
SNSで話題の「平成一桁ガチババア」とは?言葉の意味と由来、平成一桁生まれの人に懐かしい当時の流行や平成一桁世代が現代に与える影響についてまとめた。
目次
近頃、XやTikTokのタイムラインで「平成一桁ガチババア」という投稿やハッシュタグを見かけたことはないだろうか。SNSには様々なネットミーム(※)が溢れている。「平成一桁ガチババア」もその一つだ。「ガチババア」と強い言葉が使われているため、特に平成生まれの人は気になってしまうはず。
そこで本記事では、「平成一桁ガチババア」の意味やネット上での使われ方、言葉の元となった平成一桁生まれとはどのような世代なのか、当時の流行や現代への影響について解説する。
※ネットミーム:文章・動画・ジョーク・噂話などのコンテンツがインターネット上のユーザーを介して改変され(もしくは元のままで)拡散されて広がっていく現象
「平成一桁ガチババア」とはどんな意味は?元ネタはある?
平成一桁ガチババアとは、平成元年(1989年)から平成9年(1997年)に生まれた女性を主に指すネットスラングだ。
2020年代の後半には20代後半から30代後半にさしかかり、結婚や出産、キャリア形成の真っ只中にいる世代と言える。
■「平成一桁ガチババア」の広まり方と使われ方
「平成一桁ガチババア」は、主にTikTokやX(旧Twitter)で2023〜2024年頃から使われるようになった。元ネタとなる特定の投稿や発信元は確認されていないものの、平成一桁世代のユーザーがSNS上で自虐的に使用するケースが多い。
また、「#平成一桁ガチババア」などのハッシュタグを通じて、当時の流行や思い出話を共有するコミュニケーションツールとしても機能している。
■「ガチババア」に込められた平成一桁世代の思いとは
ガチババアとは、本当に・本気でを意味する「ガチ」と、年を取った女性の蔑称である「ババア」が組み合わさっており、マイナスの意味合いが強い言葉だ。しかし、当事者が使用する「平成一桁ガチババア」には、単純な自虐ではなく、年齢を重ねることへの不安や抵抗感を笑い飛ばす気持ちや、平成一桁世代が築いた独自の流行や文化への誇り、同世代への親近感などが複雑に絡み合っていると見られる。
■「平成一桁ガチババア」世代はゆとり教育とIT社会への移行期に当たる
平成一桁生まれは、中学生や小学生の途中で、それまでの詰め込み型教育からゆとり教育への転換がおこなわれた。完全な「ゆとり世代」とも言い切れない移行期の狭間にある世代と言えるだろう。
また、平成一桁世代は、思春期にインターネットや携帯電話が登場し、大学生や社会人になる頃にはSNSが普及した。成長過程で社会にITが浸透していく様子を目の当たりにしたデジタル移行期を体験した世代でもある。
経済面においては、バブル崩壊後に日本経済が直面した長期低迷期に青春を過ごしたことから、限られた状況下で楽しさや個性を追求する文化が根付いている。これが、後述する独特な流行文化の背景となっている面もあるだろう。
エンタメ・ファッション・グッズなど平成一桁世代に懐かしい「あるある」体験
平成一桁世代が経験した文化や流行は、令和の現代に振り返ると個性的なものが多い。SNSで「平成一桁ガチババア」が盛り上がる背景には、独自性の高い当時の流行やファッションを懐かしむ気持ちも作用している。
■平成一桁世代のエンタメ事情。当時流行したテレビ番組、音楽、アニメは?

テレビ番組では、「ポンキッキーズ」「おはスタ」「学校へ行こう!」などが絶大な人気を誇っていた。特に「学校へ行こう!」は、この時期に中高生時代を過ごした平成一桁世代には認知度が高い。番組内の人気企画の一つで、学校の屋上から生徒が思いのたけを叫ぶ「未成年の主張」などが同世代間で語り継がれている。
音楽シーンでは、SPEED、安室奈美恵、globe、浜崎あゆみといったアーティストが一世を風靡していた。SPEEDの「Body & Soul」や「ALIVE」、安室奈美恵の「CAN YOU CELEBRATE?」は、カラオケの定番曲として今でも歌われており、globeのプロディーサー・小室哲哉によるサウンドは当時の若者文化の象徴と言えるだろう。
アニメ・映画では、「美少女戦士セーラームーン」「ポケットモンスター」、そしてスタジオジブリ作品が広く観られていた。セーラームーンは変身ブローチや変身スティック、ポケットモンスターはポケモンカードの収集・交換やカード対戦など、関連グッズの人気も高かったと言える。
■ルーズソックス、厚底ブーツ、ガングロなど平成一桁世代の制服は「自由」だった

平成一桁世代が思春期を迎えた90年代後半から2000年代前半は、ギャルブームの全盛期にも重なっている。渋谷109を中心とした「109系」ファッションが流行し、「egg」「Popteen」「CanCam」などの雑誌が広く購読されていた。
ファッションでは、膝上まであるルーズソックスを履き、制服のスカート丈を短くするスタイルが女子高生の定番だった。厚底ブーツもこの時期の重要なファッションアイテムの一つだ。
美容面では、日焼けサロンで肌を焼き、明るい髪色とつけまつげやアイラインで目元を強調する「ガングロメイク」が流行。さらに、ガングロよりも肌を黒くし、目元を白く強調する特徴的な「ヤマンバ」メイクも登場した。
■一世を風靡したアイテム&サービス(たまごっち、ポケベル、PHS、mixi)

平成一桁生まれは、「たまごっち」などのデジタル玩具や「mixi」などのインターネットサービスに親しんだ世代でもある。学校でも隠れてたまごっちを育て、死なせてしまったときの罪悪感などは、多くの平成一桁世代が共有する体験だろう。
通信手段では、「ポケベル(ポケットベル)」から「PHS」、「携帯電話」への移り変わりを経験し、ポケベルでの数字を使った暗号のような会話、PHSでのメール機能の登場、そして写メール付き携帯電話の普及まで、コミュニケーションツールの急激な進化を肌で感じてきたと言えるだろう。
インターネットでは、「前略プロフィール」や「mixi」の黎明期を体験している。足あと機能で誰が見に来たかをチェックしたり、友だちと近況を知らせ合ったりと、ネット上のコミュニケーションが最初に浸透していった世代でもある。
「平成一桁ガチババア」のキーワードが現代に与える影響

このような平成期の文化や流行は、現代にも大きな影響を与えている。
■ノスタルジーマーケティングから見た平成という時代
平成一桁世代が当時の文化やファッションをSNSに投稿することで、若い世代が魅力を感じ、現在の流行に取り入れる流れが生まれつつある。「Y2Kファッション」の流行は、平成一桁世代の厚底スニーカーやメタリック素材のアイテム、ローライズジーンズなどにインスパイアされたものだ。
企業もこの流れに注目し、たまごっちやプリクラといった当時のヒット商品の復刻版をリリースするなど、ノスタルジーを喚起するマーケティングを積極的におこなっている。
■世代間コミュニケーションツールとしての「平成一桁ガチババア」
「平成一桁ガチババア」を始め、SNSにおける「懐かし投稿」は人気が高く、平成はもちろん、昭和や明治も、当時の写真や流行を紹介する投稿には多くのリアクションが集まる。
「平成一桁ガチババア」のキーワードも単なる自虐表現を超え、同世代間では共感と結束を深めるツールとして、年下世代に対しては文化的な情報発信源としての役割を果たしていると言えるだろう。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部