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フォルダブル初の〝防じん〟性能は本物か?「Pixel 10 Pro Fold」の進化と使い勝手を早速検証してみた!

2025.10.09

 8月に3機種が発売された「Pixel 10」シリーズだが、折りたたみスマホの「Pixel 10 Pro Fold」だけは10月までお預けになっていた。他の3機種と同様、チップセットにはAIの処理能力を大きく高めたグーグル独自設計の「Tensor G5」を搭載。Pixel 10共通の機能であるカメラコーチなども利用できる。

 一見すると、ハードウェアは前世代の「Pixel 9 Pro Fold」と大きく変わっていないように思えるが、外側ディスプレイのサイズがわずかに大きくなっていたり、折りたたみスマホとしては初の防水防じんに対応していたりと、よりブラッシュアップされた印象を受ける。

 サムスン電子の「Galaxy Z Fold7」が登場したことで、“国内最薄”の称号は奪われてしまったものの、折りたたみ型スマホとしては比較的スリムな1台と言えるだろう。そんなPixel 10 Pro Foldが、10月9日に発売された。発売に先立ち、この端末を試用することができた。その実力を分析していきたい。

Pixel 10シリーズの折りたたみスマホとして10月に登場したPixel 10 Pro Fold。他の端末と同様、グーグルが設計したTensor G5を搭載する

IP68の防水防じん仕様はフォルダブル初、実際に試した

 ハードウェアとして大きく進化した点としてまず挙げておきたいのが、防水防じんに対応したことだ。その等級はIP68。バータイプのスマホでは防水防じん対応はもはや一般的な仕様となっているが、可動部の多い折りたたみ型スマホとしては異例と言える。塵などの細かな物体を折りたたむためのヒンジに巻き込みやすく、防水以上に防じん対応のハードルは高い。

仕様面では、IP68に対応している

 実際、ライバルであるGalaxy Z Fold7を見ても、防水防じんの等級はIP48にとどまる。IPの後の数字は、1つ目が防じん、2つ目が防水の程度を示しており、4は「直径1mm以上の異物の侵入を防ぐ」と定義されている。そのため、1mmを下回る砂やホコリには耐性がなく、防じんと言い切るには無理がある仕様だ。

折りたためるスマホは、ヒンジなどの可動部分が一般的なスマホより多く、防じん設計にしづらいが、Pixel 10 Pro Foldはヒンジもかなりすき間が狭くなっている

 これに対し、Pixel 10 Pro FoldのIP68の6は、保護の程度として「完全な防じん」をうたえるレベルで、粉塵の侵入が完全に防護されている状態を指す。ヒンジ部を見てみると、確かにすき間はほとんどない。とは言え、ここが動くことによって砂などは巻き込んでしまうおそれはあるように見える。

 そこで試しにPixel 10 Pro Foldを砂場に持っていき、これでもかと砂利や砂をかけてみた。当然ながら、この段階では粉塵が入っているようには見えず、画面もしっかり点灯する。問題なのはこの後。折りたたんでみたときだ。通常利用を想定し、サッと砂を払ってから折ってみたが、やはり中に砂を巻き込んだような感触があった。

防じん性能を試すため、思い切って砂をかけてみた

 開閉すると、「ジャリっ、ジャリっ」という嫌な音が鳴って耳障りだ。わずかながら、砂を巻き込んでいるような感覚もある。一瞬、レビュー用機材を壊してしまったかと思って焦ったが、本体を水で洗い流し、何度か開閉しているうちに音はほとんど鳴らなくなった。開閉のたびに、少しずつ砂が外に出ているようだ。グーグルは多くを語っていないが、開閉のたびに異物を押し出す構造になっているのかもしれない。

 とは言え、機械に異物を巻き込んだような感触はあるため、IP68だからと言ってむやみに砂の多い場所では使わない方がいいだろう。うっかり落としてしまった時にも安心という程度に捉えておきたい。Pixel 10 Pro Foldは、折りたたみスマホの例にもれず価格は25万円を上回っており、修理費用も高額。財力があれば話は別だが、無理にラフに使う必要はないはずだ。

厚みは昨年よりアップ、大画面の迫力や利便性は健在

 こうしたハードウェアのアップデートがあったためか、厚みは先代のPixel 9 Pro Foldから、わずかに増しており、重量もアップした。サムスン電子がGalaxy Z Fold7で一気に薄型化したのを見ていることもあり、ここにはやや物足りなさを覚える。国内最薄の称号を取り戻すかどうかはさておき、一般的なスマホ程度の薄さになれば、使い勝手も上がるだけに残念なポイントだ。折りたたんで使うと、どうしても厚みは感じられる。

閉じたときの厚みは10.8mmで、Galaxy Z Fold7の8.9mmはもちろん、先代のPixel 9 Pro Foldの10.5mmより厚くなってしまった

 また、重量はほぼ先代モデルを維持しているとは言え、258gもあるため、手に取ったときにズッシリとした重みを感じる。軽量化に軽量化を重ねたGalaxy Z Fold7は一般的なスマホとほぼ同程度の重さになり、フォルダブルスマホであることを忘れさせるが、Pixel 10 Pro Foldにはそのような感動はない。フォルダブルスマホとしては特段重量が大きいわけではないが、そのカテゴリーからは脱却できていないと言い換えることができる。

重量は258gで、実測値もほぼスペックどおり。昨年からあまり変わっていない

 とは言え、開いたときの8インチという画面サイズはやはり大きく、映像を表示した際の迫力は十分だ。ミニタブレットのように使えるため、スマホと別にタブレットを持ち歩くよりも総重量は軽くなる。電子雑誌を1ページずつ表示すれば本文程度の大きさの文字は読めるし、コミックサイズであれば本体を横にして見開き表示にするのも実用的。文庫本の電子書籍を読むのにも、ピッタリなサイズ感と言える。

開いたときのディスプレイは8インチ。アスペクト比はやや縦長だが、かなり正方形に近い
電子雑誌を1ページ表示すると、本文の文字は読める

 フォルダブルスマホを普段使っている人には当たり前かもしれないが、本サイトのようなWebも見やすい。1画面に表示できる情報量が増え、物理的に画面サイズも大きいため、PCモードで見るのもオススメできる。その方が一覧性が上がって、情報の選択がしやすくなる。サイトによっては、スマホビューになり、画面サイズを生かしきれないこともあるため、適宜切り替えながら利用するといいだろう。

WebをPC表示で見るにもいいサイズ感だ

 GmailやGoogleメッセージなどのアプリは2カラムの専用ビューが用意されており、左にメール一覧、右に選択したメールの中身を表示可能。一般的なスマホのように、一覧からメールを選び、中身を見た後に一覧まで戻って再び選択して次のメールを見るといった手順を踏む必要がなく、タップしていくだけで次々と表示するメールを切り替えられる。

Gmailなどのメッセージアプリは、左の一覧、右にその中身が表示され、サクサクと見ていくことができる

 ただ、画面上部のステータスが表示される余白が広く、スペースが無駄になっている点は少々残念。ディスプレイのアスペクト比は本来ならわずかに縦長のはずだが、このスペースを勘案して横表示になってしまうアプリもあった。例えば、電子雑誌を読む際に使用した「楽天マガジン」は、Galaxy Z Fold7だと単ページ表示になるのに対し、Pixel 10 Pro Foldだと見開きになってしまう。雑誌は元々の判型が大きいこともあり、これだと少々読みづらい。

楽天マガジンで『DIME』を表示したところ、横判定されて見開きになってしまった

カメラ画質はPixel 10 Pro譲りだが、超解像ズームProには非対応

 折り曲げた途中の状態で止め、ノートパソコンを開いたときのような半折り状態で使えるのもフォルダブルスマホのメリットだ。Pixel 10 Pro Foldも、このような使い方に対応しており、アプリによっては専用のユーザーインターフェイスに切り替わる。例えば、カメラの場合は下半分が操作パネルに、上半分がプレビューになり、机などの上に置いたままでも撮影がしやすい。置きっぱなしにすれば、手ブレも起こらないので夜景撮影などにも向いている。

アプリによっては、半開きにすると下半分が操作パネルになる。写真はカメラの場合

 キーボードのサイズを調整して画面半分にピッタリ収まるようにすれば、超小型ノートパソコンのような感覚で利用できる。さすがにタッチタイピングは難しいが、ローマ字入力でも違和感なく文字を打てるのはうれしい。一方で、Galaxy Z Fold7にある下半分をトラックパッドのように使うモードはなく、非対応アプリだと特に表示も切り替わらない。こうしたフォルダブルならではの使い勝手には、もう一工夫が必要だと感じた。

キーボードを下半分いっぱいに表示して、ノートパソコンのように入力することもできる

 チップセットにPixel 10シリーズを搭載したことで、他のモデルと“ほぼ”同じAI機能を使えるようになったのも、評価できるポイントだ。カメラは、AIによってフレーミングや構図などのアドバイスをもらえる「カメラコーチ」に対応。画質が高いだけでなく、教えてもらわないとなかなか身に着かない写真の基本が分かるのはうれしい。SNSにアップする際にこれを使えば、「いいね」の数が増えるかもしれない。

AIが被写体を判別して、構図などのアドバイスをしてくれるカメラコーチ

 また、電話やメッセージの最中に過去の情報を参照したり、別のアプリをリコメンドする「マジックサジェスト」にも対応する。こちらは、電話の場合、キーワードにほぼ反応せず、使い物になるのはメッセージ中にカレンダーを参照するといったシーンに限定されるものの、アプリの行き来を減らすことが可能。アップデートによるブラッシュアップにも期待したい機能だ。

マジックサジェストに対応するが、現状では発動する場面が少ないのが残念

 “ほぼ”と引用符でくくったのは、同じ「Pro」を冠する「Pixel 10 Pro」や「Pixel 10 Pro XL」にあった「超解像ズームPro」が使えないためだ。この機能は生成AIに使われる拡散モデルを使い、最大100倍までのズームを可能にする。被写体によっては“絵”のようになってしまうこともあるが、カメラのレンズ性能を大きく超えたズームができるのがメリットだ。

 Pixel 10 Pro Foldには、この機能が搭載されていない。これは、望遠レンズの仕様が5倍で、かつセンサーサイズが1080万画素にとどまっているためとみられる。Pixel 10 Proのそれは、5倍で4800万画素。センサーの一部を切り出すことで、10倍まで劣化の少ないズームを実現できる。これをさらに10倍拡大できるのが超解像ズームProだ。Pixel 10 Pro Foldの場合、切り出しができないため100倍になると拡散モデルを使う前の画像がかなり粗くなってしまう。

0.5倍と1倍、2倍、5倍はワンタッチで切り替え可能。2倍は4800万画素からの切り出しになる

超解像ズームは最大20倍だが、意外と劣化が少ない

 そのため、100倍ズームだとクオリティを保てない可能性もある。非対応になっているのは、そのためとみられる。一方で、光学5倍を超えた際には超解像ズームがかかり、画質が補正される。10倍程度であれば、デジタルズームで撮ったとは思えないほど、高い画質になる。その意味で、カメラの性能は十分高い。広角カメラの性能の高さも折り紙つき。Pixel 10シリーズのよさを受け継いだフォルダブルスマホに仕上がっている。

ホワイトバランスが正確。料理はもう少し温かみがある方が好みだが、ディテールやしずる感のようなものはしっかり出ている

 やや粗はある一方で、フォルダブルスマホならではの楽しさもあるPixel 10 Pro Foldだが、折りたたんだ時に普通のスマホ並みに薄くなるGalaxy Z Fold7を触ったあとだと、どうしても厚さが目立ってしまい、感動が薄まる。重量も、まだまだ軽量化の余地があると言えるだろう。横折りのフォルダブルスマホは、まだまだ発展途上の分野。次機種以降では、ハードウェアの大きな改良にも期待したい。

文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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