
ファーウェイ・ジャパンは、スマートウォッチの最新モデルとして「HUAWEI WATCH GT 6」シリーズを発表した。数あるファーウェイのスマートウォッチのうち、スポーツ向けモデルとして位置付けられるGTシリーズの最新モデルで、「HUAWEI WATCH GT 6 Pro」と「HUAWEI WATCH GT 6」をラインアップ。2025年10月14日に発売される。
本シリーズは、バッテリー性能の大幅な向上に加え、心電図対応、業界初のサイクリングパワーシミュレーション機能、転倒検知機能など、ヘルスケアおよびスポーツ機能の多岐にわたる強化が際立っている。
上位モデル「HUAWEI WATCH GT 6 Pro」の特徴
HUAWEI WATCH GT 6 Pro(46mm)は、堅牢性と高級感あふれる素材構成が大きな特徴となっている。ディスプレイにはサファイアガラスを採用し、ボディには航空機でも使用されるチタン合金、リアケースには肌に馴染むセラミックが使用されている。見た目はゴツゴツしており、重厚感があるものの、質量は約54.7gと、比較的扱いやすい。
ディスプレイは1.47インチの有機ELで、従来機と比較して画面占有率が約5.5%向上した。さらに特筆すべきは、最大輝度が3000nitへと大幅に進化している点である。これにより、直射日光下のような強い日差しの下でも快適な視認性を実現している。多数搭載される、ワークアウトモードとの兼ね合いを考えても、有益なアップデートポイントだ。
シリーズ共通の性能とスポーツ機能の進化
HUAWEI WATCH GT 6シリーズは、スポーツ利用を念頭に開発され、そのバッテリー性能、測位精度、そして革新的なサイクリング機能において大幅な進化を遂げている。
中でも特徴的なのがロングバッテリーだろう。本シリーズは、新世代のハイシリコンバッテリーを採用し、前モデルからエネルギー密度が約37%向上、通常使用で約21日間使用できる。
長時間のデータ取得や、トレイルランなどの長時間アクティビティにも十分対応する駆動時間を確保。特にハイエンドスマートウォッチは、高機能があまり、1、2日程度しか電池が持たないモデルも多い。1日充電を忘れる程度では全く問題なく、短期間の出張や旅行であれば、充電器を持ち歩く必要もないのは、使っていて非常に便利に感じるポイントだ。
HUAWEI WATCH GT 6シリーズには、業界初となるサイクリングパワーシミュレーション機能が搭載された。従来、パワー計測には専用のパワーメーターが必要であったが、本機ではリアルタイムの速度、高度の勾配、車種、体重などのデータに基づき、推定パワーを計算する。これにより、高価なパワーメーターなしで効率的なトレーニングが可能となる。
さらに、Bluetooth経由で外部のサードパーティ製パワーメーターと連携し、FTP(Functional Threshold Power:最大持続出力)計測にも対応している。サイクリング中の勾配(リアルタイム、平均、範囲)計測も新たに追加され、スマートフォンと併用することでサイクルコンピューターとしても機能する。信号待ちなどで停車した際には、ワークアウトの自動一時停止/再開アルゴリズムも搭載されており、より正確なデータを記録できる。
ワークアウト機能を活用する上で重要なGPS精度も向上。新世代のヒマワリ型アンテナシステム2.0、新しい位置測定アルゴリズムにより、測位精度は前モデルから約20%改善された。BeiDou/GPS/Glonass/Galileo/QZSSに加え、新たにNavicを含む6つの衛星システムと2つの周波数に対応し、複雑な地形でも高精度な位置情報を提供するとされる。
また、GTシリーズとして初めて転倒検知および緊急通報機能が搭載されたのもポイント。加速度センサーの検知範囲が8Gから32Gへと向上したことで、ワークアウト中の検知精度は90%、日常シーンでも約73%に達する。転倒を検知し、ユーザーからの反応がない場合、自動で119へ通報するか、事前に登録した緊急連絡先にSMSで通知を送ることもできる。
ファーウェイのスマートウォッチシリーズではお馴染みとなりつつある、ゴルフ機能も強化。国内ゴルフ場の99%以上、世界中の1万7000以上のゴルフコースのマップを収録している。新しいベクターマップ機能により、マップやハザード情報の確認がタップ操作やクラウンでの拡大・縮小に対応し、より詳細で直感的な操作が可能となった。
グリーン上では、ヒートマップによる勾配表示(グリーンアンジュレーション)や、グリーンの方向と距離表示機能が搭載された。
特に「HONMA × HUAWEI WATCH GT 6 Pro」モデルには、ハイエンドモデル限定の高低差補正機能や、前打の飛距離表示、クラブ/ショットの提案機能が備わっている。
ウインタースポーツの計測機能も強化された。スキーヤーにはおなじみの日本最大級のウィンタースポーツアプリ「yukiyama」が標準搭載(11月リリース予定)される。主要スキー場マップ上に、仲間や自分の位置をリアルタイムで表示できるほか、滑走回数の記録上限は前モデルの10回から100回へと拡大し、リフトと滑走の動作判別も高精度化している。
ヘルスケア機能としては、新世代のHUAWEI TruSenseセンサーを搭載し、メンタルヘルス管理機能が細やかに進化している。情緒の状態を12段階で計測、可視化する情緒モニタリング機能が新たに搭載された。これにより、自分の感情パターンやストレスを感じる場面を知るきっかけとなり、きめ細やかな感情ケアを提供している。
HUAWEI WATCH GT 6 Proは、心電図(ECG)機能にも対応する。日本のプログラム医療機器としての認証を取得済み。ユーザーは、専用ボタン(右斜め下のファンクションボタン)を30秒間タッチするだけで心電図を測定でき、洞調律や心房細動の判定が可能となっている。測定データはPDF形式で出力できる。
また、これまで睡眠時に限定されていた心拍変動(HRV)の測定が24時間可能になっている。情緒・ストレスの計測時間も従来の30分から10分へと短縮された。心拍数、血中酸素、皮膚温などの24時間測定機能も搭載され、睡眠モニタリング測定精度も向上している。
ラインアップと価格
HUAWEI WATCH GT 6シリーズは、iPhoneとAndroidの両方に対応し、幅広いユーザーに向けたラインアップを展開している。
■HUAWEI WATCH GT 6 Pro(46mmのみ)
ブラック(フルオロエラストマー):4万8180円
ブラウン(立体織加工フルオロエラストマー):5万380円
HONMAモデル(フルオロエラストマー):5万2580円
■HUAWEI WATCH GT 6(46mm)
ブラック(フルオロエラストマー):3万3880円
グリーン(立体織加工フルオロエラストマー):3万6080円
グレー(レザー):3万6080円
■HUAWEI WATCH GT 6(41mm)
ブラック(フルオロエラストマー):3万3880円
パープル(フルオロエラストマー):3万3880円
ホワイト(レザー):3万6080円
HUAWEI WATCH GT 6シリーズは、長時間のバッテリー駆動時間、高輝度ディスプレイ、高度な健康管理機能、そして革新的なスポーツ計測機能を備える。
アップルやサムスン、グーグルといった、スマートウォッチにAI機能を盛り込んでいく方向性とは異なるコンセプトは、ユーザーのワークアウトと日常生活を強力にサポートする存在となる可能性を存分に秘める。
取材・文/佐藤文彦