
2025年9月、厚生労働省の専門部会は、勃起不全(ED)治療薬「タダラフィル」の市販化を了承しました。これにより今後、薬局やドラッグストアで医師の処方箋無しでED治療薬を購入できるようになります。でも「タダラフィルってどんな薬?」「バイアグラとは違うの?」と疑問に感じる方もいると思います。本記事では、薬剤師監修のもと、ED治療薬「タダラフィル」の正しい情報をまとめました。
タダラフィルの”効果時間”は30〜36時間
「タダラフィル」は、商品名「シアリス」として多くのユーザーに知られている薬です。「タダラフィル」は一般名になります。
「シアリス」は、「バイアグラ」(一般名:シルデナフィル)、「レビトラ」(一般名:バルデナフィル)に続く第3のED治療薬として、2003年に登場した薬です。
日本国内では、2005年9月に厚生労働省へ承認申請が行われ、2007年より販売されています。
現在、日本で認可されている経口ED治療薬は、主にバイアグラ(シルデナフィル)、シアリス(タダラフィル)、レビトラ(バルデナフィル)の3種類であり、これらは泌尿器科診療ガイドラインにおいて第一選択薬として推奨されています。
意外にもバイアグラよりもタダラフィル(シアリス)の方が国内シェア率は高いんです。
タダラフィル(シアリス)の強みは、何と言っても『自然な勃起』と『効果時間』です。
効果時間に関しては、バイアグラが3〜5時間、レビトラが5〜8時間のところタダラフィル(シアリス)は30〜36時間です。バイアグラやレビトラが『決戦の前の強壮剤』というイメージですが、タダラフィル(シアリス)は性行為前だけでなく、日常生活の中で自然に服用することができます。金曜日の夜に飲んでおけば、週末は薬の効果が持続するので海外では『ウィークエンドピル』という愛称で親しまれてもいます。パートナーに隠れて服用したい方にとってもこれは大きな利点です。もちろん、30〜36時間ずっと勃起しているわけではなく、性的な刺激がないと勃起はしません。これはバイアグラやレビトラも同じです。
また、バイアグラやレビトラは強い勃起作用を持ちますが、タダラフィル(シアリス)は自然な勃起力です。勃起力はマイルドと言われていますが性行為をするには十分なです。
長澤薬剤師が監修したED治療薬の特徴をまとめた表は次のとおりです。

タダラフィルの副作用は?
ED治療薬を飲んだことがない人にとっては安全性に不安があるかもしれません。
しかし、ED治療薬の中でもタダラフィル(シアリス)は副作用が少ない薬として知られています。だからこそ市販化されるED治療薬に選ばれたと考えられます。
しかし副作用がないわけではありません。最も一般的な副作用として、頭痛、消化不良、ほてり、鼻づまり、筋肉痛、腰痛などが報告されています。これらは、タダラフィルの血管拡張作用が陰茎以外の全身に及ぶことで発生するものであり、薬の効果が切れるとともに自然に消失します。
現在、多くのEDクリニックでタダラフィル(シアリス)は処方されています。中には、医師の診断もほぼない状態で処方されているケースもあります。だからこそ安全というわけではありませんが、過度に副作用を心配する必要はありません。気になるようであれば、しっかりと診察をしてくれるクリニックでED治療薬の選択から使用法まで相談するのがいいでしょう。

日本において、勃起不全(ED)は決して珍しい疾患ではありません。40歳から70歳代の日本人男性の半数以上、推定で1400万人以上が何らかの形でEDに悩んでいるとされているといいます。しかし、その多くが未治療のまま放置されているのが現状だと言われています。
その背景には、羞恥心や医療機関を受診することへの心理的なハードルの高さがあります。
そのためドラッグストアなどで購入できるようになれば。EDに悩む多くの男性の助けになるのは間違いありません。
現在、シアリスは主に10mgと20mgがED治療として処方されています。クリニックによって価格は異なりますが20mgで1500円程度、ジェネリックだと1000〜1200円程度が多いです。市販される際に価格がどうなるのか、購入において特別な条件が必要になるのかが今後、注目されるでしょう。
いつからドラッグストアで購入できるのか。その時期についてはまだ未定だ。
多くの人が勘違いしがちですが、ED治療薬は性的興奮剤や催淫剤ではありません。こうした誤解も今回のED治療薬のOTCで理解が深まってもらえれば幸いです。
薬は必ず用法・容量を守り使用してください。
監修/長澤育弘
薬剤師。調剤薬局の経営や開業支援を行なうメディカルピース株式会社代表。銀座薬局代表。2020年には都知事選に立候補するなど、薬剤師の立場から社会問題に積極的に取り組んでいる。
取材・文/峯亮佑