8%)、「常に強い痛みがある」(0.7%)で、男女で大きな差は見られなかったという。膝に痛みを感じている人に「その場面」を質問すると、「階段の上り下り」が59.2%で最多だった。それに「立ち上がり」(50.8%)、「正座」(29.4%)、「歩行時」(28.4%)などが続き、日常生活の基本動作で痛みを感じる人が多数派だった。運動時と答えた人は男性が30.0%で、女性の12.9%を大きく上回る結果になった。
6割近くは腰痛による制限は特にないと回答
「膝の痛みによって制限されていること」では、「外出・旅行」は18.9%、「運動」は23.4%という結果だった。特に男性は「運動」が32.0%と女性の14.9%よりも高い傾向がみられた。その一方で6割近くは「特にない」と回答しており、痛みを抱えながらも日常生活をしている実態がみえたという。
約3割は膝痛対策を「何もしていない」と回答
現在の膝痛対策は、「湿布や薬の使用」(34.8%)や「ストレッチ・運動」(34.3%)が多く、それに「整体やマッサージ」(13.9%)、「病院への通院」(11.4%)、「サプリメント」(10.5%)などが続く結果となった。「特に何もしていない」と答えた人は28.9%で、女性では36.6%と男性の21.0%より高い割合だった。さらに踏み込んで、将来的に歩けなくなるかもしれないという不安はあるかという質問では、膝痛を抱えている人の20.4%が「とてもある」、47.3%が「少しある」と答えており、7割近くが将来の歩行能力に不安を抱えていることがわかった。膝痛のない人で「不安がある」と回答したのは約3割なので、膝痛の有無が将来への意識に影響していることが推測できる。
特定の筋肉を覚醒させるだけで膝年齢マイナス10歳!
今回の調査では、膝痛は多くの中高年にとって身近な問題で、日常生活や将来の不安に直結していたが、その根本的な原因はあまり知られていないという。本来は太ももの筋肉が体重を支えているが、筋力が落ちると膝の骨に負担がかかって、軟骨がすり減って痛みや変形につながってしまうという。しかも軟骨は一度壊れると元には戻らないので、そのまま放置すると老後に「自分の脚で歩けない」状態になる可能性もあるという。そこで大切になるが膝を守る「広筋(こうきん)」で、この筋肉を意識して鍛えることで膝の負担を軽減して若々しい脚を取り戻すこともできるという。
自宅でできる膝のセルフチェック
チェック1:太ももの筋肉「広筋」
膝のお皿(「膝蓋骨」)のすぐ上にある「広筋」は、膝の関節を安定させる大切な筋肉。ここが弱ると膝の骨同士がぶつかりやすくなり、膝の変形につながるという。広筋が働かないと太ももや外側の筋肉ばかり発達して、脚が太く見える原因にもなるという。チェック方法としては、「膝のお皿の上から指3本分くらい上を親指と中指で輪をつくって触れてみる」、「指の輪よりも太ももが細く、スカスカしていると広筋が弱っている可能性大」などがある。
チェック2:膝の動きのバランス
膝がつま先よりも内側や外側にずれていれば、筋肉のバランスが崩れているサインだという。チェック方法は、「(1)足をこぶし1個分広げて立つ」、「(2)前を見ながら軽く30度ほど膝を曲げる」、「(3)このとき膝がつま先の真上にあるかをチェック」がある。
広筋を鍛えるとメリットも大きい!
広筋をきちんと使えると膝の健康だけでなく、体型にもいい影響があるという。ひとつは、お腹の筋肉が働きやすくなり「ぽっこりお腹」対策になること。そしてお尻の筋肉が支えられて「ヒップアップ」効果もあるという。正しい立ち方の目安は、耳・肩・股関節・膝・くるぶしがまっすぐ一直線にそろう姿勢で、この状態だと広筋やインナーマッスルが自然に動くという。
さらに膝を守るには、太ももの奥にある「中間広筋(ちゅうかんこうきん)」、「外側広筋(がいそくこうきん)」、「内側広筋(ないそくこうきん)」という3つの筋肉も大切だという。これらの筋肉は、膝のお皿を正しい位置に動かす大切な役割を担っており、この筋肉をやさしく刺激して働きをサポートするのに「絆創膏」を使った方法もあるという。
絆創膏の貼り方
イスに座って膝を少しだけ曲げて、膝のお皿の中心に絆創膏の真ん中がくるように貼り始める。そこから次の順番で両脚に各4枚貼っていく。
(1)お皿の上から下に向かって。
(2)お皿の内側上部から外側下へ斜めに。
(3)お皿の外側上部から内側下へ斜めに。
(4)お皿の内側から外側へ横向きに。
「八方向」に広がるように貼るとお皿の位置を安定させやすくなり、膝まわりの筋肉をやさしく刺激してくれるので、手軽にできるセルフケアとして試してみる価値はありそうだ。
■山内義弘氏プロフィール
1970年生まれ。愛知県名古屋市出身。20年以上の治療経験を持つ理学療法士でYouTube登録者数130万人超え。著書に『コリと痛みの駆け込み寺! のびちぢみ体操』(KADOKAWA)、『1分でバキバキ肩こりがスッキリ! 山内流 肩甲骨はがし』(宝島社)、『体の不調をすべて解決する 絆創膏を貼るだけ整体』(KADOKAWA)がある。
「腰痛・肩こり駆け込み寺【山内義弘】」
https://www.youtube.com/@yamauchi_kakekomidera
「【中高年に調査】膝の痛み」概要
調査対象:45歳以上の男女全国
調査期間:2025年9月10日
調査手法:インターネット調査
サンプル数:600名(45歳以上70歳未満:5歳刻みに男女各50名、70歳以上:男女各50名)
調査機関:Freeasy
出典:「腰痛・肩こり駆け込み寺【山内義弘】 調べ」
構成/KUMU







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