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昆虫博士・牧田習さんが解説!日本に生息する肉食のカブトムシ「コカブト」とは?

2025.09.27

カブトムシというと、「オスが長いツノを持ち、夏に樹液によくやってくる虫」というイメージを持っている方がほとんどかと。しかし、長いツノを持たなければ、樹液にもほとんど来ないという私達の常識をひっくり返すカブトムシ・コカブトが日本全国に暮らしています。今回はこのコカブトに着目し、どんなカブトムシなのか、よく見るカブトムシの生態的な違い、採集について解説します。

コカブトとはどんなカブトムシ?

コカブトは長いツノこそはないものの、れっきとしたカブトムシの仲間で、決して珍しい種類ではありません。そこで、まず、分類学的な位置、体の特徴、分布の3つの基本的な情報を紹介します。

(1) 分類学的な位置

そもそもグループとしてのカブトムシとは、一般的には甲虫目コガネムシ科カブトムシ亜科に属する仲間のことを指します。コカブトはカブトムシ亜科コカブト属に属しており、カブトムシはカブトムシ亜科カブトムシ属に属しています。

(2) 体の特徴

大きさは1.8~2.6cmほどで、オスもメスも頭に小さなツノを持っています。オスとメスの見分けるポイントは胸にあるくぼみの形で、オスはこのくぼみが丸くなるのに対して、メスは細長くなるのが特徴です。

(3) 分布

国内ではほぼ全国に分布しており、奄美大島と沖縄の個体群はそれぞれが亜種として扱われています。海外では朝鮮半島、中国、台湾などに分布しています。

カブトムシとコカブトの生態的な違いは?

コカブトはカブトムシのメスを小さくしたような見た目をしていると思う方も多いかも知れませんが、その暮らしぶりはカブトムシとは全く異なります。ここでは、食性、見ることのできる時期、寿命の3つの生態的なポイントについてカブトムシとの違いを解説いたします。

(1) 食性

カブトムシが樹液にやってくるのに対して、コカブトの主な食べ物は他の小さな生き物やその死骸です。特にイモムシやミミズなどの柔らかい生き物を好んで食べます。飼育する際は鶏肉などを与えると、よく食べてくれます。

(2) 見ることのできる時期

カブトムシの成虫が6~8月頃に現れるのに対して、コカブトの成虫は5月頃から現れ、10月頃まで見ることができます。コカブトはカブトムシとは異なり、成虫の状態で冬を越すことができ、幼虫の成長スピードも早いため、一年のうちに何度も発生サイクルを繰り返すことができます。

(3) 寿命

カブトムシの成虫の寿命は1~3ヶ月ほどで、涼しくなると死んでしまいます。しかしながら、コカブトの成虫は1年以上も生きることができ、長い個体は2年ほど生きることもあります。小さいながら、長生きできるパワーを秘めているのです。冬は朽木の中などで越冬します。

コカブトの採集について

ここまで、カブトムシでありながら意外な生態を持つコカブトについて紹介してきましたが、実はコカブトは狙って採集するのが難しい種類です。決して珍しいわけではありませんし、都内でも少ないながら見ることはできます。しかしながら、僕の経験上、いつも見つかる時は不意になのです。とはいえ、それでは皆さんの参考にならないかと思いますので、見つけるために手助けとなりそうな情報を記させていただきます。

まず、コカブトは山地ではなく、平地に多い種類です。自然豊かな森の地面を歩いていることがあります。夜行性と考えられてはいますが、昼間に見つかることもよくあります。また、先ほども紹介した通り、肉食性が強いため、他の昆虫の死骸などがあれば、コカブトがやってきていないかチェックしてみると良いでしょう。

さらに、オサムシなどを狙った落とし穴トラップや街灯などの明かりの近くで見つかることもありますし、冬には朽木の材割り採集で見つかることもあります。他の昆虫を狙っている際にも頭の片隅にコカブトのことを置いておくと、出会えるかもしれません。

さて、今回はちょっと不思議なカブトムシ・コカブトの意外な素顔を紹介させていただきましたが、実際に見てみたくなった方は多いでしょうか。カブトムシに比べると出会える時期は長いものの、狙って捕まえるのは難しい種類です。とはいえ、1年を通してフィールドワークをしていると、必ずと言っていいほどどこかでは出会います。自然の中に行く機会の多い方はコカブトのことを忘れないであげてくださいね!

昆虫ハンター・牧田習
博士(農学)。1996年、兵庫県宝塚市出身。2020年に北海道大学理学部を卒業。同年、東京大学大学院農学生命科学研究科に入学し、2025年3月に同大学院博士課程を修了。昆虫採集のために14ヵ国を訪れ、9種の新種を発見している。「ダーウィンが来た!」(NHK)「アナザースカイ」(NTV)などに出演。現在は「趣味の園芸 やさいの時間 里山菜園 有機のチカラ」(NHK)、「猫のひたいほどワイド」(テレビ神奈川)にレギュラー出演中。昆虫をテーマにしたイベントにも多数出演している。

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著書:「昆虫博士・牧田習の虫とり完全攻略本」(小学館)、「昆虫ハンター・牧田習のオドロキ!!昆虫雑学99」(KADOKAWA)、「昆虫ハンター・牧田習と親子で見つけるにほんの昆虫たち」(日東書院本社)、「春夏秋冬いつでも楽しめる昆虫探し」(PARCO出版)好評発売中。Instagram・Xともに@shu1014my

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