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社員の健康支援こそ「投資」という、サンスター『心身健康道場』に学ぶウェルビーイング経営の本質

2025.10.09

働く人々にとって、企業が自身の健康を気にかけてくれるかどうかは重要だ。多忙であればあるほど、健康診断結果のチェックやちょっとした日々の不調も見落としてしまうことがある。体調が万全であれば仕事もうまくできるが、不調があると判断も誤り、集中できない状態に。日頃から会社が積極的に社員の体調管理に関わることで、職場のウェルビーイングが向上するかもしれない。

口腔と健康と美のケアを行う消費財事業や、四輪、二輪の金属加工部品や接着剤等を扱う生産財事業を行うサンスターグループは、社員の生活習慣の改善のため、心と身体の健康づくりを学びながら体験するための福利厚生施設『サンスター心身健康道場』を大阪・高槻市で運営している。

サンスター株式会社・大阪本社
大阪・高槻市にある『サンスター心身健康道場』

「自転車パンク修理の接着剤」から始まったサンスター 社是は『常に人々の健康の増進と生活文化の向上に奉仕する』

今でこそ企業が社員のヘルスケアを担う必要性や意識が高まっているが、サンスター心身健康道場が開設されたのは1985年。今から40年前に、すでに社員の心身の健康を企業が考えていたのだ。

まずはサンスターの歴史を振り返ってみよう。歯磨き粉などのオーラルケア商品のイメージが強いサンスターだが、もともとは自転車部品や自転車パンク修理用ゴム糊の製造販売を行う『金田兄弟商会』として、金田邦夫氏が1932年に起業した。

創業時はパンクした自転車タイヤの修理を行っていた

同社総務部で福利厚生・顧客サービスグループの井上賢一氏によると、邦夫氏は広島県出身。

「邦夫は広島の呉市寄りの坂町という、海と山に囲まれた場所で生まれました。1926年に、出地奉公で大阪にやって来ました。その時に、『村や町の皆さんを裕福にしたい』という思いから起業を決意しました」

大阪は戦前から自転車の卸市場が盛んで、現在のシマノやミヤタサイクルなど自転車会社が多く並ぶ。その中で邦夫氏は自主独立を目指した。

パンク修理を機に接着剤小分け事業を始め歯磨き粉事業に繫がっていく

「邦夫が何を生業としてやっていこうかと考えた時に、当時は道路がきちんと整備されていなかったので、タイヤのパンク修理が頻繁に発生していました。穴のあいた部分に接着剤を塗ってゴムのパッチを貼ると空気が抜けないので、邦夫は接着剤を小分けにする事業から始めました。ですので、歯磨き粉や歯ブラシのイメージが大きいサンスターですが、創業時は『接着剤を製造して小分けにする事業』からスタートしたのです。もともとは接着剤を缶に入れて売り出していましたが、その後はアルミのチューブに入れるようになりました」

接着剤を入れたアルミチューブが、サンスターを代表するオーラルケア商品に繫がる。

サンスターを代表するオーラルケア商品

「歯磨き粉は『粉』という字を書きますよね。当時の歯磨きは、粉洗剤のような状態で、粉で歯磨きしていたんですね。その頃、『アルミチューブの中に接着剤以外に入れられるものはないか』と考えたところ、粉歯磨きを練り歯磨きに変え、チューブに練り歯磨きを入れて売り出したのがサンスターの始まりです。今も接着剤は作っていますし、チューブを作る金属加工も事業として行っています」

現在では全世界に事業を展開。歯磨き粉だけでなく、口腔と健康と美のケアを行う消費財が6割、金属加工部品や接着剤を扱う生産財が4割と、事業を広げてきた。

サンスターの社是

「実は創業者の邦夫は、50歳という若さで亡くなっています。『健康には留意しないといけない』ということで、我々は『常に人々の健康の増進と生活文化の向上に奉仕する』という社是を掲げて、皆さんに事業に勤しんでいただいています」

創業者の早すぎる死が原点 サンスターが40年前から実践する「健康経営」の神髄

サンスター心身健康道場がある施設

冒頭のサンスター心身健康道場は、創業者の早すぎる死を経験したことや、「社員の健康を願い、健康産業に準ずる社員が健康であるべき」という考えから誕生した。健康道場は“サンスター健康哲学実践の場”という意味合いを持ち、「健康経営の象徴的な場所」として位置づけられている。

1985年に誕生したサンスター心身健康道は、「人間本来が持っている生理機能、自然治癒力、自己免疫力を高めることを目指し、社員が生活習慣の改善によって心と体の健康づくりを学び体験する場」だ。

講義室や客室、食堂やプールなどもそろっている

同社の健康推進室長・谷水良亘氏によると、病気により若くして逝去した創業者・邦夫氏が二代目の博夫氏に、健康の大事さと共に「良い医者さまと付き合いなさい。お医者さまを通して健康を学んで欲しい」という遺言を残したという。その言葉を受けた博夫氏が健康道場を開設した。

「二代目は『社員の健康がいかに大事か』を学び、今の言葉で言うと社員も『ヘルスリテラシーを学んで業務に取り組んで欲しい』と考えました。そうする事で『社員も家族も会社も幸せになる』と伝えたかった。そのためにこの施設を作りました。サンスター心身健康道場はサンスター財団の中の、健康推進室の健康道場チームで運営しています。メンバーは管理栄養士や歯科衛生士によって構成され、栄養のことだけでなく、運動や睡眠、健康、お口に関するさまざまな講義を担当しております。また、いわゆるマインドフルネスや坐禅なども、禅宗の和尚様に指導を仰いでいます」

健康推進室の健康道場チーム(右が室長の谷水さん)

サンスター心身健康道場は、サンスターの新入社員の新人研修や、メタボリックシンドロームの症状が出始める40歳よりも前に節目として受ける『35歳節目研修』、また健康診断で特定保健指導対象者(メタボリックシンドロームと診断された社員とその予備軍)の特定保健指導の場として使用される。社員は特定保健指導の講義を受けたり、食事の改善や運動を取り入れたりと、滞在期間中に意識や生活を改善していく。

「特定保健指導なので、参加者にはご自身でどれだけ減量するかについて講義中に自分で目標を立てていただいて、どういうアクションをするかという計画を立てていただきます」

各自の目標設定を記入する健康カレンダー

施設内には講義を受ける部屋の他、玄米食や青汁などをいただく食堂、冷水と温水で『冷温交代プログラム』を行うことができる浴場、アクアビクスやトレーニングを行うための温水プール、ドライサウナやウェットサウナなどが整備されている。

玄米食や青汁が提供される食堂

また宿泊部屋となる客室のベッドのマットレスは畳の上に敷かれており、木枕が用意されている。

『冷温交代プログラム』が行える浴室

谷水氏は健康経営について、「自身のための健康でもありますが、会社で健康に元気に働いて生産性を上げるということの1つの大きな目標」と説明。「今まで企業はどちらかというと、『社員の健康支援に対する費用=コスト』という概念でした」と明かし、「この“健康経営”という言葉が出てきてから、『社員に対する健康支援は投資』という意識に変化しました」と振り返った。

ベッドには木枕も

「社員が元気になれば会社としてもパフォーマンスが上がり、最近はサスティナビリティも非常に注目されているので、持続性・継続性にも繋がっていきます。社員の健康支援が『コスト』から『投資』に変わったことが、健康経営の一番大きなところです。どの企業も一緒かもしれませんが、“社員の高齢化”が大きな問題になっています。サンスターも大きな課題の1つになっているので、医療費の上昇を抑えながら健康維持できるかが、会社の持続性にとっても重要になってきます」

トレーニングなど体を動かすための温水プールも整備されている

またサンスター心身健康道場では、「病気治しは、クセ直し」という言葉をモットーにしている。

「クセというのは生活習慣です。悪いクセ(生活習慣)に気づいて、改善してもらうことを目的に設立しています。健康道場の大きな考え方は『特徴的な食事と体』。食事と、体(ボディ)の歪みの調整や筋肉の強化、自律神経やマインド・心の健康。この3つが健康道場の大きな考え方のポイントです。それに加えて、サンスターの会社の考え方として、『お口の健康』があります。お口の健康が全身の健康に大きく影響していることを、改めてこの道場で学んでいただこうということで講義の中に組み入れています」

社員の健康改善や健康維持を、会社ごととして捉えているサンスター。長時間労働がまだ当たり前だった1985年という早い段階から、ウェルビーイング視点を持って働く人々の健康づくりに重きを置いてきた。次回(連載2回目)は、サンスター心身健康道場の具体的な取り組みや、講義の一部などを紹介する。

取材・文・撮影/コティマム

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