「AirPods Pro 3」と「Apple Watch 11」を使って旧モデル愛用者が感じた圧倒的進化と利便性
2025.09.26
2025年版のアップル新製品として、iPhone 17シリーズやiPhone Airが発売されている。無事に発売日を迎え、iPhone Airの薄さや軽さはどれだけ快適なのか、Proモデルの進化ポイントはどこなのかといった話題で持ちきりだが、同時に発売されている「AirPods Pro 3」、「Apple Watch 11」も注目の製品だ。
筆者は普段、AirPods Pro 1、Apple Watch 7を使っている。AirPods Pro 1は2019年、Apple Watch 7は2021年に発売されていることから、最新機種は、かなり多くのアップデートポイント、メリットを感じる。
本記事では、旧モデル愛用者の筆者視点で、AirPods Pro 3、Apple Watch 7の便利になったポイントをまとめてチェックしていく。なお、記事内のApple Watch 11は自分で購入したものとなるが、AirPods Pro 3は、発売日配送での購入が間に合わなかったため、レビュー用の貸出機を使用している。
AirPods Pro 3は音質、バッテリー、ANC機能が大幅強化
まずはAirPods Pro 3について。Apple Storeでは3万9800円と、ワイヤレスイヤホンの中では高価な製品ではあるが、個人的には、十分買い替えに値する製品だと感じている。
本体は従来モデルより小型化されているとのことだが、元々サイズが大きいわけではないため、極端な違いは感じない。見比べると、小さいというより、角度が強くつき、シャープになった印象を受ける。これにより、耳の穴にすっぽりとハマる感触が強くなった。
イヤーチップが改良されているだけでなく、XXSサイズが新たに追加され、装着済みのものを含め、計5サイズが同梱されるのもポイント。カナル型イヤホンにおいて、自分の耳の穴にぴったりとハマるか否かは、音質、ノイズ除去、装着感など、各所に影響する要素であるだけに、選択肢が広がったのは素直にありがたい。
音質は、特に中高音域のクリアさが際立ったように感じる。音場が豊かに広がり、定位もはっきりしているため、臨場感のある音楽を楽しめる。それぞれの音のディテール感が増し、メリハリのある音に進化した印象だ。
低音域も強化されているが、ズンズンと必要以上に響き渡るというよりは、全体のバランスを損なわない程度ながら、解像感が高く、迫力のある響きになっていて心地よい。
注目ポイントであるANC機能は、雑音の除去レベルが、AirPods Pro 1から最大4倍、AirPods Pro 2から最大2倍進化し、「世界最高のインイヤーアクティブノイズキャンセリング」と謳われる。元々ANCのレベルが高いことで知られるAirPods Proシリーズだが、ハードウエア、ソフトウエアの両面で遮音性、ノイズ除去レベルが向上していることを実感できる。
ANCをオンにしていれば、音楽を再生していなくても、周囲との会話は難しいレベルでノイズが除去される。ここに一般的な音量で音楽を再生すれば、雑音はほとんど耳に入らない。電車で使用すると、振動によるガタガタとした揺れは感じるものの、ノイズは聞こえないという、不思議な体験ができる。
個人的にAirPodsシリーズのお気に入りポイントである外部音取り込み機能の精度も、相変わらず高い。もはや装着していない時と変わらないどころか、装着していた方が周囲の音を拾えるレベルの完成度だ。
バッテリーは単体で最大8時間、ケース併用で最大24時間の再生が可能。AirPods Pro 1は単体最大4.5時間、AirPods Pro 2は単体最大6時間と、順調に進化している。AirPods Pro 1は、1日の仕事中、付け続けることができなかったが、AirPods Pro 3ならば問題なく使い続けられるのが嬉しい。
新機能として搭載されている心拍数センサーは、Apple Watchがある場合は、そこまで重要に感じないポイントかもしれないが、イヤホンが健康管理の一助となっていく可能性を感じられるのが面白い。AirPods Pro 3とiPhoneのフィットネスアプリで、心拍数、消費カロリーの確認ができるため、ランニング時には時計も付けたくないというユーザーには、試してほしいと感じる。
もう1つ、新機能として期待しているのがライブ翻訳機能。日本語対応は年内予定となっており、発売後すぐに利用できるわけではないが、海外旅行時などに、コミュニケーションがしやすくなるのはありがたい。開発中の日本語翻訳機能も試させてもらったが、ほとんどラグがなく、快適に会話できているため、早いタイミングでの実装に期待したい。
バッテリー駆動時間が延びて「相棒感」が強くなったApple Watch 11
筆者が購入したApple Watch 11は、GPS+Cellularモデル、46mm、アルミニウム素材、ミラネーゼループバンドで9万3800円。これまではWi-Fiモデルを使用しており、特に不満は感じていなかったが、今回は5G通信に対応した点が1つの特徴だったため、今回は意を決してCellularモデルをチョイスしている。ちなみに、Apple Watch 11の最安構成は、6万4800円となる。
購入から1週間ほど使用している限りでは、5G通信対応の恩恵を受ける機会はほぼない。対応するのが5G SAのみということもあり、そもそもエリアがあまり広くないのに加え、iPhoneを持たず、Apple Watch 11のみを着けて外出する機会も、あまりない。
では、Cellularモデルが必要なケースはどこかと考えると、iPhoneを持たずにランニングをするなど、ワークアウトを積極的に行うシーンがある。
近所のコンビニにいく程度であれば、Apple Watchの決済機能を使って、買い物もできるだろう。Apple Watchは、PayPayやau PAYといったQRコード決済にも対応しているが、これはCellularモデルでこそ、真価を発揮する。
Apple Watch 10以前のモデルでも、Cellularモデルであればデータ通信はできるため、現時点で5G通信が必須とはいわないが、将来的に5G SAのエリアが広がっていけば、どんどん快適になっていく期待感はある。筆者のように、数年間はApple Watchを使い続けるという人には、先行投資的な意味でもおすすめできる。
では、現時点でApple Watch 11の魅力を感じていないのかというと、決してそういうわけではない。特に進化を実感するのがバッテリー持続時間だ。
Apple Watch 7は、バッテリー駆動時間が最大18時間。これはApple Watch 10までのシリーズモデルで共通する仕様だが、Apple Watch 11では最大24時間まで延長された。
この6時間の差が、使い勝手を非常に大きく左右する。例えば朝、7時から活動を開始したとする。最大18時間のモデルを使用していると、バッテリーが切れるのがおおよそ深夜1時ごろ。つまり、途中で再度充電をしない限りは、睡眠トラッキング機能が利用できなくなる。一方、最大24時間の連続駆動ができれば、翌朝7時までは電池が持つため、使い続けられるというわけだ。
もちろん、途中でこまめに充電をしたり、省電力モードを使う手段もあるが、多機能が売りのApple Watchシリーズは、できるだけ長く、かつ通常モードで使用したいというのが筆者の考え。たかが6時間、されど6時間というわけだ。ちなみに、Apple Watch 11では、旧Apple Watchに付属する充電器をそのまま使用できる。ケーブルが使いまわせるため、1つは自宅、もう1つは出張用のカバンに入れておくといった使い分けができるのもポイントだ。
そのほかの機能については、Apple Watch 7から飛躍的に進化したかといわれると難しい。各種健康管理機能の精度は向上しているはずだが、体感するのはなかなか至難の業である。
ディスプレイも、45mmモデルから46mmモデルへと買い替えたため、極端なサイズの違いは感じていない。最大輝度が上がったが、元々屋外での視認性に難があったわけでもないため、大幅アップデートとは感じにくい。
ただし、Apple Watch 7からの比較だと、視野角が広がり、斜めからでもディスプレイが見やすくなっている点は実感できる。仕事中など、ちらっと目線を向けるだけで、通知のチェックができるのは便利だ。
今回選択したミラネーゼループバンドにも触れておきたい。これまでは最安構成のシリコンバンドを使用していたが、肌が弱い筆者は、食器洗いなどをしていると、蒸れてかぶれてしまうことがあった。
金属素材のミラネーゼループバンドは、今の所この心配がない。無段階に締め心地を調整できるのも便利だ。バンドの素材は、肌質によって合う、合わないが極端に分かれるので、サードパーティ製のものも含め、色々と試してもらいたい。
改めて感じるアップル製品最大の魅力は「互換性」
AirPods Pro 3とApple Watch 11を使いながら、改めて感じるのは、アップル製品同士の互換性の高さ。語り尽くされているポイントではあるものの、新製品をペアリングするタイミングで、再確認する要素でもある。
AirPods Proシリーズは、1台のiPhoneとペアリングすれば、同一のAppleアカウントでログインしている別のiPhone、Macともシームレスに接続できる。筆者はiPhone 16 ProとAirPods Pro 3をペアリングしたのち、購入していたiPhone 17 Prの初期設定を行ったが、特別な操作をせずとも、iPhone 17 ProとAirPods Pro 3が繋がった状態になる。
iPhoneとMacを同時に使用していれば、音の出力先がシームレスに切り替えられるのもポイント。いわゆるマルチポイント機能だが、他社製品と比べると、切り替わりの安定感が違う。例えば、iPhoneで音を再生していても、Macで動画の視聴を始めれば、出力先はMacに移行する。この際、iPhoneには出力先をMacに切り替えた案内が表示されるので、ワンタップでiPhone側に呼び戻すこともできる。
Apple Watch 11の場合は、一度Appleアカウントに紐づけておけば、Watchアプリから簡単に新しいiPhoneともペアリングができた。これまで集計していたデータも引き継がれるため、移行作業が簡潔に済む。
機能をオンにしていれば、iPhoneやMacのロックは、Apple Watchを装着していれば、スムーズに解除できる。もちろん、第3者が不正にロックの解除を行なった場合は、Apple Watch側から再ロックもできるため、セキュリティ上のリスクも感じない。
AirPods Pro 3、Apple Watch 11は、それぞれiPhoneに「+1」するデバイスとして、単体でも十分活躍するアイテムだが、Macを併用したり、Apple WatchとAirPodsを組み合わせたりと、アップル製品の数が増えるだけ、利便性を強く感じられるようになる。一度アップル製品で周辺を固めると、乗り換えるのが億劫になるほど快適なので、現状iPhoneしか使っていないという人には、気になるアイテムから試してもらいたい。
取材・文/佐藤文彦