
昨今、入店時の受付や注文、配膳など飲食店における様々な業務がデジタルツールや機械で賄えるようになった。店側としては便利である反面、客側から見れば「人によるサービスのほうがいい」と思うタスクもあるのではないだろうか?
リクルートの外食市場に関する調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」はこのほど、外食する際にどの程度「人によるサービス」にこだわるかについてアンケートを実施し、その結果を発表した。
1. 「調理」は人によるサービス希望、「注文」「会計」はこだわらず
飲食店ではデジタルツールの活用によるサービスの省力化に関心が集まっているが、消費者側は人によるサービスにどの程度こだわりが強いかを調査した。「人によるサービスのほうがいい」+「どちらかというと人によるサービスのほうがいい」の「人によるサービスのほうがいい・計」で割合が最も高かったのは「調理」(68.9%)で、過半数に達したのはこの項目だけであった。
一方で、「人によるサービスでなくてもいい・計」では、割合が最も高かったのは「注文」(71.3%)、次いで「会計」(65.1%)であった。ともにデジタルツールの活用が進んでいる分野である。過去の調査(2022年実施)と比べると「人によるサービスのほうがいい・計」の数値は微増している項目が多く、人によらないサービスが普及したことが、かえって人によるサービスの価値を高めている可能性もありそうだ。
2. 人によるサービスにこだわらない若年層、男女とも50・60代は人によるサービスの要望が強い
「人によるサービスでなくてもいい・計」の性年代別・圏域別の傾向を紹介する。圏域別には顕著な特徴はなく、性年代別では差のある項目が目立つ。30代男性と20・30代女性においては「人によるサービスでなくてもいい」と考える項目が多く、50~60代においては男女ともに「人によるサービスのほうがいい」と考える項目が多い。人によるサービスへのこだわりは、年齢による差が大きいことがわかる。
3. 「人によるサービス」ニーズ、差が最大なのは「大衆店」と「高級店」。メリハリ消費の傾向
外食のシーンやお店のタイプについて対比的な項目を提示し、それぞれどの程度「人によるサービス」にこだわるかを尋ねた。「人によるサービスでなくてもいい」割合が高い外食シーン1位は「一人で利用」(71.9%)、2位は「短時間(1時間未満)の利用」(70.4%)で、前回調査と同じ順位あった。
また、対比的な項目間のポイント差に注目してみると、「大衆店」(68.4%)と「高級店」(23.7%)のポイント差が44.7ポイント、「日常的な利用」(66.7%)と「特別な利用(記念日等)」(29.1%)のポイント差が37.6ポイントと大きく、さらに、その差は前回調査より大きくなっており、メリハリのあるサービスにニーズが高まっているようだ。
4. 「人によるサービス」にこだわる理由「温かみがある」「高級感」「対価を払っている」
「人によるサービス」にこだわる理由を尋ねた。トップ3は、1位「人によるサービスのほうが温かみがある」(46.3%)、2位「人によるおもてなしがあることで高級感を味わうことができる」(37.7%)、3位「人のサービスにも対価を払っていると思う」(29.2%)であった。
性年代別では20~40代女性で「人によるおもてなしがあることで高級感を味わうことができる」の割合が高く、40~60代女性では「注文内容について詳しく相談したいときがある」の割合が高かった。
5. 「人によるサービス」にこだわらない理由「面倒」「仕方がない」「人を介さないほうが早い」
「人によるサービス」にこだわらない理由を尋ねた。トップ3は、1位「いちいち人を呼ぶのが面倒であり、気が引けることもある」(42.6%)、2位「人手不足なので仕方がない」(39.0%)、3位「人を介さないほうが早いことがある」(38.0%)と、前回調査とは2位と3位が入れ替わった。
性年代別では20・30代女性で「いちいち人を呼ぶのが面倒であり、気が引けることもある」「人との関わりやスタッフとの交流は、特に求めない」「ツールを導入するお店が増えており、気にならない」の割合が高く、50・60代女性では「人手不足なので仕方がない」の割合が高かった。また、30・40代女性では「人を介さない方が早いことがある」の割合も高い。
構成/こじへい