
9月アメリカ遠征で、メキシコとアメリカに1分1杯という厳しい結果を余儀なくされたサッカー日本代表。両国相手にノーゴールというのは、森保一監督にとってもショックが大きかったに違いない。
ご存じの通り、日本代表は2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選で、総得点30をマーク。爆発的な攻撃力が光った。その攻撃陣が誰1人としてゴールネットを揺らせなかったことは、今後に向けた大きな課題と言うしかない。
ファイナルの地・ニューヨーク・ニュージャージーまで7試合の長き道のり
今回のW杯は出場国が48に増え、グループリーグを突破してもラウンド32に進出するだけ。そこからベスト16、8、4と勝ち上がって、ようやくファイナルまで到達できる。
決勝戦の地・ニューヨーク・ニュージャージーに辿り着こうと思うなら、グループ3試合の後、決勝トーナメント4試合に勝たなければならないということだ。
過去にW杯で4試合しか戦っていない日本にしてみれば、極めて高いハードル以外の何物でもない。厳しい現実を受け止めたうえで、ここから劇的なチーム力アップを図っていくしかないのだ。
決勝のスタジアムまでは案外遠い。アクセスも課題
森保ジャパンが目指す決勝の会場は、2010年にオープンした8万2566人収容のメットライフ・スタジアムだ。現在はナショナル・フットボール・リーグ(NFL)のニューヨーク・ジェッツとニューヨーク・ジャイアンツの本拠地として使われている。
今回、筆者はオークランド・コロンバスの試合の後、ニューヨークに飛び、同スタジアムに足を延ばしてみたのだが、アクセス面は決して良好とは言えなかった。
公共交通機関の最寄駅はメドウランズ駅。ニュージャージー・トランジットが運営する近郊電車パスカック・バレー線の支線ということだ。しかしながら、現在はW杯を控えて整備中なのか運休していて、ニューヨーク・マンハッタンの中心部から公共交通機関で行こうとすると、バス一択という状況だった。
そこで、まずはマンハッタンのユニオン・スクエアに近いポート・オーソリティ・バスターミナルに行き、そこからアメリカン・ドリームというショッピングセンター行きのバスに乗った。料金は片道10ドル(約1500円)程度。所要時間・20~30分程度というのを考えると、安価とは言えない金額だ。
週末はショッピングセンター目当ての人々が多くなるため、バス本数も増えるようだが、平日はそこまで多くない。しかも、下車した後、ショッピングセンター内の通路を通ってスタジアム前に出ようとすると、かなり分かりにくい。逆側の車道をう回していく方法もないとは言えないが、広大な敷地ゆえに、歩く距離もかなり長くなる。
本番になれば、さまざまなアクセス方法ができるはずだが、現時点では、なかなか行きづらい場所だと考えていて間違いなさそうだ。
もちろんアメリカにはウーバーやタクシーという手段がある。外国人旅行者にしてみれば、目的地にダイレクトで行ける車は便利な乗り物だが、とにかく高額なため、簡単には使えない。
今回、帰るバスが何時間もないことが発覚し、仕方なくウーバーを頼んでみたのだが、マンハッタンのPenn Stationまでで53ドル(約7800円)もかかった。乗車時間は20~30分とそれほど長距離ではなかっただけに、値段が高いという印象しか残らなかった。
ニューヨークはサンフランシスコやコロンバスより明らかに暑い!
ニューヨーク市内は街のあちこちをメトロが網羅していて、スマホのウォレットをかざすだけで毎回3ドル(約450円)が引かれるというOMNY(ワン・メトロ・ニューヨーク)という決済システムが普及している。これは確かに便利なのだが、郊外に行こうとすると事情が違ってくる。 広大なアメリカは公共交通機関でたどり着けない場所も少なくない。そこは1年後のW杯でこの国に赴くファン・サポーターの大きな悩みになりそうだ。
実際、日本代表にとっても、大西洋に面した東海岸のニューヨーク・ニュージャージー、フィラデルフィア、ボストンの3会場は未知なる場所だ。9月遠征でアメリカと戦った東地区のコロンバスは内陸で、比較的爽やかな気候だったが、西洋岸のニューヨークは気温が高く、湿気も高めだった。9月中旬でも気温は30度前後まで上がっており、W杯期間の6~7月は日本の真夏のように35度まで上がることも日常的にありそうだ。
今夏のFIFAクラブW杯を見ても、南東部のフロリダ州マイアミでのゲームで雷雨、猛暑が問題になったが、東海岸でも何が起きるか分からない。森保一監督は9月アメリカ遠征の後、高地のメキシコへ足を延ばしたというが、東海岸やカナダ含めてさまざまな対応策を講じておかないと、難しい大会で躍進を遂げるのは難しい。それを今一度、脳裏に刻み付けておくべきだ。