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「睡眠不足で内臓脂肪が11%増える」衝撃研究も!サンスター健康道場に学ぶ、睡眠の質とメタボの深い関係

2025.10.10

累計9900人の社員が利用 サンスター心身健康道場は『健康を鍛え、そして科学する』場所

サンスターコミュニケーションパーク・大阪

体調管理はついつい後回しになりがち。しかし自身の健康状態を把握し、日々の生活を改善することができれば、パフォーマンスの良い状態を長く維持することができる。もし企業が社員の健康支援についてしっかりとケアすれば、働く人々にとってもウェルビーイングな環境が整うだろう。

口腔と健康と美のケアを行う消費財事業や、四輪、二輪の金属加工部品や接着剤等を扱う生産財事業を行うサンスターグループは、社員の生活習慣の改善のため、心と身体の健康づくりを学びながら体験するための福利厚生施設『サンスター心身健康道場』を大阪・高槻市で運営している。サンスターの創業者・金田邦夫氏が50歳という若さで亡くなった経験や、「社員の健康を願い、健康産業に準ずる社員が健康であるべき」という考えから、二代目・博夫氏が社員の心と体の健康づくりのために同所を1985年に開設したのだ。連載2回目では、サンスター心身健康道場の取り組みや、実際に行っている講義の一部を紹介する。

→連載1回目はこちら

社員の健康支援こそ「投資」という、サンスター『心身健康道場』に学ぶウェルビーイング経営の本質

働く人々にとって、企業が自身の健康を気にかけてくれるかどうかは重要だ。多忙であればあるほど、健康診断結果のチェックやちょっとした日々の不調も見落としてしまうこと…

大阪・高槻市にある『サンスター心身健康道場』

サンスター心身健康道場は福利厚生施設として、サンスター財団の中の健康推進室の健康道場チームが運営。メンバーは管理栄養士や歯科衛生士によって構成され、栄養のことだけでなく、運動や睡眠、健康、お口に関するさまざまな講義を行う。

健康推進室の健康道場チーム

新入社員の新人研修や、メタボリックシンドロームの症状が出始める40歳よりも前に節目として受ける『35歳節目研修』、また健康診断で特定保健指導対象者(メタボリックシンドロームと診断された社員とその予備軍)の特定保健指導の場として使用される。社員は特定保健指導の講義を受けたり、食事の改善や運動を取り入れたりと、滞在期間中に意識や生活を改善していく。

心身健康道場の室内

887平方メートルの延床面積に、シングル13室、ツイン1室の客室が用意されており、講義や運動を行う研修ルームや、温水プール、冷水と温水で『冷温交代プログラム』を行う42度の温浴槽と18度の冷水槽、85度のドライサウナに45度のウェットサウナなども整備。2024年末時点で、累計9900人の社員が利用している。

講義室

同社の健康推進室長・谷水良亘氏は心身健康道場について、「自然治癒力と自己免疫力を高めるために、東洋医学をベースにした独自のメソッドで健康を学んでいただく場所です」と説明。「我々は『健康を鍛え、そして科学する健康道場』と言っていますが、健康を鍛えるだけではなく、そのメソッドをお伝えしたい。講義内容も科学的な裏付けも含めて有効であるかどうかという点もきちんと見ながら、取り組ませていただいています」と語った。

水分は柿の葉茶で摂取 青汁や玄米菜食で間欠的なファスティングを実施

心身健康道場からの眺め

サンスター心身健康道場が健康づくりのためにベースとしているのが、1927年に西勝造氏が編み出した健康法『西式健康法』。西氏は炭鉱勤務を経てコロンビア大学に学び、後に当時の東京市電気局技師となり地下鉄敷設を担当した人物で、自身が17才で結核にかかり20才まで生きられないと言われた経験から、世界各国の医学や健康法を研究。さまざまな健康法を自ら試した末、よりすぐりのものを『西式健康法』として発表した。特に健康になるための基本原則を「皮膚、栄養、四肢、精神」の4つと考え、「平床寝台、 硬枕利用、金魚運動、毛管運動、合掌合蹠運動、背腹運動」を西式健康法の『六大法則』とした。

谷水氏によると、心身健康道場の健康法のポイントは5つあるという。

「まずは『皮膚を鍛える』ということで、冷水と温水に1分間ずつ9回交互に入る『冷温交代プログラム』があります。これは皮膚の強化や反射に繋がっています。皮膚呼吸や体温調節、バリア機能など、いわゆる自己防御機能を高めていきます。冷温交代は血行を良くし、交感神経と副交感神経の両方をスイッチして自律神経を調節する機能を高める有用性も認められおり、疲労回復も期待されています」

『冷温交代プログラム』を行う浴槽

この冷温交代プログラムは心臓に負荷がかかる恐れもあるため、滞在者の中でも「健康状態の良い人」であれば利用できるという。また1人での利用は禁止されている。

健康状態の良い人であれば2人以上から利用できる

「2つ目のポイントは、『生菜食と少食』です。心身健康道場では植物性の食事で、ビタミン、ミネラル、食物繊維を豊富に含んだ食事をいただきます。宿泊者はフレッシュジュースとして、野菜や果物で自ら青汁を作ります。実は健康道場に宿泊していただいたら、朝はこの青汁1杯だけなんです。朝食はこれだけで過ごしていただきます。その後、お昼は玄米菜食です。玄米を主食にタンパク質と野菜をとっていただき、間欠的なファスティングを道場でも自然に取り入れている方法になります」

朝食の青汁は宿泊者自ら作る

実際に食堂では、ホウレン草や小松菜、セロリ、リンゴ、レモンなどが用意され、宿泊者はレシピを見ながら青汁を作っていく。

新鮮な野菜や果物をミキサーで撹拌する

たっぷりの新鮮な野菜・果物と水80ミリリットルをミキサーで撹拌(かくはん)すると、緑たっぷりな青汁の完成だ。リンゴとレモンが入っているからか、苦みはなく甘く爽やかな後味が広がり、飲みやすい。宿泊者の朝食はこの青汁のみとなる。

緑たっぷりな青汁完成

昼食と夕食は玄米と植物性の食材を使ったお弁当が提供される。写真のメニューは昼食で、主食はキーマカレー。副菜に豆乳ドレッシングを使用したサラダに大豆ナゲット、切干大根ザワークラフト風がつき、しっかり食べてもエネルギーは626kcalとヘルシーだ。

昼食のお弁当

野菜は278gとたっぷり使用され、お肉代わりの大豆ナゲットも噛み応えがり、腹持ちもいい。

大豆ナゲットや豆乳ドレッシングなど植物性のメニュー

野菜がたっぷり詰まったキーマカレーも、植物性ながら本格的な味わいで食欲がしっかり満たされる。玄米菜食でもタンパク質をしっかり補える栄養バランスの整った食事となっている。谷水さんいわく、「健康道場のお弁当は1食500kcalから600kcal で、昼と夜の2食で1200kcalです。30kcalの青汁も含めて大体1日1200kcalです」とのこと。

「成人男性で1日2000~2200kcalぐらいと言われてますので、健康食堂の食事は半分弱のカロリーになります。これでも十分に日常活動ができるので、普段摂取し過ぎていることが分かります」

低カロリーで食べ応えがある

サンスター財団は、「健康な食事・食環境コンソーシアム」が定める「健康な食事・食環境」認証制度の認証事業者「給食部門」として認められており、玄米菜食は栄養バランスの良い食事が選べる外食・中食・事業所給食の『スマートミール認証』を取得している。

スマートミール認証食

「3つ目のポイントは、『宿便を溜めない』ということです。今で言うと腸活ですね。過食によって取り過ぎた食物が便として腸内に留まったり大量出血したりすることで、体調が悪くなってしまうことがあります。2つ目のポイントでもある少食や食物繊維が豊富な玄米、青汁を使って、腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にしていきます。宿便を取り除くことで体の状態や腸内環境を良くすることを滞在中に実践して、普段の過食による健康への不調をリセットするようにトレーニングの中で組んでいます」

食物繊維豊富な食事で腸活も行う

「4つ目は『水』。水分は非常に大切で、ヨーロッパでは1日の水の摂取量を定めています。日本では公式に定められていませんが、健康道場ではたっぷりと水分を摂取することを意識しています。健康道場では『柿の葉茶』という柿の葉のお茶を水の代わりに飲んでいただきます。柿の葉は健康的にもメリットがあるとされ、たっぷり飲んでいただいても健康の阻害になる要素がないため、道場は柿の葉茶を推奨しています」

滞在中は柿の葉茶で水分をとる

「最後、5つ目は『平床と畳枕、木枕』です。頸椎や腰椎、胸椎といったいわゆる背骨の歪みを整えて体調を良くすることが目的です。もともと宿泊者は畳と掛布団と木枕だけで平床で寝ていたのですが、これだと眠れないので、現在では畳の上にマットレスを敷いて、木枕を置く形にしました。木枕も10~15分で首や頭が痛くなってしまうので、現在は『木枕を体験できる形』にして、実際は普通の布団で寝ていただきます」

木枕が置かれたベッド

「運動や矯正は自然な力で、自分の自重で無理がない形で整えられるということを知っていただくために、健康道場の1つの特徴としてやっております」

マットレスは畳の上に敷かれる

実際に木枕を使って朝まで眠ることは難しいが、頸椎など体の歪みを正す感覚や、体の使い方に意識を向けるきっかけになるかもしれない。

その他にも心身健康道場では、健康運動指導士によるストレッチや筋トレ、インターバル速歩のような“歩き方の変化”をつけることによって運動効率を高める方法などを取り入れている。

「こちらは社内の方々が自主的にVTRでいつでも取り組めるようにするため、イントラネットサイトにオンライン健康道場というサイトを作り、さまざまな運動動画を提示しています。2003年の京都大学と共にお取り組みした研修プラグラムでは、お腹周りの減量・減少効果が実際にエビデンスとして得られました。こうした内容をベースに、社員の皆さんに減量や健康維持に取り組んでいただいています」

プラークを「つけない」ケアとは サンスターの歯科衛生士が教える一生モノのお口の健康知識

健康道場チームが講義を行う

サンスター心身健康道場に滞在中は、歯科衛生士や管理栄養士から食事や健康にまつわる講義が行われる。例えば、歯科衛生士・高稲浩実氏による講義では、生涯にわたり健康で豊かな人生を送るための「お口のケア」について解説。虫歯や歯周病を予防し、全身の健康を維持するための具体的な方法を伝えている。

歯科衛生士・高稲浩実氏

例えば、虫歯や歯周病の根本原因は食べかすではなく細菌の塊である『プラーク(歯垢)』で、このプラークへの対策として歯磨きで「落とす」ことだけでなく、そもそも「つけない」という視点が重要だという。そのため、「洗口液」や「デンタルリンス」を活用が望ましい。洗口液やデンタルリンスは歯の表面をコーティングし、プラークの付着を抑える効果があるため、歯磨きの効果を高めるだけでなく日中も口内を清潔に保つことができる。

歯垢をまずは「つけない」対策が必要

また、歯ブラシが届きにくい詰め物と歯の隙間など、セルフケアでは防ぎきれない虫歯リスクには「フッ素」の活用が効果的だという。フッ素濃度は「1450ppm※」と表示された歯磨き剤が望ましい(※現在日本で市販されている最高濃度)。歯磨き後の約30分は飲食を控えると、さらに効果が高まるという。

また、どんなに丁寧に歯磨きをしてもセルフケアには限界があり、プラークを100%自分で除去することは難しい。そこで歯科医院など専門家によるクリーニングを受ける「プロフェッショナルケア」も重要になる。普段からプロフェッショナルケアを受けておくことで、虫歯や歯周病になってから治療するよりも経済的で、身体的にも負担が格段に少ない。加齢とともに免疫力は低下するため、定期的なプロのケアでリスクを管理することが、将来の健康を守ることに繋がる。

講義では、「食べ方」が脳と身体の健康をつくることも伝えている。「食べること」は栄養補給だけでなく脳を活性化させ、口周りの筋肉を鍛える重要な行為だ。少量ずつ、ゆっくりと、食事に最低でも20分かける意識を持つことで満腹中枢が働き始め、早食いを防止できる。時間がない時こそ、しっかり噛むことで満腹中枢を早く刺激する。

アーモンド1粒でもゆっくり時間をかけて食べる

お口の健康は全身の健康、そして「人生の最後まで自分の口で美味しく食事を楽しむ」という生活の質(QOL)に直結する。「つけないケア」「フッ素の活用」「プロのケア」「正しい食べ方」を日々の習慣に取り入れ、未来の自分のために投資する必要性を伝えている。

「内臓脂肪は普通預金」サンスターの健康講義に学ぶ今日からできるメタボ対策と睡眠の質向上術

また講義の中では、実際に宿泊者が体重や体脂肪、血圧などを測定し、自身の現状を把握する時間もある。その上でメタボリックシンドロームの基礎知識や「今日からできる対策」などを学ぶ。管理栄養士の田北史織氏は、心臓病や脳卒中といった深刻な病気の一歩手前の危険な状態であるメタボリックシンドロームの原因や、具体的な予防・改善法を伝えている。

管理栄養士の田北史織氏

田北氏によると。メタボリックシンドロームの根本原因は「内臓脂肪」の蓄積。脂肪には2種類あり、それぞれ性質が異なる。1つは男性に多い内臓脂肪(リンゴ型肥満)で、腸の周りにつき、お腹がぽっこり出るのが特長。生活習慣病を招く悪玉物質を分泌する。しかし溜まりやすいが、減らしやすくもあり、例えるなら出し入れしやすい「普通預金」のような脂肪だ。一方の女性に多い皮下脂肪(洋ナシ型肥満)は皮膚の下につき、お尻や太ももがふっくらする。この脂肪は溜まりにくく減らしにくいため、一度預けると引き出しにくい「定期預金」に例えられる。

内臓脂肪と皮下脂肪

メタボリックシンドローム対策としては、病気に直結し、かつ努力が結果に繋がりやすい「内臓脂肪」を減らすことが効率的だ。日々の暮らしの「食べ方」と「動き方」を少し工夫するだけで、効果的に減らすことができるという。

まずは「食べた物を脂肪として合成させない(=ムダな預金をしない)」ことを心がける。食事のポイントとしては、「血糖値の急上昇」を防ぐことが重要だ。血糖値が急上昇すると、糖を脂肪に変えるホルモン「インスリン」が過剰に分泌され、脂肪が蓄積しやすくなってしまう。そのため、よく噛んでゆっくり食べることが大事になる。ジュースなどの甘い液体は吸収が速く血糖値を急上昇させるため避ける必要がある。また、糖の吸収を緩やかにしてくれる食物繊維の摂取も大事だ。さらに食後30分~1時間後を目安にウォーキングなどの軽い運動をすると、糖が脂肪に変わる前にエネルギーとして消費できる。

また、「今ついている脂肪を燃焼させる(=預金を引き出す)」ことも心掛けたい。このためには食事のポイントとして「空腹時間を作る」ことが重要だ。脂肪は血糖値が下がった時(お腹が空いた時)に燃焼されることから、ダラダラと間食をせず、食事と食事の間隔をしっかり空けることで、脂肪が燃える時間を作り出す。さらに空腹時の有酸素運動も有効だ。食後3~4時間経った空腹時にウォーキングなどをすると、エネルギー源として脂肪が効率よく使われるという。

メタボリックシンドロームの原因は内臓脂肪の蓄積

また、見落としがちな重要ポイントが「睡眠」だ。田北氏いわく、最新の研究では睡眠不足が内臓脂肪を直接増やすことが分かっているという。健康な人を対象に「9時間睡眠」と「4時間睡眠」を比較したところ、4時間睡眠のグループは、摂取カロリーが約300kcal増えただけでなく、体重の増加はわずかでも内臓脂肪の面積が11%も増加したのだ。

質の良い睡眠をとるためには、光のコントロールが重要になる。朝は太陽の光を浴びて体内時計をリセットし、夜はスマートフォンなどのブルーライトを避ける。また体温コントロールも大事で、就寝1~2時間前にぬるめのお風呂に浸かり、一度上げた深部体温が下がるタイミングで眠りにつくと寝付きが良くなるという。

食べ方や動き方、睡眠を改善して対策を

メタボリックシンドロームは悪い生活習慣が積み重なってドミノ倒しのように進行する。しかし早い段階で対策すれば、そのドミノを止めることができる。まずは「普通預金」である内臓脂肪を意識し、「血糖値コントロール」「空腹時間の確保」「質の良い睡眠」など、「今日からできる小さな工夫」を始める重要性を訴えた。

ヘルスリテラリー向上につながる心身健康道場

健康や体の知識をしっかり学ぶことで、自身の現状を知り、健康の重要性に気づくきっかけとなる。特に企業で働く人材が自身の体の状態を把握し、健康になるためのノウハウや知識を学ぶことで、ヘルスリテラシーを意識した状態で勤務することができる。健康管理を人任せにせず、自分で取り組もうという心がけがある人材が増えれば、企業としてもウェルビーイングな環境を構築できる。サンスター心身健康道場の取り組みにより、社員のヘルスリテラシーは高まっているだろう。

次回(連載3回目)は、サンスター心身健康道場での食事の概念を手軽に体感できるファスティングバーの誕生やその中身を紹介する。

取材・文・撮影/コティマム

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