ローランドから40年ぶりにアナログ音源を搭載したリズムマシン「TR-1000」が登場

2025.10.06

ローランドは、1980年代に登場した同社の伝説的なリズムマシン「TR-808」「TR-909」の系譜を受け継ぐアナログ・サウンドと、最新のデジタル・サウンドおよびサンプリング技術を融合した、リズム・クリエイター『TR-1000』を2025年10月11日より発売する。

価格はオープン価格。予想実勢価格は約33万円。本体サイズは幅486×奥行き311×高さ125mm、5.5kg。

主な特徴は以下のとおり。

アナログ音源と最新デジタル音源、サンプリング技術を融合したプロモデル

ローランドのリズムマシン「TR-808」「TR-909」は1980年代に発売され、ヒップホップ、ハウス、テクノなどのジャンルの形成に大きな影響を与えた。

特にアナログ音源による独特のサウンドは多くのミュージシャンに愛され、現在の音楽シーンにおいても欠かせない存在となっている。しかしながら近年では両機種の入手が困難となり、同社には「TRシリーズ」の音色再現を求める強い要望が寄せられていたという。

今回発売する『TR-1000』は、「TRシリーズ」の新たなフラッグシップ・モデルであり、ローランドとして約40年ぶりにアナログ音源を搭載したリズムマシンだ。

「TR-808」「TR-909」から厳選した16種類のアナログ回路を受け継ぎ、新たに開発したサウンド・エンジンを搭載。ヴィンテージ・サウンドはもちろん現代的な新しい表現も実現する。

さらに「ACB」を用いて「TR-808」／「TR-909」を再現した21種類の「8X」／「9X」モデルを含む、多彩なデジタル・サウンドを網羅。最新のサンプリング技術、エフェクト（音声加工機能）、シーケンサー（音源を自動演奏させる機能）を融合することで、音楽制作の自由度と操作性を飛躍的に高めた、プロフェッショナル・クオリティの音楽制作ツールと言える。

■全方位のサウンド・エンジン

スタンダードからエクスペリメンタルな表現まで、あらゆるドラム・サウンドを網羅。アナログ／デジタルの高品位な音源、サンプリングが融合して、サウンドの着想から創造、パフォーマンスまで、プロフェッショナルの音作りに対応する。

＜ローランド・アナログを再構築＞
「TR-808」と「TR-909」から厳選した16の回路は、オリジナルの設計に基づきながら、入念なエンジニアリングと現代のコンポーネントで忠実に再現。新しいパラメーターと広いダイナミック・レンジで進化した、アナログ・サウンドを実現した。

＜新たな音作りの可能性＞
最新のデジタル・サウンド・エンジンも搭載。独自技術「ACB」にサーキット・ベンドを施した21種類の「8X」と「9X」モデルを含む、高精度なアナログ・エミュレーションを実現。新しいパラメーターを使用して「TR-808」や「TR-909」の音作りを進化させ、従来のアナログの枠を超えるサウンドを楽しめる。

さらにFMパーカッション、バーチャル・アナログ波形、膨大なPCMサンプル・ライブラリも内蔵しており、新しいデジタル表現と音の探求を可能にしている。

＜高度なサンプリング機能＞
デジタル・サンプリングとの融合により、表現の可能性がさらに広がる。ステレオ・サンプリング、リサンプリング、BPM同期、シームレスなタイム・ストレッチ、非破壊スライス編集など、高度なサンプル・ツールを搭載。64GBの内部ストレージに、厳選された2000種以上のサンプルを収録している。

＜豊富なアナログ＆デジタル・エフェクト＞
新開発のアナログ・フィルターに加え、サチュレーションでパンチを与えるアナログ・ドライブも装備。さらに、トラックごとにリバーブ／ディレイ・センドを加えてサウンドを強化しており、クラッシャー、フィルター、アイソレーター、サチュレーター、フランジャー、スキャッターなど、多彩なマスター・エフェクトでさらなる彩りや動きを加えることができる。

■進化したシーケンサー

『TR-1000』は「TRシリーズ」の直感的なワークフローを進化させ、リアルタイムでの打ち込みや演奏をより柔軟なものにする。

＜自在にグルーヴを調整＞
タイトなテクノ・パターンから、ルーズで崩したフィールまで、躍動感あふれるシーケンスをプログラムできる。「TRシリーズ」で定番の「TR-REC」ステップ入力、リアルタイム録音、新たに追加されたオフグリッド設定で、グルーヴを細かくコントロール。柔軟な入力モードで理想のフィールを追求しており、ステップ単位でタイミングの微調整にも対応する。

＜ダイナミックなパターン操作＞
演奏中に直感的なパターン編集が可能。モーション・レコーディングでパラメーター変化を記録して、音の動きを再現する。トラック進行方向や再生確率を設定し、変化に富んだシーケンスを作成できる。

■直感的な操作性

『TR-1000』は、演奏性を重視した設計思想を採用。自由度の高いレイアウトと豊富な操作子で、パフォーマンスのための操作を瞬時に実行できる。

＜多機能ステップ・キー＞
耐久性の高いRGBライト付きのステップ・キーは、打ち込みやサウンド・コントロールなど、状況に応じて機能が変化する。「TR-REC」ステップ入力、リアルタイム演奏、16段階ベロシティによるダイナミクス、サンプル・スライスなど、幅広い用途に対応してくれる。

＜モーフィング操作＞
新開発のMORPHスライダーは、「TRシリーズ」に新たな表現をもたらす。複数のパラメーターを一括で割り当てることで、大胆なマクロ操作を実現。滑らかな音の変化や劇的なトランジションを、シンプルな操作で可能にしてくれる。さらに、最大16個の異なるモーフィング設定を用意すれば、まったく異なる効果を瞬時に呼び出すことができる。

■拡張性の高いI/Oと柔軟なルーティング

PCとのハイブリッド・セットアップ、モジュラー・セッション、スタジオなど、あらゆる環境でシームレスに組み合わせが可能だ。拡張性の高いI/Oと柔軟なルーティングで、制作からライブ・パフォーマンスまで幅広い活躍が期待できる。

＜プロ仕様のI/O＞
メイン・ステレオ出力、アナログFX出力に加え、インディビジュアル・オーディオ出力またはアナログ音源のダイレクト・アウトとして機能する10系統の出力端子を装備。さらに、独立したトリガー入出力、フィルターCV入力、クロック出力、外部入力にエフェクトをかけるためのデュアル・モノ／ステレオ入力も備えている。フロント・パネルには、独立してレベル調整可能なヘッドホン・ジャックを備えており、モニタリングも容易だ。

＜USB、MIDI、DINシンク＞
『TR-1000』はマルチ・チャンネルUSB-Cオーディオ／MIDIインターフェースとして機能し、PCとの接続に対応。USBデバイス・ポートでは、システム・バックアップ／リストア、WAVオーディオのインポート／エクスポートのフラッシュ・ドライブ接続に加え、ローランド「A-49」や「A-PROシリーズ」などのUSB MIDIコントローラーをサポートする。さらに、包括的なMIDI入出力に加え、MIDI以前のシンセやリズムマシンとの同期を可能にするDINシンクも搭載している。