
物価高が家計を圧迫し続けている。そんな中でも、子どもの将来のために支出を惜しみたくないとして、なんとか教育費を捻出している家庭は多いことだろう。
PE-BANKはこのほど、全国の小学校1年生~高校3年生の子を持つ親(30~60歳)300名を対象に、子どもの教育費に関する調査を実施し、その結果を発表した。
月々の教育関連費は「1万~3万円未満」が最多(29.6%)、一方で「5万円以上」も1割超
教育関連のひと月の支出では、「1万~3万円未満」が最も多く29.6%。さらに「3万円以上」の家庭も22.8%を占め、中には「月5万円以上」が1割存在する結果となった。
これは、塾・習い事・教材・デジタル学習など多様な教育機会に対して積極的に投資している表れと取れる。特に中学・高校年代の受験や進路選択に向けて、家計を圧迫してでも“子どもの未来への投資”と捉えている親が多いことがうかがえる。
Q1.【1か月あたりの教育関連費(塾・習い事・教材など)はどれくらいですか?】
(単一回答 n=300)
9月の新学期を迎え、36.3%の親が「教育費が増える」と回答。学校生活の再開に伴う教材購入や習い事再開、さらには受験対策の強化など、新たな出費が重なる時期でもある。反対に「減る」との回答はわずか3.4%にとどまり、教育費の見直しや削減には消極的な家庭が多いことが明らかに。教育は“コストカットできない分野”という意識が色濃く見られる。
Q2.【新学期(9月)を迎えて、教育費の負担感はどう変化しそうですか?】
(単一回答 n=300)
通っている教育・習い事は、「塾」が37.1%で最多。次いで「スポーツ系習い事」(29.2%)、「オンライン学習サービス」(21.0%)
子どもが通っている教育・習い事については、「塾」が37.1%で最多。次いで「スポーツ系習い事」(29.2%)、「オンライン学習サービス」(21.0%)となった。複数回答が可能なため、1人の子どもが複数の活動に参加しているケースも多く、教育や成長機会の多様化が顕著だ。
特に父親は塾やオンライン学習を推奨するケースが高い傾向にあり、受験対策や学力アップを重視する声が強いと考えられる。一方で、母親はスポーツや芸術系にやや重点を置く傾向がみられ、子どもの個性や非認知能力を伸ばす教育に関心を持つ姿勢がうかがえる。
Q3.【お子さまが通っているものを教えてください。】
(複数回答 n=300)
教育関連で最も家計に響く出費は、「塾」(40.8%)と「習い事費用」(34.1%)が上位を占めた。受験や学力アップのための塾通いに加え、スポーツ・音楽・芸術といった“非認知スキル”への投資も盛んだ。
習い事は子どもの個性や将来を広げるための重要な場とされ、家計に余裕がなくても削りたくない出費となっているようだ。今後も学校外教育は学力以外の幅広いスキル育成の場として期待されており、支援の必要性も高まるだろう。
Q4.【教育関連で大きな出費となるものは何ですか?】
(複数回答 n=300)
新学期の準備で最も多く支出されたのは「参考書・問題集」(36.0%)、次いで「制服・部活動費」(22.1%) や「パソコン・タブレット等デジタル機器」(20.0%)となった。これらは学習の質向上や学校生活の充実を目的とした必需品とも言え、特にタブレット等のデジタル機器の購入割合が高いことから、デジタル教材やオンライン学習の浸透が進んでいることがわかる。
父親のほうがデジタル機器購入率が高く、効率的な学習環境の整備に積極的な姿勢が見られる。こうしたICTツールの普及は学習スタイルの多様化を促し、今後の教育現場におけるデジタルシフトの重要性を示唆している。一方で、紙の参考書も依然として根強い支持を受けている点も特徴的だ。
Q5.【新学期に向けて新たに購入した教育関連アイテムはありますか?】
(複数回答 n=300)
35.2%の家庭が、YouTube学習や通信教育など「オンライン学習サービス」を利用していると回答。特に働く親にとっては、自宅で完結できるデジタル学習は安全性や利便性が高く、コスト面でも通塾より抑えられる点が魅力となっているようだ。一方で、64.8%は「利用していない」と回答しており、リアルな場での学習に重きを置く層も一定数存在している。
Q6.【オンライン学習サービス(YouTube学習、アプリ、通信教育など)を利用していますか? 】(単一回答 n=300)
物価高の影響で、28%の親が教育費の削減や見直しを経験。教育費のために「外食」(38.2%)や「自分の趣味」(34.8%)を我慢する家庭も
物価高の影響により、28.0%の親が教育費の削減や見直しを経験している。多くは「塾や習い事の見直し」が中心で、家計の負担増を受けた苦渋の選択がうかがえる。しかし、72.0%の親は「削減しない」と回答しており、教育への投資を優先している実態も明らかだ。
教育費を削ることが子どもの将来に直結すると考える親が多く、物価高騰の中でも教育は“切り詰めにくい”支出として位置付けられていると考えられる。今後も経済環境の不透明感が続く中、教育費の負担軽減に向けた制度的支援や家庭への情報提供が一層求められそうだ。
Q7.【物価高の影響で教育費に関して「削減」または「見直し」をしたことはありますか? 】
(単一回答 n=300)
教育費のために我慢しているものとして、「外食」(38.2%)「自分の趣味」(34.8%)「旅行」(26.6%)が上位に挙がった。子どもの教育を最優先し、家計の中で優先順位をつけて出費をコントロールしている様子がうかがえる。特に母親層は「自分の趣味」を我慢する割合が高く、家庭内での“見えない犠牲”があることも浮き彫りになった。
Q8.【教育費のために家計で我慢していることはありますか?】
(複数回答 n=300)
支援を望む分野は「授業料無償化」(57.3%)が最多、次いで「塾・習い事費の補助」(43.1%)
教育費に対する公的支援として、最も求められていたのは「授業料の無償化」(57.3%)となった。次いで「塾・習い事費の補助」(43.1%)「デジタル機器購入補助」(30.1%)など、学びの多様化に合わせた支援を望む声が多数みられた。家庭の経済格差が教育格差に直結しやすい現状において、教育機会の公平性を求める切実な意見といえる。
Q9.【教育費に関して「もっと支援してほしい」と感じる分野はどれですか?】
(複数回答 n=300)
今後力を入れたい分野としては、「プログラミング・ICTリテラシーなどIT・デジタル分野」(34.9%)「学校の主要教科」(34.4%)「お金の知識・投資・経済理解など金融リテラシー」(33.0%)」が上位を占めた。変化の激しい社会に対応できるよう、親世代も“これからの時代に必要な力”を意識して教育方針を見直しているようだ。単に「良い点数を取る」だけでなく、“生きる力”を育む教育を重視する傾向が高まっているように見受けられる。
Q10.【今後、お子さまの教育で特に力を入れたい分野を教えてください。】
(複数回答 n=300)
<調査概要>
調査対象 :全国の小学校1年生~高校3年生の子を持つ親(30~60歳)
サンプル数:300サンプル
調査方法 :インターネットによるアンケート
調査期間 :2025年9月27日(土)~2025年9月29日(月)
出典元:PE-BANK調べ
構成/こじへい