
ウェザーニューズから2026年春の花粉シーズンに向け、「第一回花粉飛散予想」(スギ・ヒノキ、北海道はシラカバ)が発表された。
同社によれば、2026年春の花粉の飛散量は北日本と東日本で2025年を大きく上回り、特に東北北部では過去10年で最も多いか、それに匹敵する飛散量になるという。一方、西日本では前年並となる見立てだ。
本稿では同社リリースをベースに、その概要をお伝えする。
2026年「第一回花粉飛散予想」


■飛散量:全国的に平年を上回り、東北北部では過去10年で最多に匹敵する大量飛散のおそれ
2026年春の花粉飛散量は北日本と東日本で2025年を大きく上回る一方、西日本では前年並となる予想だ。
北海道や東北北部、北陸や甲信では2025年の飛散量が少なかったため2025年比で200%を超える地域が多く、秋田県では600%を超える予想。東北北部では過去10年で最多の飛散量かそれに匹敵する飛散量になるおそれがある。
西日本では近畿や中国・四国の太平洋側で2025年を上回るエリアが多くなる一方、2025年に記録的な大量飛散となった九州北部では半減する地域もあるとみられる。
全国平均では2025年比で134%となる予想となっている。平年(2016~2025年の平均飛散量)と比べると、全国的に平年の飛散量を上回り、特に東北北部では200%を超える地域が出てくると予想される。全国平均では平年比で146%となる予想だ。
■飛散量予想の根拠:2025年夏の天候と年ごとの増減傾向
花粉の飛散量予想は、主に前年の夏の天候と年ごとの飛散量の増減傾向を基に算出される。2026年の飛散量予想の背景は以下のとおり。
<全国的に記録的な高温・多照で、雄花の生長に適した夏>
前年の夏に十分な日照があり気温が上がるほど光合成が盛んになり、花粉の発生源となる雄花の生長が促される傾向がある。
2025年の夏は6月から日本付近で高気圧の勢力が強まる日があり、西日本や東日本では6月中に梅雨が明けるなど梅雨明けが平年よりかなり早くなった地域が多くみられた。7月以降も高気圧の勢力は日本付近で強い状況が続いた。
そのため、夏を通して日照時間は広範囲で平年よりかなり多く、気温も全国的にかなり高くなっている。以上の要因から2025年夏の天候は、全国的に雄花の生長には非常に適した天候になったと考えられる。
<北日本や北陸、甲信で「表年」、西日本で「裏年」傾向>
花粉の飛散量は周期的に変動し、花粉の飛散が多い年と少ない年が交互に訪れる傾向がある。そこで飛散量が多い年を「表年」、少ない年を「裏年」と呼ぶ。
ただしエリアによって増減の周期は異なり、「表年」「裏年」も異なっている。夏の天候などの影響で「表年」「裏年」の区別が不明確になる年もある。
2025年は北日本や北陸、甲信で前年よりも飛散量が少ない「裏年」となったため、2026年は飛散量が増加する「表年」になると予想されている。特に2025年の減少幅が大きかった北海道や東北北部では2026年は「表年」の傾向が強く表れると予想。
一方、西日本は2025年の飛散量が前年よりも多い「表年」となったため、2026年は「裏年」となる見込みだ。ただ、花粉の雄花の生長に適した天候がこの「裏年」傾向を緩和または相殺する地域が多くなるとみられる。
関東や東海では近年「表年」「裏年」が不明瞭な状態が続いていて2026年も「表年」「裏年」の傾向は小さいと考えられる。
エリア別の2026年花粉飛散予想
■北海道:高温・多照の夏 「表年」傾向で飛散量は前年の約3倍増

2025年の夏は高気圧が強まる日が多く、気温は平年に比べてかなり高くなった。日照時間も平年よりかなり多く、花粉の雄花の生長に適した天候だった。また、2025年のシラカバ花粉の飛散量は前年、平年を大きく下回っており、2026年はその反動で飛散量が多くなる「表年」になると見込まれている。
2026年春のシラカバ花粉の飛散量は、2025年比297%、平年比148%となる予想。前年に比べて飛散量が非常に多くなる予想なので対策が求められる。特に晴れて風が強い日は大量の花粉が飛散するので注意が必要だ。

■東北北部:過去10年で最多に匹敵する大量飛散のおそれ

2025年の夏は高気圧が強まる日が多く、気温は平年に比べてかなり高くなった。日照時間も平年よりかなり多く、花粉の雄花の生長に適した天候だった。また、2025年の花粉の飛散量は前年、平年を大きく下回っており、このため、2026年は前年の反動で飛散量が多くなる「表年」になると見込まれている。
2026年春の花粉の飛散量は前年の476%、平年の193%となる予想で、過去10年で最多に匹敵する大量飛散となる可能性も考えられる。晴れて風が強い日は大量の花粉が飛散するので対策を万全に行なう必要がある。
なお、東北北部ではスギ花粉の飛散が中心で、ヒノキ花粉はほとんど飛散しない。
■東北南部:高温・多照の夏 「表年」傾向で平年を上回る予想

2025年の夏は高気圧が強まる日が多く、気温は平年に比べてかなり高くなった。日照時間も平年よりかなり多く、花粉の雄花の生長に適した天候だった。
2025年の花粉の飛散量は前年、平年を大きく下回っており、このため、2026年は前年の反動で飛散量が多くなる「表年」になると見込まれている。
2026年春の花粉の飛散量は前年の143%、平年の137%となる予想。前年、平年に比べて飛散量がやや多くなる予想なので、万全の対策が求められる。
特に晴れて風が強い日は大量の花粉が飛散するので警戒が必要。なお、東北南部ではスギ花粉の飛散が中心で、ヒノキ花粉の飛散は比較的少ない傾向だ。
■関東・山梨:高温・多照の夏 飛散量は平年を上回る予想

2025年の夏は高気圧が強まる日が多く、気温は平年に比べてかなり高くなった。日照時間も平年よりかなり多く、花粉の雄花の生長に適した天候だったと言える。
また、2025年の花粉の飛散量は概ね前年並、平年並だった。近年は表年、裏年の傾向が不明瞭だが、2026年は花粉の雄花の生長に適した天候となり、飛散量が前年、平年を上回ると見込まれる。
2026年春の花粉の飛散量は前年の142%、平年の139%となる予想。前年、平年に比べて飛散量がやや多くなる予想なので、十分な対策が求められる。特に晴れて風が強い日は大量の花粉が飛散するので、一層の警戒が必要となるだろう。

■北陸・長野:高温・多照の夏 「表年」傾向で飛散量は大幅増

2025年の夏は高気圧が強まる日が多く、気温は平年に比べてかなり高くなった。日照時間も平年よりかなり多く、花粉の雄花の生長に適した天候であったと言える。また、2025年の花粉の飛散量は前年、平年を下回った県があった。このため、2026年は前年の反動で飛散量が多くなる「表年」になると考えられる。
2026年春の花粉の飛散量は前年の211%、平年の162%となる予想。前年に比べて飛散量が非常に多くなる予想なので、十分な対策が求められる。
特に晴れて風が強い日は大量の花粉が飛散するので、万全な対策が求められる。なお、北陸エリアではスギ花粉の飛散が中心で、ヒノキ花粉の飛散は比較的少ない傾向となっている。
■東海:高温・多照の夏 飛散量は平年を上回る予想

2025年の夏は高気圧が強まる日が多く、気温は平年に比べてかなり高くなった。日照時間も平年よりかなり多く、花粉の雄花の生長に適した天候であったと言える。2025年の飛散量が前年を大きく上回った三重県では、その反動で2026年の飛散量が減少する一方、2025年の飛散量が少なかった岐阜県では2026年の飛散量が前年に比べて非常に多くなると考えられる。
2026年春の花粉の飛散量は前年の141%、平年の143%です。前年、平年に比べて飛散量がやや多くなる予想なので十分な対策が求められる。特に晴れて風が強い日は大量の花粉が飛散するため、より入念な対策が必要になる。
■近畿:「裏年」傾向も高温・多照の影響で平年を上回る予想

2025年の夏は高気圧が強まる日が多く、気温は平年に比べてかなり高くなった。日照時間も平年よりかなり多く、花粉の雄花の生長に適した天候であったと考えられる。
また、2025年の飛散量は前年、平年を上回り、2026年は「裏年」傾向の年となるが、花粉の雄花の生長に適した天候となり、この「裏年」傾向を相殺すると予想される。
2026年春の飛散量は前年の129%、平年の152%となる予想。飛散量が全域で前年、平年を上回る地域が多くなるため、対策を万全に行なっていただきたい。特に晴れて風が強い日は大量の花粉が飛散するので、一層の警戒と対策が必要となるだろう。
■中国・四国:「裏年」傾向も高温・多照の影響で平年を上回る予想

2025年の夏は高気圧が強まる日が多く、気温は平年に比べてかなり高くなった。日照時間も平年よりかなり多く、花粉の雄花の生長に適した天候だったと言える。
また、2025年の飛散量は全域で前年を大きく上回り、平年と比べても多くなったエリアが多かったため、2026年は「裏年」傾向の年となる。ただし、花粉の雄花の生長に適した天候が、この「裏年」傾向を相殺するとみられる。
2026年春の飛散量は前年の107%、平年の138%となる予想。全域で平年の飛散量を上回る予想で、万全の対策が欠かせない。特に晴れて風が強い日は大量の花粉が飛散するので、入念な対策が求められる。
■九州:高温・多照の夏 前年比減も減少幅は限定的に

2025年の夏は高気圧が強まる日が多く、気温は平年に比べてかなり高くなった。日照時間も平年よりかなり多く、花粉の雄花の生長に適した天候となった。
また、2025年の飛散量は前年を大きく上回り、平年と比べてもかなり多く、特に福岡県や佐賀県では記録的な大量飛散を記録した。このため、2026年は前年より飛散量が少なくなる「裏年」傾向の年となるが、花粉の雄花の生長に適した天候となり、この「裏年」傾向を緩和または相殺すると考えられる。
2026年春の飛散量は前年の72%、平年の132%になる予想。福岡県や佐賀県では前年比で飛散量がほぼ半減するが、他のエリアと同様に平年を上回る飛散量で万全の対策が欠かせない。特に晴れて風が強い日は大量の花粉が飛散するため、より入念な対策が必須となる。
関連情報
https://jp.weathernews.com/news/53502/
構成/清水眞希