小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

最高値を更新し続ける「金投資」を始める3つの方法

2025.10.13

金(ゴールド)は世界中で通用する「安全資産」の代表格です。古代エジプトの財宝から江戸時代の小判に至るまで、時代を超えて普遍的な価値が認められてきました。19~20世紀初頭には各国が金本位制を採用し、自国通貨の価値を金で裏付けるほど信用力のある資産でした。

現在も政治的不安や経済危機、災害、インフレなど「有事」の際に価格が上がりやすいため「有事の金」とも呼ばれ、資産防衛の手段として多くの人が金を保有します。一方で金は株式や債券のような利息や配当を生まないため、長期的なインフレ率を超えるリターンは得にくいともいわれます。

ここでは、そんな金の基本的な特徴や歴史をひもとき、現代における金投資の役割や具体的な運用方法(現物保有・金ETF・純金積立)について、初心者にもわかりやすく解説します。

金の価値と歴史:通貨の裏付けから資産保全へ

金はその希少性と不変性(錆びず劣化しない)によって、「存在そのものに価値がある」実物資産です。世界共通で価値が認められ、どの国でも換金できる信頼性の高さから、古来より富の貯蔵手段や貨幣として用いられてきました。

特に金本位制の時代には各国の中央銀行が金準備を積み上げ、通貨と金の交換比率を固定していました。しかし1971年のニクソン・ショック(米ドルと金の交換停止)により戦後のブレトンウッズ体制が崩壊し、各国通貨は金から切り離されます。

その結果、固定されていた金価格は短期間で倍以上に急騰し、以降は変動相場制の中で金が「資産価値の保存手段」として再評価される契機となりました。現代でもインフレや円安など通貨価値への不安が高まる局面で金の需要が増えやすいのは、この歴史的経緯によるところが大きいと言えます。

このように法定通貨の価値が揺らぐ時代背景の中で、各国の中央銀行も依然として金を重要な準備資産と位置付けています。実際、2025年第1四半期時点で各国中央銀行が目標とする外貨準備ポートフォリオのうち平均で約22%が金に配分されており、近年はロシア・ウクライナ情勢以降毎年1,000トン超もの大規模な金の純購入が続くなど、中央銀行の旺盛な金需要が金市場を下支えしています。

現代における金の魅力:インフレ・通貨不安への“保険”として

金が「守りの資産」「ポートフォリオの保険」と称されるゆえんは、その価格がインフレ率や通貨価値の下落に対して相対的に強さを発揮しやすい点にあります。一般にインフレ(物価上昇)局面では通貨の購買力が下がりますが、金は希少な実物資産であり貨幣価値の下落の影響を受けにくいため、インフレヘッジとして有効とされています。また、景気後退や金融危機・戦争などで株式や債券などのペーパー資産が急落する局面でも、代替資産として金に資金が流入しやすく、金価格は上昇傾向を示します。

実際、市場の不確実性が高まった2020年代には金相場が大きく上昇しました。世界的なインフレ圧力や地政学リスクが意識された2022年以降、円建ての金価格は過去最高水準に達し、2025年9月には国内小売価格で初めて1グラムあたり20,000円を突破して話題となりました(2025年9月29日に1g=20,018円と史上最高値を記録)。

この背景にはウクライナ侵攻による安全資産需要の増加や急激な円安進行など複数の要因があり、まさにインフレや通貨不安への備えとして金の価値が見直されたと言えます。

もっとも、金への投資ではインカムゲイン(利息・配当)が得られない点にも注意が必要です金そのものは保有しているだけでは収益を生まないため、長期的なリターンは金価格の値上がり(キャピタルゲイン)に依存します。そのため、金価格が低迷する局面では配当のある株式や債券に劣後し、インフレ率以上の実質リターンを得にくい可能性があります。金はあくまで資産全体の「保険」的な位置付けであり、大きなリターンを狙う資産ではない点を押さえておきましょう。

なお、日本の投資家にとっては為替動向も金価格に影響を与えます。金はロンドンやニューヨーク市場で米ドル建てのトロイオンス単位で取引されるため、そのドル建て価格を円換算したものが円建て金価格です。その結果、円安が進行すると金の円建て価格は割高になり(円高では割安になる)、国内投資家の受け取る金の値動きに為替要因が加わります。例えばドル建て金価格が横ばいでも円安が進めば円建てでは値上がりするため、金投資では為替リスクとリターンも考慮する必要があります。近年の日本で金価格が急騰した一因も、世界的な金需要増に加え急激な円安が相まって円建て価格を押し上げたためです。

金投資の代表的な3つの方法と特徴

金への投資には主に(1)現物購入、(2)金ETF、(3)純金積立の3つがあります。それぞれ仕組みや利点・注意点が異なるため、目的に応じて選ぶことが重要です。

(1) 金地金・金貨の現物購入

概要: 金そのもの(延べ棒・金貨)を購入し、保有する伝統的な方法。田中貴金属や三菱マテリアルなどの地金商、銀行窓口で購入できます。1kgバーは数百万円~数千万円規模で、少量の100gバーや金貨はやや割高です。

メリット:
• 実物を持つ安心感 | 信用リスクがなく、世界中で価値を保つ「最後の砦」。
• 税優遇| 年50万円までの売却益が非課税、長期保有なら1/2課税の優遇も。
• 世界共通の流動性| 国際相場で取引され、海外でも換金が容易。

デメリット:
• 保管・盗難リスク| 自宅保管は危険で、貸金庫や保管料が必要。
• 売買スプレッドが大きい| 数%の価格差で短期売買に不向き。
• 税率が高くなる可能性| 大きな利益は累進課税、他資産との損益通算不可。

(2) 金ETF(上場投資信託)

概要: 金価格に連動する投資信託で、株式のように取引所で売買可能。代表的な銘柄は「SPDRゴールド・シェア(1326)」など。

メリット:
• 少額・高流動性| 数千円から取引でき、売買もリアルタイム。
• 保管不要| 金庫不要で安全。1540などは現物と交換も可。
• 低コスト・税制優遇| 信託報酬は年0.3~0.5%程度。申告分離課税20.315%で損益通算も可能。

デメリット:
• 実物の所有感がない| 非常時の現物価値は持てない。
• 市場・為替リスク| 株式市場の変動や円安の影響を受ける。
• 微少ながら運用コスト発生| 長期保有では信託報酬が積み重なる。

(3) 純金積立(積立型投資)

概要: 毎月一定額または一定量の金を自動で購入する方式。田中貴金属やSBI証券などで月1,000円~始められ、積立金は業者が保管します。一定量貯まると金地金に交換も可能。

メリット:
• 少額で始めやすく自動積立 | ドルコスト平均法で高値掴みを防止。
• 保管リスクがない| 業者が保管するため安心。
• 長期・習慣化に向く| 無理なくコツコツ続けられ、資産形成に有効。

デメリット:
• 手数料が高め| 購入・保管・売却で計約3~4%のコスト。
• 価格下落時の含み損| 下落相場では長期含み損になることも。
• 現物化に制約| 一定量以上でないと地金化できず、別途費用が必要。

資産運用での金の活用ポイント

金はリターンより資産防衛・分散効果が目的。株や債券と異なる値動きをするため、ポートフォリオの5~10%程度を目安に保有するとリスク分散になります。ただし、金単独での大きな利益は期待できません。投資を始める際は、家計に無理のない金額で少額からコツコツ積み立てましょう。特に新NISAでは金ETFも対象となり、非課税で運用可能です。

近年は円安やインフレを背景に金投資が再注目されています。市場や税制の変化をチェックしつつ、現物・ETF・積立を組み合わせたハイブリッド戦略を取るのも賢明です。

金は「攻め」ではなく「守り」の資産。

インフレや金融不安に備える保険として、無理なく長期的に活用することが、安定した資産形成の鍵となります。

文/鈴木林太郎 経済ライター
テックと経済の“交差点”を主戦場に、フィンテック、Web3、決済、越境EC、地域通貨などの実務に効くテーマをやさしく解説。企業・自治体の取材とデータ検証を重ね、現場の課題を言語化する記事づくりが得意。難解な制度や技術を、比喩と事例で“今日使える知識”に翻訳します。

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2025年10月16日(木) 発売

DIME最新号は、「2025ヒット商品総決算」特集&「攻殻機動隊」映像化30周年大特集!今年話題を集めたヒット商品をどこよりも早く徹底解剖。DIMEでしか手に入らない「攻殻機動隊」オリジナルカレンダーが特別付録に付いてくる!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。