
パナソニックは、同社初となる美容シャワーヘッド「ファインベール EH-SH50」(以下、ファインベール)を発売した。市場想定価格は税込3万4000円前後。
近年、各社から「ファインバブル」を採用したシャワーヘッドが相次いで登場しており、パナソニックの参入は後発にあたる。ただし、後発だからこその強みを生かし、髪や美容ケアに特化した機能を搭載している点が特徴だ。
パナソニック独自の機構でより大量のバブルを含有
直径1マイクロメートル未満で、目に見えないくらい極小の泡を「ウルトラファインバブル」、1マイクロ~100マイクロ未満の泡を「マイクロバブル」と呼ぶが、これらを総称したものが〝ファインバブル〟だ。
いずれも通常の気泡と違って水中に長くとどまり、洗浄や保湿などの効果が期待できる。
ファインベールは、このウルトラファインバブルとマイクロバブルを同時に発生させるシャワーヘッドだ。後発だけに泡の量にもこだわっており、ファインバブル産業会の性能評価では家庭用シャワーヘッドとして初の「クラス4D」を取得している。
美髪ケアをシャワーから始めるという新提案
パナソニックはこれまで、ドライヤー「ナノケア」シリーズを中心に美髪ケア分野で日本トップシェアを築いてきた。ファインベールは目的に応じて5つのモードを搭載しているが、そのうちの2モードはパナソニックらしい「髪をケア」するモードだ。
・プレシャンプーモード:頭皮にしっかり水流が届き、シャンプーの泡立ちをサポート
・ヘアケアモード:濃密なバブルを含む柔らかな水流で、トリートメントの浸透を助ける
新製品発表会では、実際に手のひらで水流を体感することができた。プレシャンプーモードでは12個の穴から空気を巻き込んだ強い水流が噴射され、水の流れを一本一本はっきりと感じ取ることができる。パナソニックによれば、この一本一本の力強い水流が髪をかきわけて頭皮に直接アプローチし、頭皮に心地よい刺激を与えながら、シャンプー前に汚れの多くを落とす予洗いをサポートするという。
シャンプー後のすすぎやトリートメント時に活躍するのがヘアケアモードだ。このモードではファインバブルを多く含んだ柔らかな水流で、髪全体をやさしく包み込むようにすすぐことができる。
パナソニックによれば、水道水にはカルシウムイオンなどの不純物が含まれており、これが髪表面に付着するとトリートメントの効果を阻害する要因になるという。そこで、ヘアケアモードでは大量のファインバブルがカルシウムイオンを吸着。浸透ムラを防ぐという仕組みだ。泡を含む水で髪を包み込むように流すことで、トリートメント剤が髪全体に均一に行き渡るようにする役割もある。実際にヘアケアモードの水流に触れてみると、プレシャンプーモードの力強さとは異なり水でふんわりと包まれるような感触があった。
顔や体のケアができるモードも搭載
ファインベールはもちろん髪ケア以外のモードも搭載している。それがミストモードとボディケアモード、そしてシルクバスモードだ。
ミストモードはシャワーの水を細かい霧状にして吹き付けるモード。美容の観点からみるとシャワーの水流は刺激が強すぎて顔に直接当てることは推奨されていない。しかし、水粒子が細かなミストモードなら水流を顔に直接当てても大丈夫だ。ところで、こういったミストモードは近年のプレミアムシャワーヘッドに搭載されることの多い機能だが、水を霧状にするため水温が下がりやすいというデメリットもあった。パナソニックのファインベールは一般的なミスト水流よりやや大き目の粒で水温が下がりにくく、しかし肌には優しいというバランスに調整されているのが特徴だ。
一方、ボディケアモードは全身を心地よく洗い上げるための水流。バブルを多く含むことで洗浄力を確保しつつ、肌表面への摩擦を軽減できるとパナソニックは説明する。さらに入浴時にも、ヘッド部分を外して使うシルクスパモードが利用できる。グリップ部だけを浴槽に沈めると、普段の風呂がウルトラファインバブルやマイクロバブルを含んだ風呂へと変わり、自宅でスパのような入浴体験が楽しめる。
日常のシャワーを「美容ケア時間」へチェンジ
総務省の家計調査によると、シャンプーやトリートメントといったヘアケア製品への年間支出額は増加傾向にあり、髪のケアへの関心が高まっていることがうかがえる。一方で、パナソニックの調査では「髪を洗うのは面倒」という声も少なくなかった。ファインベール EH-SH50は、そうした面倒に感じられていた時間を「心地よいケア時間」へと変えることを狙った製品である。
ファインバブルシャワーヘッドとしては後発ながら、パナソニック独自の「バブルアクティベートテクノロジー」により大量の泡を発生させられるという特徴を持つ。さらに、頭皮の予洗いとトリートメントに対応する2つの美髪モードを中心に、顔に適したミストモード、体に適したボディケアモード、湯船で使えるシルクスパモードを搭載。用途ごとに最適化された水流で、誰でも直感的に効果的な使い分けができる点も魅力だ。
価格は税込3万4000円前後と初期費用はかかるものの、ランニングコストは不要で家族全員が毎日のシャワーで利用可能。髪や肌のケアをもう一歩進めたいと考える人は、シャワーヘッドの交換を検討してみもよいかもしれない。
取材・文/倉本春