
10月14日の、Windows 10サポート終了に伴って、フリーランスとして活動している方はもちろん、これから副業での起業や独立を目指す方にとっても、PCの準備や買い替えは避けて通れない大きな課題。
1台あたり、安くても10~20万円弱のコストがかかるのは、地味に痛い。ESUというWindows 10の“延命”サービスもあるが、買いかえるに越したことはない。
そこで、補助金活用や節税の方法など、個人でも実践できる具体的なノウハウをまとめた。
PCの買い替え費用はいくらまで経費にできるのか?
まずは、経費化のルールをまとめた。PCの購入金額によって会計処理の方法が異なるが、10万円を境に、一括経費計上できるかが変わる。一括計上できれば、購入した年に全額を経費にできる分、単年で考えると節税できることになる。
また、青色申告の場合は、10万円以上~20万円未満でも少額減価償却資産の特例を選んで一括経費計上することもできるし、法定耐用年数(4年)で減価償却することもできる。
どの方式が良いか?は、顧問税理士などの専門家と相談しながら選ぶと間違いなくて良い。
プライベートとの共用ならば「家事按分」を忘れずに
購入したPCをプライベートでも使用する場合、全額経費にはできない。事業での使用割合を合理的に算出し、その分だけを経費にする家事按分が必要になる。
例えば、「平日に、1日8時間PCを使い、そのうち6時間が仕事。土日は完全にプライベート」という場合、稼働時間や日数に基づいた客観的な根拠で按分率を決めて、その分だけを計上する。
この例の場合は、按分率は50%とするのが良さそうだ。家事按分を怠ると、税務調査で指摘される可能性もあるため、誠実に計算しておきたい。
補助金の活用で、PCの買い替えは可能? 2つの制度が使えるかも。
フリーランサーや中小企業向けが利用できる補助金制度もある。条件を満たす必要があるが、コストをかけずに買い替えたければ、検討の余地ありだ。
(1) IT導入補助金
中小企業や小規模事業者のITツール導入のために補助金で支援してくれる。申請スケジュールが定まっているので、それに合わせての申請が必要だ。例えば、2025年度の第6次は10月31日17時締切、第7次は12月2日17時締切というように、期限がある。
申請には種類があるが「インボイス型」であれば、支援事業者(検索サイト)経由での購入で、PC購入費用の50%、最大で10万円まで補助してくれる。ITツール導入のための補助金なので、PCの物理機器だけでの申請はできない。会計・決済や、受発注系のアプリ・ソフトウェアと共に申請しなければならない。
また、開業1年未満だと、所得税の確定申告書類と納税証明書が用意できないため、申請不可である。
(2) 小規模事業者持続化補助金
この補助金制度は、商工会議所のアドバイスをもらいながら、事業の経営計画を作成し、また、その計画にしたがって、販路を開拓したり生産性を向上したりするための支援制度である。
対象となる経費の幅が広い分、使い勝手は良いと言えるが、やはりPC単体の購入経費は、同補助金のルール通り、“汎用性があり目的外使用になるもの”に当たるので不可である。
一方で、事業計画の中で、PCが販路開拓や生産性向上に直接結びつくのか説明できれば、補助対象として認めてもらえるかもしれない。
この先、既存事業を拡大したり、新たに副業を始めたりしたい人が、まず商工会議所に出向いて事業計画を作成しながら補助をうける際に活用できるともいえる。
補助額は、申請枠によって異なり、上限が50万円~200万円で、経費の3分の2または4分の3を支援してもらえる。申請期間が定まっているため、その期間に合わせて事業計画を作成し、申請する。また申請には、事業支援計画書を商工会議所で発行してもらう必要もある。