3.セルフチェック型認知機能測定ツール「CQ test」
脳神経領域の医療AIスタートアップ、Splinkはセルフチェック型認知機能測定ツール「CQ test」を開発・提供している。
脳の状態を簡単なセルフチェックで把握できるツールだ。若い世代から高齢者まで幅広世代の健常者も含めて利用できる。それぞれの脳領域が司る、複数の認知機能をバランスよく、かつ総合的に分析することで自分の脳の健康状態について気づきを得られるのが特徴だ。
同社は神奈川県と共に認知症未病改善を目的とした共同実証事業(※3)を進めており、同ツールが「ME-BYO BRAND」という未病の見える化や改善につながる優れた商品・サービスを認定する制度に認定されている。
株式会社Splink 代表取締役の青山裕紀氏に、開発背景や同ツールの特徴について聞いた。
●開発背景
「父の脳疾患との闘病や医療現場での診断の課題に直面したことを契機に、『ブレインヘルスケアを世の中の当たり前に』するという使命のもと開発しました。認知症については医療体制や社会コストの逼迫が大きな課題です。CQ testは健常者や発症前段階の人々が手軽にテストでき、啓発・予防・早期発見の機会を提供します。さらにMCI(軽度認知障害)リスクを早い段階から意識し、受診や生活改善を促すことで、認知症の社会的コスト低減や家族の負担軽減にも寄与するソリューションとして位置づけています」
●新しい点
「従来の認知機能検査は看護師同席で10~30分程度かかり、心理的負担や医療現場の負担も大きいものでした。CQ testはWebやスマートフォン・タブレットで完結し、約5~10分のゲーム感覚の課題でチェック可能で、受診後のフォローもワンストップで提供します。セルフスクリーニングを可能にしたことで、利用者の負担軽減だけでなく、脳ドックや医療機関における検査負担やコスト削減にも寄与し、認知症対策の効率化を後押ししています」
健常な状態や発症前段階から脳の健康づくりに取り組むきっかけを提供する。
敬老の日付近には身近に感じやすい認知症。この機会に自分も含めて家族の頭の健康を考えてみるのも良さそうだ。
※1 内閣府「令和6年度高齢者白書」
※2 東京都福祉局「とうきょう認知症ナビ 認知症の基礎知識」
※3 神奈川県「認知症未病改善に向けて、株式会社 Splink の最先端技術を活用する共同実証事業を開始!」