
多くの女性が定期的に通う美容サロン。その利用金額に地域差はどれくらい存在するのだろうか?
リクルートの美容に関する調査研究機関『ホットペッパービューティーアカデミー』はこのほど、全国の15~49歳の女性を対象に「美容サロンの利用実態」を調査し、都道府県別に集計した結果を発表した。
調査トピック1:美容室1回あたりの利用金額は、沖縄県が9,478円で全国1位
沖縄県では、パーマの利用率が12.4%、ヘッドスパが15.1%といずれも全国1位。高単価メニューの利用が、1回あたりの利用金額を押し上げていると考えられる。サロン滞在時間も平均101分と全国最長で、「1回でしっかり整える」スタイルが浸透していることがうかがえる。
<研究員からのコメント>
沖縄県では、湿度や紫外線などの影響から髪の悩みが生じやすく、パーマやヘッドスパといった髪質対応型のメニューが支持される地域性がうかがえます。1回の来店でまとめて複数施術を受ける“じっくりケア型”のスタイルが根付いており、「1回ごとにしっかり投資する」美容行動が定着している地域だと考えられます。
調査トピック2:年間の美容室利用総額は、東京都が3万7,044円で全国1位
東京都はカラー(年間4.59回)やトリートメント(同4.34回)といったメニューの利用頻度が全国でも特に高く、美容室の年間利用回数(4.37回)は全国1位となった。髪色のキープやダメージケアなど、定期的な施術が欠かせないメニューの人気の高さが、利用総額の高さにも影響しているものとみられる。
<研究員からのコメント>
東京都は、髪質改善やハイトーンカラー、白髪ぼかしなど「定期的なメンテナンスが求められるメニュー」への関心が高いことが特徴です。さらに、サロンの多様性やネット予約の浸透といった都市ならではの環境も後押しし、小まめに通うスタイルが根付いていると考えられます。
調査トピック3:美容サロン全体にかける金額は、福井県が3カ月あたり1万2,609円で全国1位
アイビューティー(20.3%)、エステ(11.3%)などさまざまなジャンルのサロン利用率が全国上位となったのは福井県。美容室での店販購入率(店舗で販売されている商品の購入割合)も38.2%と全国1位であり、施術だけでなくホームケアへの投資も活発だ。
<研究員からのコメント>
福井県は、生産年齢人口(15~64歳)における女性の有業率が77.7%で全国1位(「令和4年就業構造基本調査結果」(総務省統計局))という特徴があり、外出機会の多さや身だしなみ意識の高さが美容投資を後押ししていると考えられます。さまざまなジャンルのサロンを利用し、さらに商品も購入するという“広く深く”美容に向き合う姿勢が、福井県の利用金額の高さにつながっているのではないでしょうか。
■研究員からのコメント
美容サロンでどんなメニューを選び、いくら使うのか。その価値観は、地域によって異なります。例えば沖縄県は、パーマやヘッドスパなど高単価な施術を組み合わせて1回でしっかり整えるスタイル。東京都は、カラーやトリートメントを小まめに取り入れるスタイル。福井県では、女性の有業率の高さを背景に、美容室だけでなくアイビューティーやエステも利用し、商品購入も含めた“広く深く美容に投資する”地域性がうかがえました。一見「利用金額や利用率のランキング」に過ぎないように見える数字の裏側には、地域ごとの美容習慣や価値観の違いが色濃く表れていると感じます。
<調査概要>
調査名:【都道府県別】15~49歳女性の美容サロン利用実態調査2025
調査手法:インターネットリサーチ
調査期間:2025年2月28日(金)~3月4日(火)
調査対象:全国の15~49歳の女性(回収サンプル数1万8,916)
※都道府県の人口・市場規模等を勘案して、15~29歳/30~39歳/40~49歳の年齢区分ごとに、200サンプルまたは100サンプルずつの均等割付を行っている。回収サンプル数が目標に届かなかった県は、年齢区分ごとにウェイトバック値による補正を行い、集計数を1万9,200としている。
※図表内の%の値は小数第2位を四捨五入しているため、差分や合計値において、単純計算した数値と合致しない場合がある。
※実数回答設問では、想定範囲から外れた値を「外れ値」として除外して集計している。
構成/こじへい