
クレジットカードは、カード会社の審査に通れば何枚でも保有することができます。しかし、持っているクレジットカードの枚数が多すぎると、ローンの審査に通りにくくなるなどのデメリットがあるのでご注意ください。
本記事では、クレジットカードをたくさん持っていることのデメリットについて、ローン審査との関係を中心に解説します。
1. クレジットカードの保有枚数が多いと、ローンの審査上不利に考慮される
クレジットカードは何枚でも保有できますが、保有枚数が多すぎると、ローンの審査に通りにくくなる可能性があります。
1-1. 銀行や消費者金融は、審査の際にクレジットカードの保有枚数を確認している
銀行や消費者金融などがローンの審査を行う際には、個人信用情報機関のデータベースを確認します。
個人信用情報機関は、ローンやクレジットカードなどに関する取引の情報を集めています。クレジットカードの保有枚数も、個人信用情報機関のデータベースを確認すれば分かります。
銀行や消費者金融も、審査に当たってクレジットカードの保有枚数は必ず確認しています。
1-2. クレジットカードのキャッシング枠は、ローンの審査に悪影響を及ぼす
クレジットカードにはキャッシング枠が付与されていることがあります。キャッシングとは、決められた限度額までお金を借りることができるサービスです。
たとえば限度額が50万円なら、残高が50万円に達するまで、追加の審査を要することなくお金を借りることができます。
銀行や消費者金融のローン審査においては、クレジットカードのキャッシング枠の額が多ければ多いほど不利に働きます。
キャッシング枠はカード保有者が自由に利用できるので、「すでに借りているもの」として審査が行われるためです。
たとえば、本来であれば200万円を借りられる人が、キャッシング枠30万円のクレジットカードを5枚保有しているとします。この場合は、150万円をすでに借りているものとみなされるので、50万円までしか借りることができません。
上記の説明はかなり単純化したもので、実際のローン審査がこのとおり行われるとは限りませんが、基本的な考え方はどの貸主にも当てはまります。
クレジットカードの枚数が増えて、キャッシング枠の合計が多額になればなるほど、ローンの審査には通りにくくなると考えておきましょう。
2. ローン審査以外に、クレジットカードの保有枚数が多すぎることで生じるデメリット
クレジットカードの保有枚数が多すぎる場合、ローンの審査に通りにくくなること以外にも、以下のようなデメリットが生じます。
・支払期日がバラバラで、管理がしにくい
・紛失や盗難のリスクが高まる
・利用額が分散すると、ランクが上がりにくくなる
・有料のクレジットカードをたくさん持っていると、年会費が嵩む
など
必要以上にクレジットカードをたくさん持つことは、あまり賢明とは言えません。
3. 最適なクレジットカードの保有枚数は?
適切なクレジットカードの保有枚数は、生活状況などによって異なるので一概に言えませんが、必要最低限の枚数に抑えることが望ましいです。使っていないクレジットカードがある場合は、解約しておくとよいでしょう。
なお、株式会社ジェーシービー(JCB)が2022年に行った調査によれば、クレジットカードの平均保有枚数は3.0枚でした。
出典:JCB、2022年度版クレジットカードに関する調査結果を発表|JCB
3枚程度であれば、ローンの審査に大きな悪影響が及ぶリスクは低いと考えられますが、心配であればキャッシング枠をゼロにするなどの対策を講じましょう。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
https://twitter.com/abeyuralaw