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泡に包まれる!?新たにオープンしたチームラボ京都の〝身体ごと没入する〟アート体験に潜入

2025.10.16

京都といえば、寺社仏閣を訪れ、嵐山や鴨川、祇園小路など京都らしい景色を愛でるという国内外から訪れる日本トップクラスの観光コンテンツを有する都市だ。そんな京都の玄関口である京都駅の東南部では、2017年4月の京都美術工芸大学京都東山キャンパスの開設、2023年の京都市立芸術大学の移転と文化芸術の教育・研究機構の集積を受けて「文化芸術都市・京都」の新たな象徴となるゾーンづくりが進められている。

ここに新たに誕生したのが、「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」だ。チームラボは国内外にデジタルテクノロジーを使ったアートの展示空間を創出してきたが、今回は国内最大規模、延べ面積約1万平方メートルの常設アートミュージアムで、日本未発表作品も含め50以上の作品群が展示されている。

チームラボ バイオヴォルテックス 京都

実は京都はチームラボの原点のひとつ、日本未公開だった新たな身体的な空間芸術も含む国内最大規模の施設に

チームラボといえば、デジタルテクノロジーを使ったアートの空間をあえて館内図を置かず、来場者が彷徨い歩くことで体験する仕掛けが特徴の1つ。展示によってはある一定のルートでしかたどりつけない空間を作った例もある。

チームラボ代表 猪子寿之氏は、チームラボの初期に空間の平面化の論理を模索していた頃、京都の寺院や庭園を訪れる中で、日本の古典絵画が「歩きながら体験する身体的な空間芸術」であることに気づいたという。

「作品世界が身体と連続し、人々の存在によって変化し、自分と一体となる身体的美術、そして、意志のある身体で歩きながら体験していく、無限に広がる身体的な空間芸術をつくろうと思ったのです」(チームラボ代表 猪子寿之氏)

オープニングテープカットセレモニーでは、松井孝治 京都市長、下村あきら 京都市会議長、九十九壽雄 山王学区自治連合会長、チームラボ代表 猪子寿之氏が登壇。

そのなかで作品同士も関係しあい、連続することが美しいと感じるような境界のない世界を模索。今回の「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」では、物体ではないものの存在を、人間の身体と認識によって彫刻するという物質の概念を超越した世界に身体ごと没入することを世界を創り上げたという。

これは「環境が現象を生み、その現象が存在を創る」という「環境現象」をコンセプトにした日本未発表作品「質量も形もない彫刻」をはじめ、初公開作品「開いた宇宙の永遠の存在の中のメガリス」、「生と回帰の無常の抽象」などが全4フロアで体験できる。

「質量も形もない彫刻」は石けんで作られた泡と空気、水だけの世界に入り、泡の海からその形が自分のはるか上にまで立ち昇るまでに変わるなかに身体を没入する。レインコートとシューズカバーは購入可、ゴーグルは貸出される。石けんにアレルギーがある人は入場できない。

とくにアスレチック フォレストの「運動の森」と「学ぶ!未来の遊園地」には、館内図も作品解説もないチームラボの展示のなかで、唯一解説ボードが設置されている。それも遊び方ではなく、そこでは「平面的、立体的に考えること」や「共創を楽しむこと」など、子どもにこの空間を楽しんでもらうために、大人が持ってほしい視点が提示されている。

「運動の森」は2025年に「チームラボプラネッツ TOKYO DMM」に登場後、リニューアルを重ねる度にエリアを拡大。

「学ぶ!未来の遊園地」は国内外の美術館や博物館から商業施設、ボートレース場などで常設もあれば期間限定展示など単体コンテンツとして展開されている。

新たな価値を生みだす創造・発信拠点が今後も続々とオープン

「チームラボ バイオヴォルテックス 京都」入場のために必要な「エントランスパス」の販売は、希望日に加えて1日のなかでも変動する変動価格制を導入。大人で3400円から5000円で設定されている。

これは2024年2月オープンの「チームラボボーダレス 麻布台ヒルズ」でも導入済で、京都の場合は同日の朝9時入場と夜19時の入場では800円の差がある。さらに、日程のみでで入場時間を指定しない「フレキシブルパス」も導入。こちらは大人・子どもともに一律1万2000円となっている。

10月7日のオープン時点で翌週分まで完売。前売りは12月分まで販売中だが、10月の週末はすでに完売。当日券は余っていれば販売するが、事前予約しておくのが必須となりそうだ。

2025年4月には京都駅東南部エリアにおける市有地を活用するため、公募型プロポーザルにより契約候補事業者の募集の審議の結果、アーティストの村上隆率いるカイカイキキに決定。2026年度中に新設する地上3階建てのアートスタジオがオープン予定だ。

ほかにも、2026年冬に国際的なアート事業「Superblue」が手掛ける体験型アート施設「Superblue Kyoto」、京都を拠点に活動する職人の伝統工芸品やアーティストの作品の展示ギャラリーのオープンも予定されている。

2017年に京都市によって策定された「京都駅東南部エリア活性化方針」では、まちづくりに「文化芸術」の視点を取り入れることで若者を中心とした新たな人の流れを生みだし、当該エリアが抱える人口減少や高齢化に歯止めをかけ、京都全体の活性化につなげていくことを目的に設定している。

これまで京都駅周辺の大型施設では京都駅から西側に徒歩15分の距離に京都水族館があるぐらいだったが、東南側に徒歩7分とより近い場所にできたことで、京都駅から下る新たな人の流れが生まれそうだ。

チームラボ バイオヴォルテックス 京都
京都市南区東九条東岩本町21-5
https://www.teamlab.art/jp/e/kyoto/

文/北本祐子

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