
◎個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
9月上旬から上昇を続ける日経平均株価。8月末から9月末までの上昇率は6.2%、上昇幅は2600円超となっっている。アメリカでは利下げ再開、国内では自民党総裁選挙など、様々な社会的&経済的背景が交錯する中、その要因について三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏から分析リポートが届いているので概要をお伝えする。
日経平均は好材料が複数重なり8月末から足元までの上昇率は6.2%、上昇幅は2600円超
日経平均株価は9月上旬に4万1800円台で下値を固めた後、上昇に転じ、節目となる4万4000円、4万5000円を次々に突破し、過去最高値更新が続く展開となった(図表1)。

先週は4万6000円の突破をうかがう流れとなったが、ここまでの上昇ペースが速かったこともあり、4万6000円を前にいったん足踏み状態に。とはいえ日経平均は8月29日から9月26日までの期間、上昇率は6.2%、上昇幅は2636円52銭に達している。
このような日経平均の上昇は、いくつか好材料が重なったことが大きいと思われる。
具体的には、
(1)利下げ再開で米国景気の冷え込みが回避され、日本経済や日本株に追い風になるとの期待、
(2)半導体などハイテク銘柄を中心とする米国株の堅調推移、
(3)国内企業の業績が2026年度には回復するとの期待(9月26日付レポートで解説)、
(4)自民党総裁選後の財政拡張的な政策への期待、
などが考えられる。
■日経平均は今後売りに押されても、足元の好材料に大きな変化がない限り堅調地合いは継続か
今後の日経平均については、大きく上昇する場面で利益確定の売りなどに押され、いくらか調整色を強めることも想定されるが、前述の4つの好材料に大きな変化がない限り、堅調地合いが維持される公算は大きいとみている。
逆に、4つの好材料に対する見方が大きく変わるような状況となった場合、日経平均の調整は比較的大きなものになるリスクがある。
そのため、この先は、(1)に関し、今後発表される雇用や物価などの米経済指標が、景気の不透明感を強める内容にならないか、(2)に関しては、上昇が続く半導体など米ハイテク銘柄への警戒感が強まらないか、これらの見極めは大切と言えるだろう。
仮に米景気の不透明感が強まり、米ハイテク銘柄が大きく調整すれば、(3)の国内企業の業績回復期待が後退する恐れがある。
そして、(4)は実際の経済政策が市場の期待に添う内容となるかが注目される。
■半導体など米ハイテク銘柄の動きは、日経平均を構成する値がさ株への影響が大きく注意が必要
なお、8月29日から9月26日までの上昇率について、日経平均は前述のとおり6.2%に達しているが、東証株価指数(TOPIX)は3.6%にとどまっている。
日経平均の上昇幅2636円52銭のうち、アドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループ、TDK、レーザーテックの5銘柄の寄与度は約2034円となっており、これらの値がさ株の上昇が、日経平均を大きく押し上げていると考えられる。
一方、米国株の上昇率は、ダウ工業株30種平均が1.5%、S&P500種株価指数は2.8%だが、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は4.8%、主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は11.2%だった(図表2)。

ナスダック総合指数や、とりわけSOXの上昇が、上記5銘柄の追い風となり、日経平均の押し上げにつながったとも考えられ、改めて半導体など米ハイテク銘柄の動きには注意だ。
◎個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
構成/清水眞希