
学生時代、誰もが手にしたであろうコクヨのキャンパスノート。1975年の発売から半世紀にわたって学びを支え続けてきたブランドだ。そんなキャンパスが今年大きな転換点を迎えた。キャンパスは単なるノートの枠を超え、「自分に合ったまなびかた」を提案するブランドへと舵を切ったのだ。
キャンパスが提案する5つの「まなびかた」
今年9月、「ノートブランド」から「まなびかたブランド」へ進化したキャンパスから全12種類56品番の新商品が発表された。それに合わせてコクヨは5つの「まなびレシピ」を学びの手法として提案している。具体的には、
・「メモ勉」…教科書やプリントにふせんで補足やポイントの書き込みスペースを作ることで、情報を一つの紙媒体にまとめ、見返しやすい学習環境を実現

・「ちょこ勉」…計画・要点・暗記のすべてをミニサイズのバインダーに集約するまなびかたを提案

・「とじ勉」…ルーズリーフもプリントも、その場ですぐに2穴バインダーにとじて簡単に管理

・「モチ勉」…計画と頑張りを記録して振り返ることでモチベーションを上げるまなびかた

・「ベース文具」…勉強のやる気を削ぐちょっとした困りごとを解決した、まなびのシーンに欠かせない基本的な文具

といったラインアップになっている。
ブランド刷新の背景
なぜキャンパスは50周年を迎えたこのタイミングで、「まなびかたブランド」への刷新に踏み切ったのか。その背景には、変化し続ける学びのかたちに寄り添い、一人ひとりの学びをより深く支えたいというコクヨの姿勢があった。広報担当者は次のように語る。
「環境変化が激しい時代において、学生が主体的に学ぶことや学習方法を理解することが重要になっています。一方で、GIGAスクール構想の推進やタブレット学習の普及により、学び方は多様化し、自分に合ったスタイルを確立するのが難しくなっているのです」
全国の小中学生に1人1台のタブレット端末を国が主導して配布する「GIGAスクール構想」に代表されるように、学びの現場は大きく変化している。学び方の選択肢が増える一方で、自分に合った最適な方法を見つけるのはより一層難しくなっている。そんな時代だからこそ、自分に合った学び方を確立することは、単なる学習効率の向上にとどまらず、人生を生き抜く力につながる。
「人生100年時代においては、変化の激しい社会で情報をアップデートし続ける必要があります。その時々に必要なことは違っても、自分に合ったまなびかたを持っていれば、それは長い人生を生き抜く力になるのではないかと考えています」
ビジネスパーソンにもキャンパスを
学生時代に慣れ親しんだキャンパスを大人になってからも使い続ける人は多い。どれだけデジタル化が進んでも、打ち合わせなどで紙にメモを書く機会は多く、文具は大人の必須アイテムだ。コクヨの社内でも「キャンパス ノートのように使えるバインダー(A7変形サイズ)」や「キャンパス 教科書やプリントにもっと書き足せるノートふせん」は人気が高いという。
さらに、ビジネスパーソンも資格取得やスキルアップといった学びに取り組んでいる。コクヨの調査によると、大人の4人に1人が直近1年間で資格取得に取り組んだと答えており、8割の人が勉強する際に「書いて勉強する」と答えている。
「スキマ時間を活用したいという思いや、モチベーションを維持したいというニーズは大人になっても変わりません。A7サイズのルーズリーフを使った“ちょこ勉”やスタディプランナーを用いた“モチ勉”は大人のまなびにも一役買うかと思います」
キャンパスはこれからも、学生から社会人まで、学びや仕事を支えていく。“まなびのスタイル”を提案するブランドへと進化する中で、キャンパスはただの文具ではなく、学びを通じて人生に関わる存在として私たちに寄り添い続けるだろう。
取材・文/宮沢敬太