
トイレでのスマホ使用は痔のリスクを高める
トイレにいる間にスマートフォン(以下、スマホ)でニュースや電子メール、ソーシャルメディアをチェックしている人は、注意した方が良いようだ。トイレでのそのような行動は、痔の発症リスクを高める可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。トイレでスマホを使う人は使わない人に比べて、痔の発症リスクが46%高いことが示されたという。米ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのTrisha Pasricha氏らによるこの研究結果は、「PLOS One」に9月3日掲載された。
研究グループは、トイレでスマホを使用していると、無意識のうちに滞在時間が長くなって肛門への圧力が高まり、それが痔の原因になる可能性があると説明している。Pasricha氏は、「スマホと現代の生活様式が健康に及ぼすさまざまな影響については、まだ全てが判明しているわけではない。トイレの中での使用など、スマホの使い方や使う場所によっては予期せぬ結果をもたらす可能性がある」と話している。
痔は肛門または直腸周辺の静脈が腫れた状態であり、しばしば痛みや出血を伴う。痔は妊娠中、過体重、または排便時のいきみによる圧力の上昇が原因で発生すると考えられている。
今回の研究でPasricha氏らは、同医療センターで大腸内視鏡検査を受けた成人125人を対象に、トイレでのスマホ使用と痔の有病率との関連を検討した。対象者のスマホの使用習慣を調査するとともに、Rome IV診断質問票による便通・排便症状の評価、排便時のいきみ、食物繊維の摂取量、運動習慣などを確認した。また、痔の有無を内視鏡で確認した。
その結果、対象者の66%にトイレでスマホを使用する習慣があり、痔の有病率は43%であることが明らかになった。トイレでのスマホ使用の内容は、ニュース閲覧(54.3%)とSNS(44.4%)が特に多かった。トイレでのスマホ使用習慣がある人は、ない人に比べて年齢が有意に若く(平均年齢55.4歳対62.1歳、P=0.001)、トイレでの滞在時間も有意に長く、1回当たり5分以上滞在する人の割合は、前者で37.3%に上ったのに対し、後者では7.1%にとどまっていた(P=0.006)。さらに、年齢、性別、BMI、運動習慣、排便時のいきみ、食物繊維の摂取量を調整して解析しても、トイレでのスマホ使用は痔の発症リスクを46%増加させることが示された(調整オッズ比1.46、P=0.044)。
Pasricha氏は、「スマホをスクロールしていると、信じられないほど簡単に時間を忘れてしまう。人気アプリは、まさにそのためだけに設計されているのだ。しかし、スマホに気を取られて便座に座っている時間が長くなると、痔の発症リスクが高まる可能性がある」と話す。
さらにPasricha氏は、「スマホをトイレの中に持ち込まず、排便は数分以内に済ませるように心がけるべきだ。トイレでの滞在時間がもっと長い人は、本当に排便自体に時間がかかったのか、それとも他のことに気を取られていたからなのかを自問してみてほしい」と助言している。(HealthDay News 2025年9月5日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0329983
構成/DIME編集部
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