
LIXILはこのほど、同社の浄水研究において、残留塩素を除去した浄水でハーブティーを抽出すると、水道水で抽出したハーブティーよりもアルデヒド類由来の不快な臭いが抑えられることを発見した。
さらに、アルデヒド類は水道水中の残留塩素とハーブティーのアミノ酸が化学反応することで生成されることも解明した。本研究成果の一部は、日本食品科学工学会 第72回大会(2025年8月27日~29日:神奈川県・日本大学)にて発表した。
研究背景
LIXILでは、水道水に含まれる残留塩素に着目し、残留塩素を除去した浄水が食品に与える影響について継続的に研究を行い、調理における浄水の有用性を示してきた。本研究では、水道水中の残留塩素がハーブティーの香りに与える影響について調査した。
研究概要
これまでの研究により、水道水でハーブティーを抽出すると、水道水中の残留塩素が不快臭の原因物質と言われるアルデヒド類(イソブチルアルデヒド、2-メチルブチルアルデヒド、イソバレルアルデヒド)を生成し、香りを損なうため、残留塩素を除去した浄水で抽出した方が香りを楽しめることを報告している(図1、図2)。
今回は、抽出時に発生する不快臭の生成メカニズムも解明するため、残留塩素濃度を段階的に調整した水で4種類(カモミール、レモングラス、ペパーミント、ラベンダー)のハーブティーを抽出し、機器分析で成分の違いを網羅的に解析した。
その結果、残留塩素の影響によって不快臭の原因物質と言われるアルデヒド類が増加し(図3)、対照的に、ハーブティーに含まれているバリン、ロイシン、イソロイシンの3種の必須アミノ酸が減少することが明らかとなった(図4)。
さらに、アミノ酸と残留塩素の反応物を調べると、不快臭の原因物質と言われるアルデヒド類は、それぞれバリン、ロイシン、イソロイシンが残留塩素と反応することで生成することを解明した(表1、図5)。
次に、水道水にこれらのアミノ酸を添加してみたところ、実際に不快臭の原因物質と言われるアルデヒド類の生成が確認され、残留塩素を除去した浄水では、不快臭の生成反応は確認されなかった。
研究まとめ
本研究により、水道水中の残留塩素とアミノ酸が反応することで不快臭が発生し、ハーブティーの風味を低下させることが明らかとなった。そのため、ハーブティー本来の香りを楽しむには、残留塩素を除いた浄水が有用であることが示された。
出典元:株式会社LIXIL
構成/こじへい