
考えてみると、自分のことを全然知らない。得意なことも不得意なことも、性格も体調もメンタルも、なんとなーくで捉えている。先祖のことだって、明確にわかるのは祖父母までくらい。
こんなの、説明書をまったく読まずに家電を使うのと一緒じゃないか? それでもなんとなく使えるが、すべての機能は把握できず、当然フルにポテンシャルを引き出せない。
…と御託を並べたはいいものの、根幹にあるのはただの興味。というわけで、自宅でできる遺伝子検査サービス「chatGENE」を試してみた。
唾液を送って1ヶ月後。超見やすいレポートにWebからアクセス!
chatGENEは、専用キットに唾液を採取して送るタイプの遺伝子検査サービス。キットは2種類あり、今回は祖先・民族解析やAI検索機能も使えるchatGENE Pro(1万9800円)を利用した。
唾液を採取して送付後、結果が出るまでは3~4週間かかる。検体の到着や検査開始、検査結果などは、適宜メールが届くので安心(なんとなく、唾液を送ってそのまま3~4週間も音沙汰がなかったら不安だ)。
結果はWebページ上でレポートとして閲覧できるのだが、そのWebページの充実ぶりに驚いた。
遺伝子検査の結果というと、なんとなく数字が並んでいたり、素人では読み取りにくかったり、そんないわゆる「レポート」をイメージする人はいないだろうか。chatGENEにその心配はない。
わかりやすいテキストと数値、そしてビジュアルで結果を知らせてくれる。結果の「項目」は500にのぼるため、正直そのすべてを把握することはできないのだが、自分の疾患リスク、体質の傾向などが具に解説されているのは、読み物として面白い。だが、同時に怖くもある。
スペシャルコンテンツとAIで“大まか”に遺伝的傾向をチェック
「細かな情報を見るのは面倒」という方には、6種類用意されるスペシャルコンテンツもおすすめだ。ダイエット、栄養素、Big5性格特性、行動特性分析、肌、スポーツパフォーマンスの各項目で、日々の生活に直結するような情報にアクセスできる。
筆者はとにかく食べるのが好きで、エンゲル係数高め、カロリーも高め、を自負しているのだが、遺伝的には「食に対して執着少なめタイプ」なのだという。だとしたらなんだ、単に意志が弱いのか。情けなくなってきた。
ほかにも、こういった自認とは異なる結果がチラホラある。人間、どうしてもバイアスがかかってしまうもので、遺伝子検査を受けることは、そういったものを取り払うきっかけになるとも思った。ただし、あくまでこの検査結果も「遺伝的な傾向」を示すものなので、振り回されないようにはしたい。あくまで目安、指針だ。
ちなみに、Big5性格特性と行動特性分析は、遺伝子検査のほかに簡単なアンケートに回答して行われる。
「6つのコンテンツを読むのも面倒!」というのであれば、AI検索機能を使おう。こちらのUIや使い勝手はまだ完璧とは言えない印象だが、たとえば自分に適したダイエット方法などを質問すれば、遺伝子の傾向に沿った回答をくれる。それこそ、行動に迷ったときの頼れる指針になっていくかもしれない。
民族構成、さらには古代人類とのつながりも判明!
個人的にとても面白かったのが「祖先・民族解析」。筆者は顔が比較的濃く、海外の血が入っていないかと質問されることも多い。が、しかし、今回の検査で「100%日本人」という結果が出た。
これまでそういった質問をされたとき、「ひいじいさんが外国人で~」と適当な冗談を言って茶を濁していたのだが、これで自信を持って純日本人を語れる。
母系、父系ともに結果が出るわけだが、もう現実感がないほど過去に遡る。その結果を見ていると、なんとなく、人間としての厚みが増した気がしてきた。日本の片隅に住むちっぽけな私だが、長く長く紡がれた人類の歴史の一端にいる。それだけで、自分の価値を再認識できた気がするのだ。なんだか、自己肯定感アップにもいいのかもしれない。
さらには、古代人類とのゆかりもわかる。まずは4万年前に絶滅したネアンデルタール人。そして、ネアンデルタール人から分岐したと考えられている古代人類デニソワ人のDNAをどれくらい保有しているか。
この辺り「だからなんだ」と思う人もいるかもしれない。だがあえて明言すると、そういう人にこのキットはおすすめしない。健康に関わるデータはもちろん、こういった読み物感覚で楽しめる情報に価値を見出せないのであれば、約2万円の検査価格は非常に高い買い物になってしまうはずだ。
逆に、この記事をここまで楽しく読んでくださった人には強く推す。筆者を含むそんな人にとって、こんなに楽しい娯楽はない。実用性もあるしね!
文/関口大起(https://x.com/t_sekiguchi_)