
YouTubeの新しい有料プランの試験的提供が、日本で開始された。その名もYouTube Premium Lite。
YouTubeという動画配信サービスは、無課金の場合は動画の中に広告が差し込まれ、それを視聴しなけば本編を観ることができない。YouTube Premium Liteに加入することで、そうした広告を省くことができる。
が、もちろんこれは「Lite」だから、YouTube PremiumにあってLiteにない機能も。以下、それらを比較していこう。
視聴者の大半が「無課金ユーザー」
筆者はYouTubeチャンネルを運営している。この記事を書いているまさにその最中、チャンネル登録者数が5000人になった。数年前には夢にも思っていなかった数字だが、ともかくここまで登録者数が増えるとそれなりの広告収益が発生するようになる。
クリエイター向けプラットフォームYouTubeスタジオには「動画再生ページの広告収入」という項目があり、それには「動画再生ページの広告(無課金ユーザー)」と「YouTube Premium(課金ユーザー)」の割合が表示されている。現状、収益の8割は無課金ユーザーが広告を閲覧したことによるものだ。逆に言えば、YouTube Premiumユーザーは視聴者全体のおおよそ2割しかいないという意味である。
YouTube Premium Liteの日本での解禁により、この割合が大きく変動する可能性はあるだろう。
だが、問題はユーザーの視点から見た「プランの利便性」だ。このYouTube Premium Lite、月額780円という価格設定がされているが(YouTube Premiumは月1280円)、それに見合った内容なのか見極める必要がある。
音楽コンテンツの広告は省けない!
結論から言えば、YouTube Premium Liteは「動画内の広告のカット」に特化したプランである。
「より手頃な月額780円(税込み)で様々な YouTube 動画を広告なしで楽しめる新しいプラン、YouTube Premium Liteの試験的提供を日本で本日より順次開始します。今後数週間以内に利用可能になる予定です。
(中略)
YouTube Premium Liteは、ゲーム、お笑い、料理、学習などの動画を、主に広告なしで楽しみたいユーザー向けのプランで、スマートフォン、パソコン、テレビなど、さまざまなデバイスに対応しています。YouTube Premium Liteでは、様々な動画が広告なしで視聴できますが、音楽コンテンツやショート動画、また検索やサイト内を閲覧する際に広告が表示されることがあります。YouTubeとYouTube Musicで、音楽も広告なしで楽しみたい方や、オフライン再生やバックグラウンド再生機能を利用したい方は、YouTube Premiumプランをおすすめします」
(YouTube Premium Lite を日本でも提供開始: 手頃な価格で少ない広告で視聴できる新プラン-YouTube)
つまり、YouTube Premiumでは利用できるYouTube Musicや、音楽コンテンツ視聴の際の広告非表示はYouTube Premium Liteでは利用できないということだ。
したがって、こんなことが考えられる。YouTube Premium Lite加入者が自分の好きなミュージシャンの曲をYouTubeアプリで聴いている最中、いきなり広告が差し込まれてガッカリする……という事態だ。「ちゃんとYouTube Premium Liteに加入してるはずなのに、どうして広告が!?」と言い出す人も現れるかもしれない。
しかし、このプランでは「音楽コンテンツに差し込まれる広告」は取り除かれないという点をここでしっかり認識するべきだ。
Liteにはバックグラウンド再生機能がない!
また、YouTube Premiumには実装されているバックグラウンド再生機能がYouTube Premium Liteにはない点にも注目したい。
このバックグラウンド再生機能、あれば意外と重宝する。
たとえば、推しのVTuberのライブ配信を視聴している最中、重要なメールが舞い込んできたとする。その際、一時的にYouTubeアプリから離れることになるのだが、バックグラウンド再生機能がないと「ライブ配信をラジオのように聴く」ということができない。メールをチェックしている間は、強制的に一時停止されてしまうのだ。
バックグラウンド再生機能があるかないかで、YouTubeアプリの使い勝手が大きく変わると表現してもいいだろう。
それらの機能を省いたプランが、500円安く提供されるということを我々はどう解釈すべきだろうか。
選択肢のひとつとして
YouTuberの中には、自身の動画に細かく広告を挿入する人もいる。そうすることで、1本の動画から得られる広告収益を極力増やそうという算段だ。
この「広告攻勢」を回避するとしたら、やはり有料プランへの加入しかない。そのための月780円というコストは、ユーザー側から見てもクリエイター側から見ても(昨今の物価上昇も加味すると)妥当な数字ではないだろうか。
一方で、自分はYouTubeで音楽コンテンツを視聴することはないし、バックグラウンド再生機能がなくても特に不自由を感じないという人であれば、確かにYouTube Premium Liteはひとつの選択肢になり得るだろう。
【参照】
YouTube Premium Liteを日本でも提供開始:手頃な価格で少ない広告で視聴できる新プラン-YouTube
取材・文/澤田真一
事実か?デマか?10万円以下で買える「Macbook SE」が生産される可能性
599ドル(約8万9,000円)のMacbookが発売されるかもしれない。これは中古品でもアウトレットでもなく、新品としてその値段で発売されるという話だ。 現在…