バリュー投資が注目を集めている。新NISAのスタートや株高の影響により投資を始めた初心者向けに、具体的なバリュー投資のやり方、何から始めるべきかなどの流れをまとめた。
目次
2024年には新NISA制度がスタートするなど、近年の物価高や株高といった経済環境の変化も受けて投資への関心が高まっている。
数ある投資手法の中でも、「バリュー投資」は初心者が比較的リスクを抑えながら資産形成を目指せる手法として注目度が高い。
本記事では、バリュー投資の基本的な考え方から具体的なやり方、おすすめの本まで初心者が知っておくべき情報を解説する。
バリュー投資とは?基本的な考え方を理解しよう
バリュー投資を始める前に、まずはバリュー投資の基本的な考え方と初心者におすすめと言われる理由について理解しておこう。
■バリュー投資の特徴
バリュー投資とは、現在の株価がその企業の持つ本質的な価値よりも低い状態にある、俗に言う「割安な」銘柄を見つけ出し、長期間保有することで利益を狙う投資手法を指す。
バリュー投資の特徴は、短期的な株価変動ではなく、企業の長期成長に着目する点。そのため、企業の財務や事業内容の社会的価値などを投資判断に利用する。
グロース投資が将来の成長期待に基づいて高い株価でも投資するのに対し、バリュー投資では現在の企業価値に対する割安度合いを重視するとも言えるだろう。
■バリュー投資の父・ベンジャミン・グレアムとウォーレン・バフェット
バリュー投資の概念を体系化したのは、「バリュー投資の父」と呼ばれるベンジャミン・グレアム。1949年の著書『賢明なる投資家』では、感情に左右されない合理的な投資手法を提唱した。
グレアムの教えを受け継いだウォーレン・バフェットは、バリュー投資の概念を単なる「割安株への投資」から「質の高い企業への長期投資」に進化させ、世界有数の富豪となったことでバリュー投資の有効性を実証している。
■バリュー投資が初心者におすすめとされる理由
バリュー投資が初心者に適している理由は、感情に左右ない投資判断が可能な点だ。企業の財務データという客観的な指標に基づいて投資判断を行うことから市場の短期的な変動に惑わされにくいと言える。
長期保有を前提とすることから、日々の株価チェックに時間を取られる必要もなく、本業のある社会人でも資産形成を進められる点もメリットだろう。
バリュー投資の具体的なやり方。初心者は何から始める?
ここからは「バリュー投資の実践編」として、具体的な指標の見方や、銘柄分析の手順、初心者が実際に投資を始める際のステップを解説する。
■バリュー投資で重要な指標の見方
バリュー投資では、いくつかの財務指標を使って株価の割安性を判断する。初心者が最初に覚えたい指標は以下の3つだ。
・PER(株価収益率)
バリュー投資における最も基本的な指標。現在の株価が1株当たりの純利益の何倍になっているかを示す。一般的にPERが15倍以下であれば割安とされるが、業種によって適正水準が異なるため、同業他社や過去の平均値と比較して判断する必要がある。
・PBR(株価純資産倍率)
株価が1株当たりの純資産の何倍かを表す。一般的には数値が低いほど割安とされ、特にPBRが1倍未満の場合は、「企業価値が帳簿上の純資産よりも安く評価されている」と言える。割安株の目安となる一方で、企業の成長性が投資家から疑問視されているケースもあるため、他の指標と合わせての判断が必要。
・ROE(自己資本利益率)
株主資本に対してどれだけの利益を上げているかを示す「効率性」の指標。10%以上あれば優良とされ、高いROEを維持している企業は投資価値が高いと考えられる。ただし業種によってROEの水準は異なり、銀行や公益企業は相対的に低く、成長産業では高めに出る傾向がある。業界平均や他の指標と合わせて総合的に判断したい。
■バリュー投資における割安株の見つけ方と分析手順
割安株を効率的に見つけるには、証券会社が提供するスクリーニングツール(絞り込み機能)を活用しよう。PERやPBRなどの条件を設定することで、割安な可能性のある銘柄を絞り込める。
次に、絞り込んだ企業の財務諸表を確認してみよう。主なチェックポイントは以下の通り。
・損益計算書……売上高と純利益の推移を確認。安定的に利益を上げているかをチェック
・貸借対照表……自己資本比率を確認する。30%以上あれば財務的に安定していると判断
また、業界平均との比較も重要だ。同業他社と比較してPERやPBRが明らかに低い場合、何らかの理由で市場から過小評価されている可能性がある。
■バリュー投資初心者は何から始めるべきか?
これから投資を始める初心者は、まず新NISA対応の証券口座を開設しよう。ネット証券会社なら24時間オンライン手続きが可能だ。口座開設から取引開始までは1週間程度かかる。
新NISA制度では、「成長投資枠(年間240万円)」と「つみたて投資枠(年間120万円)」が利用できる。個別株は成長投資枠でのみ購入可能だが、投資信託は成長投資枠とつみたて投資枠のどちらでも購入可能だ。
初心者の場合、まずはつみたて投資枠でバリューファンドやインデックスファンドの購入からスタートし、慣れてきたら成長投資枠で個別株投資に挑戦すると良いだろう。
なお、投資は毎月の生活費やいざというときの生活予備費(生活費6か月分ほど)を除いた余裕資金で行うようにしたい。初心者は特に月1万円からでも十分にスタートできる。
個別株の銘柄を選択する場合は、まず東証プライム市場の大型株からチェックするのがおすすめ。PERが15倍以下、PBRが1倍前後、ROEが10%以上を目安に投資対象となりそうな銘柄を探してみよう。
【今すぐできる具体的なアクション】
1.新NISA対応の証券口座を開設……主要ネット証券で申し込み、投資環境を整える
2.PER・PBRなどの指標を実際に調べてみる……気になる企業の財務指標をチェックし、割安性を判断する練習をする
3.個別株・投資信託の比較検討……つみたて投資枠対象のバリューファンドやインデックスファンドから候補を選んで購入する。慣れてきたら個別株への投資も検討
初心者におすすめのバリュー投資の手法(個別株vs投資信託)
バリュー投資の際に迷いがちな個別株と投資信託。ここでは、それぞれのメリット・デメリットを比較して、初心者に適した商品選びのポイントとリスクを解説する。
■バリュー投資では個別株と投資信託どちらを購入すべき?
個別株は、自分で銘柄を選ぶ楽しさと成功時に大きなリターンが期待できるメリットがある。その一方で、企業分析に時間がかかり、1つの銘柄に投資資金が集中しがちな点がデメリットだ。
投資信託は、ファンドマネージャーが選択した複数の銘柄に自動で分散投資ができる。初心者にとってはリスク管理がしやすい点がメリットだろう。
ただし、信託報酬など個別株にはないコストがかかる点には注意が必要だ。
■投資初心者におすすめの「バリューファンド」と「インデックスファンド」
個別株の印象が強いバリュー投資だが、投資信託でも実践できる。バリュー投資の手法を用いて銘柄選択を行う「バリューファンド(バリュー型投資信託)」は、銘柄選定をプロのファンドマネージャーが行うため、初心者でもファンドを購入するだけでバリュー投資が可能だ。
購入時は、ファンドの目論見書を必ず確認したい。バリューファンドであれば、PERやPBRが低めの銘柄を重視する方針が書かれている。信託報酬がいくらになるかもあわせて確認しよう。
また、バリュー投資とは異なるものの、日経平均やTOPIXといった指数に連動する「インデックスファンド」も、初心者の投資信託選びでは有力な選択肢となる。
インデックスファンドでは、バリュー株も含めた市場全体に投資できるため、個別株と比較すると価格変動が少なく、初心者におすすめだ。信託報酬も低めに設定されているものが多い。
■バリュー投資における注意点とリスク
バリュー投資で注意したいのは「バリュートラップ」と呼ばれるリスクだ。これは表面的に割安に見える銘柄が、実は構造的な問題を抱えており、株価がさらに下落し続ける状況を指す。投資判断を誤ったと思った場合は、損失確定(損切り)をする判断も必要となるだろう。
ただし、バリュー投資の基本方針は長期保有となるため、PERやPBRなどの指数、企業のガバナンスに問題がない場合(市場全体の下落で損失が出ている場合など)は、銘柄を保有し続ける忍耐力が求められる場合もある。
バリュー投資の学習におすすめの本と情報源

バリュー投資を深く学ぶための必読書籍と情報収集に役立つ情報源を紹介する。
■バリュー投資初心者におすすめの本
バリュー投資を学ぶ際は、ベンジャミン・グレアムの『賢明なる投資家』を押さえておきたい。ただし、やや難易度が高いため、まずは「まんがで解説」などの初心者向け入門書から入ると良いだろう。
『バフェットの銘柄選択術』(メアリー・バフェット著)は、世界最高の投資家ウォーレン・バフェットの考え方と具体的な企業分析手法を学べる。
日本の著者では『10万円から始める!小型株集中投資で1億円』(遠藤洋著)や『めちゃくちゃ売れてる株の雑誌ZAiが作った『株』入門』などが実践的で理解しやすい。
■継続的に投資を学ぶための情報源は?
「株探」や「みんなの株式」といった投資情報サイトでは企業情報・財務データを無料提供している。
また、各証券会社が発行するリサーチ・レポートも参考になるだろう。
企業のIR(投資家向け広報)情報は、決算説明会資料や有価証券報告書から直接情報を得られるもっとも信頼性の高い情報源となる。四半期ごとの決算発表は必ずチェックしよう。
TwitterやYouTubeでは投資コミュニティが形成されており、個人投資家から多様な視点の投資情報を学べる。ただし、情報の正確性は担保されていないため、情報の取捨選択は慎重におこないたい。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部







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